【薬剤師】医薬品副作用被害救済制度について
こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。
医薬品により生じた副作用に対する措置として「医薬品副作用被害救済制度」がありますが、詳しく知らない方は意外と多いのではないでしょうか。知っておくと、患者さまの副作用に直面した際にも薬剤師として適切な提案やアドバイスができるようになります。
今回は、「医薬品副作用被害救済制度」の概要と給付を受ける方法、患者さまに薬剤師ができることをご紹介します。予期せぬ副作用にも適切に薬剤師として対処できるよう、しっかりと手順を確認しておきましょう。
1.「医薬品副作用被害救済制度」とは?
「医薬品副作用被害救済制度」とは、患者さまに生じた医薬品による副作用に対して救済・給付を行う公的な制度です。医薬品は、正しく使っていても副作用を免れられないことがあります。そのため医薬品(病院・診療所で処方されたもののほか、ドラッグストア等で購入したものも含む)を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合などに、医療費や年金などの給付を行っています。
制度の申請から審査・給付については、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が主体となって行っています。医薬品による健康被害は、民法でその賠償責任を追及することが非常に難しく、裁判などに多大な労力と時間を費やさなければなりません。そこで導入されたのが「医薬品副作用被害救済制度」で、医薬品を提供する薬剤師として把握しておきたい制度です。
2.「医薬品副作用被害救済制度」の仕組み
では、「医薬品副作用被害救済制度」はどのような仕組みにより成り立っているのでしょうか。その仕組みと給付の種類について解説します。
健康被害が発生すると次のような順番で請求・給付のフローが進んでいきます。
給付にかかる費用は許可医薬品製造販売業者などからの拠出金(一般搬出金・付加搬出金)で賄われています。さらに、医薬品副作用被害救済制度にかかるPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の事務費の2分の1相当額については、国からの補助金が充てられています。
(1)給付の種類
実際に健康被害が生じた場合に受けられる給付には、以下の7つがあります。
以上のように、医薬品による健康被害の治療費だけではなく、それに付随して発生した不利益についても補償対象となっています。ただし、給付対象となるのは医薬品による副作用にともない発生した疾病に対してであり、原疾患の治療に関しては対象外となることに注意が必要です。また、医薬品による副作用かどうか判断ができない場合にも請求することは可能です。
(2)対象となる場合、ならない場合
「医薬品副作用被害救済制度」は手厚く医薬品による副作用の救済を行う制度ではありますが、すべての場合に適用されるものではありません。対象となる場合と対象にならない場合があり、以下の条件で判別されます。
<対象となる場合>
※1…以下の医薬品は対象外となります
①がんその他特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって厚生労働大臣の指定する医薬品等
②人体に直接使用されない医薬品、薬理作用のない医薬品等(動物用医薬品、殺虫剤など)
※2…「適正に使用」とは、定められた効能効果、用法用量、使用上の注意にしたがって使用していることが基本ですが、たとえば適応外使用などは個別の判断になります
<対象とならない場合>
※1…以下の医薬品は対象外となります
①がんその他特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって厚生労働大臣の指定する医薬品など
②人体に直接使用されない医薬品、薬理作用のない医薬品など(動物用医薬品、殺虫剤など)
※2…必ずしも入院治療が行われる場合に限定されるものではなく、入院治療が必要と認められる場合であってもやむを得ず自宅療養を行っている場合も救済対象になる。
3.患者が給付を受けるための流れ
いざ副作用が発生したら、申請から給付まではどのような流れになるのでしょうか。患者に給付の仕組みを説明するためにも確認しておきましょう。
(1)必要書類を揃える
まず、副作用が発生した場合には、発現した症状および経過とその原因とみられる医薬品との因果関係等の確認が必要となります。PMDAにて詳細な給付審査を行うためにも、医師に診断書や投薬、使用の証明書を作成してもらわなければなりません。必要な書類は給付状況により変わってくるため、PMDAの救済制度相談窓口に相談するように促しましょう。
(2)PMDAに申請する
健康被害を受けた本人(死亡した場合はその遺族のうち最優先順位の人)が請求書、診断書などの必要な書類を添えてPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に提出します。この際、医師の診断書等も合わせて提出することとなります。
(3)審査・審議の結果が通知される
申請が行われるとPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が請求内容の妥当性や給付の可否に関わる精査を行います。その結果をもとに厚生労働大臣に判定の申し出を行い、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(副作用・感染等被害判定部会)で審議され、その結果がPMDAに伝達されると、最終的に患者本人に結果を文書にて通知されます。
4.患者に副作用と思われる症状が発生したとき、薬剤師としての正しい対応とは
薬局や病棟など、どの患者にも予期せぬ副作用が発生する可能性はあり、どの薬剤師も業務のなかで患者さまの副作用を経験することがあるはずです。もし患者に副作用が見られたときには、薬剤師として的確な判断をする必要があります。実際に副作用が起きた場合の正しい対処を確認しておきましょう。
(1)患者から副作用の申し出、または医療スタッフにより副作用が発見される
「患者本人や家族より副作用と疑わしき症状の訴えがある」「検査結果や臨床初見より副作用の疑いがある」と判断される場合は、速やかにその状況を担当医師に報告します。
(2)担当医師による適切な治療・処置、医薬品との因果関係の判断
まずは医薬品による健康被害を最低限に留めるために、速やかに治療を行う必要があります。担当医師による治療・措置薬剤師による投与計画変更の提案や、医薬品に関する情報の収集などの業務が発生します。
(3)DI担当者による情報収集およびメーカーへの報告業務
医薬品情報の収集については、病院の場合DI室との連携も必要です。DI担当者は当該医薬品メーカーに副作用等の発現を報告する業務も発生します。
(4)医薬品副作用被害救済制度の適用範囲かどうかを判定する
医薬品との因果関係が否定できず、また医薬品の適正使用により生じた副作用と判断できる場合には、医薬品副作用被害救済制度が適用されます。しかし、医薬品との因果関係が否定できず不適切な使用が確認されたケースでは、補償対象外となり病院に対し損害賠償請求をされる可能性もあります。状況により救済制度の適用範囲かどうかが変わるため、薬剤師が薬学的な観点から情報収集および分析などを行っていく必要があります。
(5)患者に給付申請の流れを説明する
医薬品副作用被害救済制度の適用対象であると考えられる場合には、患者に対して制度の説明および手続きの流れなどを説明します。制度の存在自体を知らない方が多いので、医療機関側が率先して患者に利用を促すようにしましょう。
5.まとめ
医薬品の使用によって、症状が回復したり、生活の質が向上したり…。様々な恩恵を受けることができる一方で、思わぬ疾病や障害が発生するリスクがあることも確かです。
患者を副作用から守ることが薬剤師として基本的な責務ではありますが、万が一副作用が発生した場合にも薬剤師の行動ひとつでその被害を最低限に留めることができます。
医薬品副作用被害救済制度について正しく理解を深めておき、副作用が起きた場合においても薬剤師として患者にできることを考え行動できるよう、日頃から準備をしておくようにしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
もしよければ「スキ」と「フォロー」していいただけると嬉しいです。