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【薬学部】実務実習について

こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。

薬学教育モデル「コア・カリキュラム」に基づき、より質の高い薬剤師を養成するため、2019年より薬学部の実務実習は3期制から4期制に改訂されました。これにより薬学生は病院と薬局の協力のもと、22週間の実務実習を行うことになります。

多くの現場を体験し、たくさんの患者と関わることができる実務実習ですが、薬剤師の教育を充実させる意味でも期待が高まっています。

今回は5年生の方に向けて、実務実習についてまとめてみました。


1.実務実習とは

医療技術が高度化されるなか、国は質の高い薬剤師を養成するため、薬学部の教育課程を「6年制薬学教育」と「4期制実務実習」に再編成しました。

実務実習とは、改訂された薬学教育モデル「コア・カリキュラム」の改訂(以下「改訂コア・カリ」)に従い、事前学習、薬学共用試験(CBT、OSCE)を経たうえで行われる参加型の実務実習です。

文部科学省が示すガイドラインには「それまで薬学部で学んできた知識・技能・態度を基に臨床現場で『基本的な資質』の修得を目指し実践的な臨床対応能力を身につける参加・体験型学習」と定義されており、薬剤師として活躍できる基本的な知識・技能・態度、そして問題解決能力の修得を目指すものであるとされています。

実習期間は、薬局実習11週、病院実習11週の合計22週。在宅医療や病棟業務など、おもに「患者体験」を重視した内容が組み込まれています。

2.実務実習に参加するためには

実務実習に参加するためには、薬学共用試験に合格する必要があります。この試験は、全国の大学で統一されており、知識を評価する「CBT(筆記試験)」と実技を通して技能や態度を評価する「OSCE(実技試験)」から成り立ちます。

どちらの試験も毎年12月から1月にかけて本試験、2月後半に追・再試験が行われており、そのうち「CBT」は本試験を受ける前に体験受験を行うことが可能となっています。年間スケジュールを組み、計画的に学習するよう心がけましょう。

3.日程

令和6年度の実習日程は以下の通りです。

・第Ⅰ期 : 2/19(月)~5/5(日)
・第Ⅱ期 : 5/20(月)~8/4(日)
・第Ⅲ期 : 8/19(月)~11/3(日)
・第Ⅳ期 : 11/18(月)~2/9(日)

2019年度より、薬学部の実務実習が3期制から4期制に変更されました。より多くの患者と接し、代表的な疾患を体験する実習期間を確保することが目的です。

実務実習のスケジュールはⅠ期~Ⅳ期制で行い、薬局実習(11週)と病院実習(11週)の2種類があります。この2期を連続で実習する必要があり、Ⅰ期で薬局実習を行う場合は、Ⅱ期に病院実習というように、続けて実習期間を設けなければいけません。

これまでの実務実習は、「事前学習」「病院実習」「薬局実習」の3つの領域に分かれており、内容が重複する部分も多くありました。しかし、現在は病院・薬局に共通している業務の評価が統一され、病院・薬局のどちらかで修得すれば、再度同じ項目を学ぶ必要はありません。重複時間を減らすことで、より多くの患者と接することができ、それによって貴重な体験を積むことができるでしょう。

3期制から4期制への変更により、実務実習の開始時期は約2か月間早まりました。そのため、条件によっては4年次の2月から実務実習が始まる学生もいます。

また、5年次の夏から冬にかけての時期は、企業がインターンシップを実施する時期でもあります。この時期は実務実習中心の生活になるため、自分が志望する企業のインターンシップと実務実習が被らないように、しっかりとしたスケジュール管理が必要になるでしょう。

4.実習場所

実務実習先の薬局や病院を決める際、多くの場合、各地域の調整機構が受け入れ先を決めますが、大学独自で受け入れ先を決める場合もあります。 実務実習の受け入れ先としては、以下の条件を満たした薬局、および病院が選定されます。

【病院】

(A) 一施設のみで行う場合
a)病床数は問わないが、実習生が代表的な疾患(がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症)患者に継続的に関われる病棟を有すること。
b)病棟における実習の重要性に鑑み、薬剤管理指導業務を実施し、院外処方せんの発行を推進していること。病棟薬剤業務実施加算を届けていることが望ましい。
c)認定実務実習指導薬剤師が1名以上配置されていること。
d)原則として、認定実務実習指導薬剤師の指導を補完するに相応しい指導薬剤師(日本病院薬剤師会認定指導薬剤師など)が複数配置されていること。
e)日本病院薬剤師会賠償責任保険(施設契約)又はこれと同等の賠償責任保険に加入していること。

(B) グループ施設で行う場合
a)責任施設(基幹となる病院)を中心に地域でグループを組み、グループ全体で、実習生が代表的な疾患(がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症)患者に継続的に関われる病棟を有すること。
b)責任施設は、薬剤管理指導業務を実施し、院外処方せんの発行を推進していること。責任施設は、病棟薬剤業務実施加算を届けていることが望ましい。
c)認定実務実習指導薬剤師が、責任施設に1名以上配置されていること。
d)認定実務実習指導薬剤師の指導を補完するに相応しい指導薬剤師(日本病院薬剤師会認定指導薬剤師など)が、各グループ施設に配置されていること。
e)各施設において、日本病院薬剤師会賠償責任保険(施設契約)又はこれと同等の賠償責任保険に加入していること。

