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【薬剤師】薬剤師について

こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。

薬剤師は地域における薬の専門家として、医師が処方した薬の調剤や服薬指導に限らず、医薬品の管理や販売に広く携わります。

今回は薬剤師についてまとめてみたいと思います。


1.薬剤師とは

薬剤師法第一条において、薬剤師の任務は次のように規定されています。

薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

例えば薬局において、処方箋を渡して薬を調剤されたり、薬の説明をされたり、あるいはドラッグストアにおいて、症状を相談して市販薬(OTC)を選んでもらったり、あるいは病院において、ベッドサイドで薬の説明をされたりしたことがあると思います。いずれも薬剤師の代表的な仕事ですが、他にも多岐にわたります。

医療の発達にともない、平均寿命は伸び続け、今や「人生100年時代」と言われています。しかし、いくら長生きできるようになっても、病気で寝たきり自分自身の日常動作をできない状態でいることを望む人はいないと思います。平均寿命が伸びているからこそ、人生の最後まで自分の思うように活動できること、すなわち健康寿命を伸ばすことがわが国の大きな課題です。そのため、患者の病気の予防や健康維持は極めて重要であり、薬剤師はそれにも関わっています。

また、医療の発達にともなう医療費の増加により、セルフメディケーションの重要性が高まっています。

薬剤師は次の3つのフィールドをもち、それぞれの仕事を充実させるのが望ましいです。

  • 病院や薬局などの現場で薬物療法のスペシャリストとして実務者になる

  • 後進のために教育者となる

  • 自分の分野での問題解決、研究を行う

2.薬剤師になるには

薬剤師の免許は、厚生労働省が実施する薬剤師国家試験に合格した上で、住所地の保健所を通して申請し、薬剤師名簿に登録されなければなりません。薬剤師法第十五条において、その受験資格は次のように規定されています。

一 学校教育法に基づく大学において、薬学の正規の課程を修めて卒業した者
二 外国の薬学校を卒業し、又は外国の薬剤師免許を受けた者で、厚生労働大臣が前号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有すると認定したもの

薬剤師になるには、いくつかの手続きを踏まなければならないですが、その一番の難関は薬剤師国家試験に合格することでしょう。

薬剤師国家試験の合格率はここ数年70%程度であり、薬学部に入学しても免許の取得が保証されるわけではありません。6年間の課程を真面目に勉強した人たちの一部だけが免許を取得できます。

なお、薬剤師国家試験については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

3.薬剤師として必要な心構え

(1)薬剤師綱領

一、薬剤師は国から付託された資格に基づき、医薬品の製造、調剤、供給において、その固有の任務を遂行することにより、医療水準の向上に資することを本領とする。

一、薬剤師は広く薬事衛生をつかさどる専門職としてその職能を発揮し、国民の健康増進に寄与する社会的責務を担う。

一、薬剤師はその業務が人の生命健康にかかわることに深く思いを致し、絶えず薬学、医学の成果を吸収して、人類の福祉に貢献するよう努める。

(2)薬剤師行動規範

 薬剤師は、国民の信託により、憲法及び法令に基づき、医療の担い手として、人権の中で最も基本的な生命及び生存に関する権利を守る責務を担っている。この責務の根底には生命への畏敬に基づく倫理が存在し、さらに、医薬品の創製から、供給、適正な使用及びその使用状況の経過観察に至るまでの業務に関わる、確固たる薬(やく)の倫理が求められる。
 薬剤師が人々の信頼に応え、保健・医療の向上及び福祉の増進を通じて社会に対する責任を全うするために、薬剤師と国民、医療・介護関係者及び社会との関係を明示し、ここに薬剤師行動規範を制定する。

1.任務
 薬剤師は、個人の生命、尊厳及び権利を尊重し、医薬品の供給その他薬事衛生業務を適切につかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって人々の健康な生活を確保するものとする。

