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【薬剤師】処方の代行入力について

こんにちは。やまぶきです。
今回もnoteをご覧いただきありがとうございます。

私が現在働いている病院では、薬剤師による処方の代行入力を認められています。そこで、この記事では、薬剤師による処方の代行入力についてまとめます。

なお、薬剤師の職能拡大については、詳しくは以下の記事をご参照ください。


1.薬剤師による処方の代行入力とは

最近、医師の長時間労働が問題となり、働き方改革が叫ばれています。そんな中、医師が従来行っていた業務のタスクシフトが起こっています。

医師の業務は、患者の診察、診断、検査オーダー、処方オーダー、手術執刀からカルテの記入、各種書類作成まで広範囲に渡っています。そこで、他職種で代行可能な業務を他職種に振り分けようという動きが生まれています。

その代表例として、各種書類作成などの業務を医療事務のスタッフが代行するというものがありますが、タスクシフトの一環として、入院患者の処方業務の一部を、病棟薬剤師に移管する病院もあります。

入院中の患者さんが服用している薬がなくなりそうなことに気付くのは、与薬を行っている病棟看護師です。しかし、薬がなくなりそうな時に、病棟看護師から医師に処方依頼を行っても、日中は医師が外来中であったり、手術中であったりして、処方が後回しにされ、実際に処方されるのは夜になってからということが多々あります。

時間外に処方が発生した際には、薬剤師が調剤し、病棟へ薬が搬送され、病棟看護師が配薬準備を行う行為全てが時間外に行われ、影響が多職種へ及ぶことになります。このため、一部の処方権限を病棟薬剤師に移管して、病棟薬剤師が医師の代わりに処方を時間内に行うことで、医師の負担を軽減することと同時に、医師以外の職種の業務を時間内に収めることが可能となります。

こうした結果、当初は処方を薬剤師に代行してもらうことに抵抗感のあった医師も、自らの診察や手術などの業務に集中できるようになったため、代行処方を求める医師数は病院内で増加してきています。

また、夜間時間外の処方件数が減少しており、当直に入っている薬剤師の負担や夜勤の病棟看護師の負担も減っていることに加えて、薬剤師がDo処方をする際に処方を全てまとめて整理し直すため、オーダーするため処方の総件数も減少するという効果も表れています。

さらに一歩進んだ代行処方として、プロトコルに基づいたワルファリンの代行処方も、一部診療科で行っています。これはワルファリンの投与量のコントロールが必要な患者さんについて、日々のプロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)を参照して、プロトコルに基づいて、日々のワルファリン投与量を病棟薬剤師が決定し、処方を病棟薬剤師が行う業務です。

いわゆるDo処方ではなく、患者さんの状態を確認して薬物投与量の判断を薬剤師自らが行うため、責任の重さに身が引き締まることと同時に、非常に大きなやりがいを感じることが出来る業務です。

もちろん医師が薬剤師に、一部であれ処方を一任するということは、大きな意味合いを持つことであり、いずれの施設でも一朝一夕に進むものではないと思います。医師が薬剤師に代行処方を任せることが実現したのは、これまでに薬剤師の積み重ねてきた実績(カンファレンスでの意味のある発言、的を得た疑義照会、問い合わせに対する的確な回答など)によって薬剤師の職能が理解され、信頼するに足る専門職であるという認識を持ってもらえた結果であると考えています。

ソニー創業者の1人である井深大氏は、「仕事の報酬は仕事である」と言われたそうです。正に薬剤師の代行処方業務は、今まで薬剤師が行ってきた仕事が認められた報酬と考えられるのではないでしょうか。

2.メリット

  • 医師の業務を軽減することができる

  • 薬剤師の業務を拡大することができる

  • 医師が外来や手術などで処方できないときにも処方することができる

  • 処方した後、薬剤師が調剤し、病棟へ薬が搬送され、病棟看護師が配薬準備を行う一連の流れを早く済ますことができる

3.法律上の扱い

電子カルテを医師以外が記載する「代行入力」は違法ではありません。ただし、代行が可能なのは「医師事務作業補助者」という職種に限られます。一般に、医療秘書、医療クラーク、メディカルアシスタントといった名前で呼ばれることもあります。

また、医師法において「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当っている者に対して処方せんを交付しなければならない」と定められており、処方権は医師などにだけ認められている権利です。そのため、薬剤師には処方権は認められていません。

しかしながら、薬剤師による処方の代行入力は、法律上において規定されていません。おそらくこのシステムが想定されていなかったため、法律がシステムに追いついていないものだと思われます。

4.まとめ

ここまで、薬剤師による処方の代行入力を紹介しましたが、中には、処方は自分で行うと考える医師もいます。そのような医師は、オーダー代行に関する一般指示を出さないという選択肢もあるので、それぞれの医師の考えや、患者の状態に応じて機動的に運用することが可能です。

また導入時に全科で運用を開始しようとすると様々な考えがまとまりにくいので、一部の診療科から導入し、効果を確認しながら対象科を広げていく方法が良いと思います。

薬剤師にとって処方支援業務は、疑義照会や処方監査の業務に比べて格段に大きな責任と大きなやりがいの両方をもたらすと考えています。各施設で様々な事情があるので、この取り組みが参考になる施設ばかりではないかもしれませんが、参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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