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【薬剤師】地域包括ケアシステムについて

こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。

現在の日本は、過去に例を見ない高齢化問題に直面しています。今後も高齢者の割合は増え続けることが予測されており、国は持続可能な医療、介護制度を構築することを急務としています。

中でも注目されている「地域包括ケアシステム」では、地域においてさまざまな専門職種が協力してケアをおこなうことが求められており、薬剤師にもさまざまな役割が期待されています。

この記事では、地域包括ケアシステムの中で、薬剤師はどのような役割を持つことができるのかについて考えていきます。


1.地域包括ケアシステムとは

「地域包括ケアシステム」とは、地域に住む高齢者が自分らしく安心して暮らせるように、医療、介護、住まい、予防、生活支援などを一体的に提供する体制のことです。

厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に地域包括ケアシステムを実現するとしています。

現在、日本における老年人口(65歳以上の人口)は、2016年9月時点で3,461万人(27.3%)とされています。主要国の中で2016年の高齢者の総人口における割合を比較すると、日本が最も高く、次いでイタリア(22.7%)、ドイツ(21.4%)となっています。

今後、日本の老年人口は2042年の約3,900万人でピークを迎え、その後も75歳以上の人口の割合は増加し続けることにより、今後は国民の医療や介護の需要がさらに増加すると見込まれています。

このため、厚生労働省においては団塊の世代が75歳を迎える2025年を目途に、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように、地域の包括的な支援・サービスの提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を目指しています。

地域包括ケアシステムを構築するためには、多くの課題があることにも注意が必要です。課題の一つに、限られた財源の中で包括的な支援、サービスの提供体制を築かなければならないことがあります。2000年に介護保険法が施行されましたが、現行の介護保険制度下では最も重い要介護5であっても、公的介護保険範囲内限度額は3万6千円までとされています。自立生活を支援するための手段として、これらが必要十分であるかどうかということは、まだまだ疑問の余地があるのです。

そのほかにも、介護の担い手にかかわる問題もあります。地域包括ケアシステムでは、医療者や介護施設の職員、自治体職員、民生委員、町内会役員などの多様な担い手が連携することが求められますが、方向性を決定するための場が形成されていない自治体も少なくありません。介護職の慢性的な不足に伴い、介護サービスの提供体制も十分とは言い切れないのです。

保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づいたシステムを作り上げていくことが求められています。

なお、少子高齢化については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

2.地域包括ケアシステムにおける薬局と薬剤師の役割とは

地域包括ケアシステムでは、関係機関が連携して、多職種協働により在宅医療・介護を一体的に提供できる体制を構築することが求められています。その中で、薬局や薬剤師に期待される役割には、どのようなものがあるのでしょうか。

(1)適切な薬物治療の提供

地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割として、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師として適切な薬物治療を提供することが挙げられます。

これからは、薬を調剤したあとのフォローと管理をより積極的に行うことで、患者さんの健康をトータルサポートしていくことが薬局、薬剤師に求められています。

患者の多くは、複数の医療機関を受診して複数の薬が処方されることが多いため、全ての医療機関の処方情報を把握しなくてはなりません。ICT(電子版お薬手帳など)を活用して、服薬情報の一元的、継続的把握とそれに基づく薬学的管理、指導を行うことが求められています。

なお、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

なお、お薬手帳については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

(2)健康サポート機能

地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援することも、薬剤師に求められる役割のひとつです。

健康サポート薬局とは、厚生労働大臣が定める一定基準を満たしている薬局として、保健所に対して届出を行った薬局のことをいいます。

最も気軽に相談できる医療・介護の窓口として、住民のさまざまな相談(健康相談、栄養相談、介護相談など)を最初に受け付け、国民の病気の予防や健康サポートに貢献することが求められています。2016年10月から、「健康サポート薬局」の届け出もはじまっています。

なお、健康サポート薬局については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

(3)在宅医療への対応

地域包括ケアシステムでは、薬剤師が医師や看護師などの多職種と協働して、薬物療法の適正化のための役割を担うことも期待されています。最もイメージしやすいものとして「在宅医療」があり、在宅患者への薬学的管理、服薬指導を行うことが求められています。

医療チームとの連携はもちろん、患者さまの家族や地域の方々とのつながりがベースとなる地域密着型の取り組みとして、さまざまな角度から患者をサポートしていかなくてはなりません。

薬を手渡した後も、効果や副作用、残薬の有無などをきちんと把握して、医師の指導の下で一体となって患者のケアを行うことが求められています。また、患者本人だけでなく、家族に対しても、在宅での薬の管理方法や注意点を伝えて、介護のストレスが少なくなるようサポートしていくことも大切な仕事です。

なお、在宅医療については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

3.まとめ

地域包括ケアシステムとは、少子高齢化や医療制度の改革、医療費の抑制などのさまざまな背景から、高齢者や慢性疾患を抱える方でも住み慣れた地域や自宅で療養を続け、自分らしく暮らせる仕組みを整えるケアシステムのことを表しています。

医療と連携することも重要であり、地域医療の窓口として薬局の役割も大きくなりつつあります。薬剤師は、医師や看護師などの多職種や地域の職員などの担い手と連携して、患者の生活や健康をサポートしていくことがさらに求められます。

また、地域に根ざした薬局、薬剤師として、地域住民の健康管理、病気予防といった地域全体の健康を底上げしていく活動も大切です。高齢者が増える社会において、薬剤師に求められる責任は大きいですが、医療機関や介護機関と連携しながら役割を果たしていくことが求められています。

自身の役割を見つめなおし、地域包括ケアシステムの実現に力を発揮することが求められているのです。

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