2.最善努力義務
 薬剤師は、常に自らを律し、良心と他者及び社会への愛情をもって保健・医療の向上及び福祉の増進に努め、人々の利益のため職能の最善を尽くす。

3.法令等の遵守
 薬剤師は、薬剤師法その他関連法令等を正しく理解するとともに、これらを遵守して職務を遂行する。

4.品位及び信用の維持と向上薬剤師は、常に品位と信用を維持し、更に高めるように努め、その職務遂行にあたって、これを損なう行為及び信義にもとる行為をしない。

5.守秘義務
 薬剤師は、職務上知り得た患者等の情報を適正に管理し、正当な理由なく漏洩し、又は利用してはならない。

6.患者の自己決定権の尊重
 薬剤師は、患者の尊厳と自主性に敬意を払うことによって、その知る権利及び自己決定の権利を尊重して、これを支援する。

7.差別の排除
 薬剤師は、人種、ジェンダー、職業、地位、思想・信条及び宗教等によって個人を差別せず、職能倫理と科学的根拠に基づき公正に対応する。

8.生涯研鑽
 薬剤師は、生涯にわたり知識と技能の水準を維持及び向上するよう研鑽するとともに、先人の業績に敬意を払い、また後進の育成に努める。

9.学術発展への寄与
 薬剤師は、研究や職能の実践を通じて、専門的知識、技術及び社会知の創生と進歩に尽くし、薬学の発展に寄与する。

10.職能の基準の継続的な実践と向上
 薬剤師は、薬剤師が果たすべき業務の職能基準を科学的原則や社会制度に基づいて定め、実践、管理、教育及び研究等を通じてその向上を図る。

11.多職種間の連携と協働
 薬剤師は、広範にわたる業務を担う薬剤師間の相互協調に努めるとともに、他の医療・介護関係者等と連携、協働して社会に貢献する。

12.医薬品の品質、有効性及び安全性等の確保
 薬剤師は、医薬品の創製から、供給、適正な使用及びその使用状況の経過観察に至るまで常に医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に努め、また医薬品が適正に使用されるよう、患者等に正確かつ十分な情報提供及び指導を行う。

13.医療及び介護提供体制への貢献
 薬剤師は、予防、医療及び介護の各局面において、薬剤師の職能を十分に発揮し、地域や社会が求める医療及び介護提供体制の適正な推進に貢献する。

14.国民の主体的な健康管理への支援
 薬剤師は、国民が自分自身の健康に責任を持ち、個人の意思又は判断のもとに健康を維持、管理するセルフケアを積極的に支援する。

15.医療資源の公正な配分
 薬剤師は、利用可能な医療資源に限りがあることや公正性の原則を常に考慮し、個人及び社会に最良の医療を提供する。

4.薬剤師の仕事

薬剤師の主な業務は、医師が交付した処方箋に基づいて薬を調剤し、服薬指導、薬歴管理をおこなうことです。さらに、身近な薬の専門家として健康相談に応じたり、薬の正しい服用方法に関して広く啓蒙活動をおこなったりすることもあります。

(1)処方監査、疑義照会

処方箋を受け取ったらまずその内容に誤りがないか監査します(処方監査)。処方内容に疑問点がある場合は医師に問い合わせ、疑問点が解消されない限り調剤してはいけないことになっています(疑義照会)。疑義照会ができるのは薬剤師のみであり、医療過誤や事故を防ぐ「最後の砦」となっています。

(2)調剤、調剤鑑査

処方箋に従って薬(内服薬、外用薬、注射薬)を調剤します。薬剤師には調剤の求めに応じる義務があるほか、医師の許可なく調剤する薬を変更してはいけません。また、調剤後には適切に調剤されているか鑑査します(調剤鑑査)。

(3)服薬指導

患者さんやその身の回りの世話にあたる人(家族や看護師、介護職員など)に対して、薬の効能や服薬方法、服薬時の注意点について説明します。また、必要に応じて薬の服用状況(正しく服薬できているか、体調に変化はないか、残薬はないかなど)についても把握する必要があります。

(4)薬歴管理

患者さんの基礎情報や服薬状況、処方・調剤内容、疾患に関する情報、服薬指導の要点、疑義照会の内容・結果、担当薬剤師の氏名などを薬剤服用歴(薬歴)として残します。薬歴は調剤診療報酬の根拠にもなる重要な記録であり、一定期間保管する義務があります。

