失語症を何とかして克服したい(3)
前の回で「思い出せなかった単語」が文章中にあるとき、漢字や風景に変換して理解するという話をした。私の説明が下手で、読んでいて(?)となってしまったことは想像に難くない。私自身、前回書いた内容が整理できているわけではなく、概念としてこんな感じだと思うといったところを話しただけだからだ。でも、あきらめずに続けたい。
最近は症状がずいぶん回復したので、言語聴覚士の先生から50字程度の文章を読み上げてもらい、「文章をそらんじること」と「その内容に関する質問を受ける訓練」を行っている。
ここで、私が上手にそらんじられた文章と上手くできなかった文章をそれぞれ挙げたいと思う。そしてその理由を考察してみたい。
<成功例>
娘さんは、お堂の前の庭に座ると、何やら一心にお祈りを始めました。あたりはしいんとして物音ひとつ聞こえません。
<失敗例>
あさりの砂を吐かせるには、海水ぐらいの塩水につけます。塩水の作り方は、コップ一杯の水に、塩が小さじ一杯ぐらいです。
成功例は、以下の理由で上手く出来たと思われる。
①情景が浮かