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AI絵師が「うちの子」をイラスト化する未来 - NovelAI

AIの進化が止まりません。

先日話題になったNovelAIは、文字情報(タグ)や自分で描いたラフを入れるだけで高品質なイラストを生成するwebアプリケーションです。

つい数ヶ月前は抽象的な絵画や事故みたいなネタ画像を生成しまくっていた「AI絵師」ですが、NovelAIはオタク好みなアニメ・漫画・同人系のイラストに強く、そのクオリティと手軽さに界隈が騒然としました。

ハウトゥーや倫理の問題とかは、今回はすっ飛ばします。
このAI絵師さんに、私の長年の夢だった「うちの子」イラスト化をお願いし、興奮状態にあるので、それだけを以下に記します。
※自分が創作したオリジナルキャラクターのことを「うちの子」と呼びます。主にpixivで使われている言葉だと思うのですが、もう古いですかね。

絵が描けぬ創作者の「うちの子」

私は趣味で小説を書いています。
ゲーム「グランド・セフト・オートV」の二次創作です。GTA5の世界に1人の「うちの子」がやって来て、おっさんや犯罪者と混じってストーリーモードを進めるという設定の物語になります。

その「うちの子」の身体的特徴や服装などは決めて執筆していますが、趣味の小説なので費用をかけてイラストレーターに依頼するほどでもないし、そもそも私の頭の中でも漠然としたイメージでしかないので、イラストにしようと思うことはあっても諦めていました。

しかし、NovelAIの出現。
「これ、ひょっとして俺でも簡単に生成できるのでは?」

その日の夕方、私は久しぶりに使うPayPalの本人確認をしながら「fxxxin 円安」と叫んでいました。(あの為替介入は一体

うちの子の概要

AI絵師にお願いするために、「うちの子」の特徴をまとめましょう。

ジュン・カサイ、18歳、女子高生。日系人。GTA5の4人目の主人公。
ひょんなことからロスサントスに逃げてきて、フランクリンに轢き殺されそうになったのをきっかけに、ラマーも交えた3人で行動するようになります。マイケルと出会い、トレバーの会社に入社し、18歳のkawaii女の子でありながら多数の強盗や騒動に参加し、次第に大変なことになる、そんな人です。

  • 黒髪、黒い瞳(免許証ではbrown)

  • 誰よりも背が低い、痩せ気味

  • オレンジ色のパーカーをよく羽織っている

  • ホットパンツ、タイツ、ハイカットスニーカー、肌をあまり露出しない格好を好む

  • kawaii

  • 犯罪者、平気で人を●したり物を盗んだりする倫理観

AI絵師に依頼するのに必要な情報はこんなもん。
これにくわえて構図のラフを切った上で依頼してみました。

やってみた

1.クソみたいなラフを描きます

実際はラフが無くても出力してくれますが、
この時の私はラフが必要不可欠だと勘違いし、何となく服の感じや構図のイメージがあり、そして、中学時代は3年間美術部員だったのでラフくらいへっちゃらだと思っていたのです。
具体的な操作方法は各自ググってください。

ラフはweb上で書くことができます。用意した画像をアップロードする方法もありますよ。

幼稚園の廊下に飾ってそう

こんなウンチみたいな絵で大丈夫なのだろうか(何で左利きになってるの?)
とにかく右上のsaveを押して次に。

2.呪文を入力します

さっきピックアップした小説に出てくる「うちの子」の特徴を英単語にしてカンマ区切りで羅列します。これが呪文です。

パーカーって英語じゃなかったんだ、という学び

女の子、低身長、黒髪、オレンジ色のパーカー、レギンス、ホットパンツ

呪文詠唱が済んだら右上のGenerateをクリック。5~8Pを生贄に捧げます。

さあ。

3.おい、マジか

2回目の出力結果

おい、マジか、これ。

あのウンチみたいなラフと、ググって出てきた英単語の羅列で、人間が生まれました。

それも元気な女の子です。

私の小説で日々頑張っていた「うちの子」の特徴を捉えたジュン・カサイさんっぽい女の子ではありませんか。

小説の中だけで生きていたジュンちゃんがイラストになったのです。


4.少し泣く


少しだけ泣いて、トイレに行きました。


5.呪文やラフを変えつつ何度か試してみる

おしっこも済んだので作業に戻ります。

NovelAIは一番安いプランでも1000ptもらえます。1回の生成にかかるptは5~8程度なので、わりと余裕を持って何度も出力することができます。人間がこれやられたらブチ切れるだろうな。
まずは呪文を変えて出力しましょう。
さっきは刀が変だったので呪文にkatanaを追加してAIに認識させます。
kawaiiやgtaを追加して試したものもあります。

出力結果一覧。左上から順番に。

こんな感じになりました。結構色々と出ますね。

画面左側にあるStrengthやNoiseもいじっています。
前者は数字を増やすほどもとのラフをAIが無視するようになり、後者は何かよく分からないです。
かりみや様の記事をご参考に


出力したものは全てHistory(画面右タブ)に追加されていき、いつでも表示させることが可能です。zipで落とすこともできます。
上図はzipフォルダの中身。ファイル名は詠唱した呪文なので便利ですね。
※逆に、NovelAI上で作業状況を保存する機能はないっぽいので、編集画面から出たら作業は失われます。気に入った呪文を保存する目的でも画像保存やzip保存を活用しましょう。

次に、ラフを変えて本格的な立ち絵に挑戦します。

クソなラフにも少なからず自信が垣間見られます

全体図で、靴も入れましょう。小説の内容に合わせて銃を入れたり、表情豊かなキャラという設定なので、笑ってもらったり。手の形は気にしないでください。

呪文も追加しましょう。(crimeとか意味ない気がするが)
呪文フォームは予測候補が出たりするので、気になったものをお選びください。たとえばsmileと打ったら出てきたevil smileは英語圏で「悪いやつっぽい笑顔」みたいなニュアンスのタグっぽいです。よく分からないけど彼女は犯罪者だしこれでいいでしょう。

何度か出力してみました。

最も良かったのがこれ。


こういう脚が大好きオタクおじさん!