【薬局】
①関係法令を遵守し、適切に業務を実施していること
②受入薬局は、「薬学実務実習に関するガイドライン(以下、「実習ガイドライン」という。)」に基づく実習環境が整備されていること(参考1を参照)
③複数の薬剤師が勤務する場合、当該薬局の認定実務実習指導薬剤師(以下、認定指導薬剤師)を中心として、勤務する全ての薬剤師(以下、「指導薬剤師」という。)が協力して実習を行う体制を確保していること
④開設者が実習全体の責任を持ち、認定指導薬剤師と連携を取り、適切な実習を行う体制を確保していること

受入薬局の要件については以下に示す通りとする。
(受入薬局の要件)
ア.実習ガイドラインが求める地域保健、医療、福祉等に関する業務を積極的に行っていること。
なお「健康サポート薬局」の基準と同等の体制を有していることが望ましい。
イ.「代表的な疾患※1」に関する症例を実習できる体制を整備していること
ウ.認定指導薬剤師が常勤していること
エ.薬剤師賠償責任保険に加入していること
※1 がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症(「薬学教育モデル・コアカリキュラム 平成25年度改訂版」F薬学臨床 より)

5.指導員

実務実習では、薬剤師としての心構えやコミュニケーションの取り方、患者さまへの対応に関することなどを指導員より学びます。 実務実習の指導員は「認定実務実習指導薬剤師」が担当します。

認定実務実習指導薬剤師とは、一般社団法人薬学教育協議会によって認定された指導員です。認定されるためには、認定実務実習指導薬剤師養成研修をすべて修了する必要があります。ただし、誰でも養成研修を受けられるわけではなく、受講には以下の資格が必要です。

  • 薬剤師実務経験が5年以上

  • 薬剤師実務の勤務継続が3年以上

  • 病院または調剤薬局に、1週間あたり3日以上かつ20時間以上勤務している

6.内容

新しい実務実習のカリキュラムは、文部科学省が定めた「薬学教育モデル・コア・カリキュラム」の改訂(以下「改訂コア・カリ」)に沿って、できるだけ多くの患者と接することができるように設計されています。

(1)薬学臨床の基礎

  • 臨床における心構え

  • 臨床実習の基礎

(2)処方箋に基づく調剤

  • 法令・規則等の理解と遵守

  • 処方せんと疑義照会

  • 処方箋に基づく医療品の調製

  • 患者・来客者対応、服薬指導

  • 患者教育

  • 医薬品の供給と管理

(3)薬物療法の実践

  • 患者情報の把握

  • 医薬品情報の収集と活用

  • 処方設計と薬物療法の実践

(4)チーム医療への参画

  • 医療機関におけるチーム医療

  • 地域におけるチーム医療

(5)地域の保健・医療・福祉への参画

  • 在宅(訪問)医療・介護への参画

  • 地域保健への参画(公衆衛生、学校薬剤師、啓発活動)

  • プライマリ・ケア、セルフメディケーションの実践

  • 災害時医療と薬剤師

特に、患者体験を重視した実習を進めることがポイントです。そのなかでも、「代表的な8疾患」(がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患・感染症)について、患者と継続的に関わることが推奨されています。

参加する学生は、指導薬剤師のもとでこれらをすべて学ぶことができますが、「疑義の確定」と「麻薬の取り扱い」に関してだけは見学のみにとどめられています。

7.持ち物

服装について、基本的に初日はリクルートスーツ、翌日以降は清潔感のある私服(襟付きのシャツなど)で訪問します。実習中は、清潔な白衣を着用します。立っている時間が長くなりますので、靴は足が疲れにくいものがおすすめです。

持ち物は、名札、筆記用具、メモ帳などを準備するとよいでしょう。メモ帳は、ポケットに入るサイズのものが、持ち運びやすくおすすめです。また、昼食について、病院実習の場合は院内の食堂やコンビニを利用できることが多いですが、薬局実習の場合は近くに飲食店やコンビニなどがないこともあります。休憩時間も様々ですので、臨機応変に対応できるように、お弁当などを持参するとよいでしょう。

服装や持ち物は実習先によって異なりますので、できれば事前に確認しておきましょう。

8.実習前の注意点

実務実習先の病院や薬局について、ホームページを閲覧し、経営方針、主な処方内容、設備などを確認すること。また、それをもとに周辺知識を復習しておくこと。

例えば、実務実習先の薬局が在宅医療に力を入れていることが分かった場合、バイタルサインや介護保険について勉強しておくとよいでしょう。また、病院で整形外科病棟を担当する場合、麻酔薬や鎮痛薬について勉強しておくとよいでしょう。

9.実習中の注意点

  • 挨拶や自己紹介をしっかりすること。

  • 分からないことは聞く。

  • 指導薬剤師に教えてもらったことをさらに深掘りして勉強する。

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