(5)医薬品の管理

品質が劣化しないよう適切な環境下で保管したり、不正使用されることのないよう使用した数量と在庫の数量が常に一致していることを確認したりします。中でも薬物濫用などの観点から取り扱いにとくに注意が必要な薬──麻薬(医療用麻薬)、向精神薬、覚せい剤原料、毒薬、劇薬などに関しては、それぞれの規則に従って厳格に管理します。

(6)医薬品の販売

処方箋が必要な医療用医薬品はもちろん、処方箋がなくても購入できる市販薬(OTC)の中でも要指導医薬品や第1類医薬品に関しては、薬局やドラッグストアに薬剤師が不在の場合は販売することができません。

5.薬剤師における資格

かかりつけ薬剤師制度の導入や在宅医療の推進、多職種連携などの医療改革の波を受け、以前よりも専門性の高い知識を持つ薬剤師が必要とされています。時代のニーズにあった薬の知識、患者に役立つ情報を提供できる薬剤師であるために、知識や技術を備えなければなりません。

薬剤師は資格を取得すると、高度な知識と技術を有することを証明する認定証が各団体から発行されます。資格を取得するためには、特定の専門分野における十分な見識や技術力、質の高い業務が認められたうえで、一定の研修や試験合格といった実績が必要となります。

ここでは認定薬剤師・専門薬剤師をはじめ、薬剤師が取得できる資格についてまとめたいと思います。

(1)認定薬剤師

特定の専門分野の資格取得において、多くの場合、最初のステップとなるのが認定薬剤師です。現場経験を前提に、一定の技術や能力が評価され、資格として認定されます。

がんや感染症など特定の疾患が対象の資格から、地域医療や在宅医療などで活躍できる資格まで多岐にわたります。定められた期間に薬学や医療などの最新の知識を学び更新を行うことで、日頃の業務に活かすことができるのはメリットのうちのひとつです。

なお、中には認定資格を最上位とする分野もあり、専門資格と内容の優劣は一概に比較できません。

(2)専門薬剤師

臨床現場でさらに踏み込んだ活躍を望むなら、専門薬剤師を取得しましょう。

専門薬剤師は、特定の専門分野の資格取得において、高度な知識と技術を有する薬剤師で、専門分野は多岐にわたります。より専門性が高い知識や技能が認められ、指導者や研究者としての活動も可能になります。最新の専門情報を提供する薬のエキスパートとして活躍の場が広がります。

(3)資格を取得するメリット

  • 専門性の向上に繋がる

  • キャリアアップに繋がる

  • 患者や他の医療従事者と信頼関係を構築できる

(4)資格を取得するデメリット

  • 時間とお金を投資しなければならない

  • 高い水準の知識と技術が求められる

  • 更新するために継続的に実績を積み重ねなければならない

6.薬剤師の勤務先

なお、薬剤師、薬学部卒業によりできる業務、取得できる資格については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

なお、薬学部における進路については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

なお、薬学部における就職活動については、詳しくは以下の記事をご参照ください。

7.薬剤師に必要な能力

  • 薬に関する深い専門知識

  • 医療の急速な発展に対応するために知識を更新し続けられる能力

  • 調剤業務を素早く正確にこなす能力

  • 医師や看護師などのさまざまな職種の人や、患者とコミュニケーションを円滑にとれる能力

  • 業務にまつわる機会を使いこなしメンテナンスする能力

特に大事なのは「問題解決能力」だと思います。

「問題解決能力」とは、客観的な事柄から問題の本質を見極め、解決策を立案し、適切に実行できる能力です。すなわち、患者の健康をサポートするために、薬というツールを通じて行動できる能力です。とりわけ薬剤師国家試験でも、長いリード文やイラスト、グラフ、構造式などから患者背景を読み取り、適切な臨床判断をする力、すなわち「問題解決能力」が要求されています。

8.薬剤師に関する記事

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