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお


少し泣く。


AI絵師が出力したのは結果だけではない

小説の世界で生き、文字情報だけの存在として、漠然としたイメージしかなかった「うちの子」を、AI絵師はいとも容易く具体的なイラストに落とし込んでくれました。

しかし一方で、完全に満足する結果、完全にイメージ通りの結果はありませんでした。
それもそのはずです。そもそも私の頭の中に完成したイメージがないからです。(あったら自分で絵を描いてます
だからこそ、AIに何度も生成をお願いする過程で、私自身がAIから提示されている感じでした。

「yamabukiさん、こんな髪とかどうでしょう?」

「靴の具体的な指定がないんで適当に描きましたが、こんなイメージでしたか?」

……みたいなコミュニケーションが知らぬ間に発生していたのです。


たとえば下の画像なんかは髪型が結構「好み」です。
というのも、小説のジュンは「黒髪で、物語の中盤くらいにギリギリ結べるくらいの長さになる」という描写しかないのです。これは、作者である私がヘアスタイルやオシャレに関する知識が絶望的で単にイメージできていないからです。
何だろう、ストレートじゃないけど、癖が強くないし、短くはないけど、言っても肩にかからないくらいだし~……みたいな漠然とした状態でずっと書いてきました。
だから、AI絵師が機械学習で得た膨大な知識から提示する「お前の好きそうな髪型」がぐっと来たのです。ああ、ジュンちゃん、こんな髪型だったんだ!と。(お前が作者だろ

この何とも言えない感じの髪型と髪質と髪の長さ

何度か出力しているうちにこのような「好み」の髪型にぶち当たりました。これが「うちの子」か?と言われれば明確に答えれないですが、こんな髪型が良いなと思いました。
同じように、服装や、表情など、「あ、これいいね!」という結果をAIが提示してくれます。そうして、いつの間にか私はAIの出力結果を高めていくのではなく、自分の中にあったイメージを補強するためにAIを出力し続けていました。

これは現在のAIの強みだと思います。
ほしい何かは具体的であったり不明瞭であったりします。特に芸術分野においては、具体的な要望と不明瞭な願望の境目が存在せず、混沌としています。髪型についてはまさにそれです。欲しいものは明確に存在するはずだけど、それを見たことがないからイメージもできないし言葉にもできない。
そういえば、GTA5で貨物船強盗の調査を行う時、トレバー・フィリップスがこう言いました。

実は自分でも何が欲しいのかよく分からねえ。ポルノとか下衆みたいによ、うまく説明できないが、見りゃ分かるってもんよ

グランド・セフト・オートV、ロスサントス項の調査、トレバー・フィリップス

AI絵師がやってのけたことは、何が欲しいかを提示してくれたことにほかなりません。そして、この提示を受けて自分の中のイメージが進化しました。

これまで我々が人間絵師とのコミュニケーションを通じて模索してきた「正解のような何か」がAIによって簡単に取り出せてしまったことは驚異であり、脅威でもありますね

※おまけ※
一方で、上の出力結果、服や靴がおかしなことになってますね。
特に銃。
仮にAIで完成にもっていくなら、この出力結果の頭部を切り取り、良い感じで出力された服や銃の画像とコラージュして元画像を作り直し、それをAI絵師に提出して呪文詠唱すると洗練されると思います。なんかとてつもなく禁忌の錬金術やってる気分。
しかしキャラが持っている銃はいくら頑張っても「銃っぽい何か」にしかなりません。メカのような明確な答えがあるものは現状のAIには無理です。


おっとここで突然のさりげない宣伝が!

今回のAI出力素材となった「うちの子」のジュン・カサイは、pixivで執筆しているグランド・セフト・オートV二次創作小説『GTAVJK』に登場します。

マイケル、フランクリン、トレバーに混じって小さなカワイイJKがロスサントスで大暴れし、数々の犯罪と騒動を巻き起こし、成長していく物語です。
シニカルな社会描写、スカッとする銃撃戦、おっさん×少女が大好きな方々に気に入っていただける内容となっています。
グロ、ゴア、様々な犯罪、リョナ等の要素があるのでご注意ください。

おわりに

NovelAIの始め方はこの方の記事をご参考に。

AIに関する様々なゴタゴタは別の機会に書くかもしれません。

また、NovelAIの利用は自己責任でお願いします。
これに限らずですが、最大限の悪意と労力を惜しまなければかなりえげつないことができてしまう気がします。
更には悪意なくともまずい画像が出力されたりする可能性もありそうです。

昔ながらのインターネッツ時代に思いを馳せて、慎重になりましょう。色んなことにビクビクしていたあの頃みたいな感覚で試してみるのが良いはずです。

生成したジュン・カサイの格好がどことなく某格ゲーのあの子っぽいというご指摘はご遠慮いただけると幸いです。


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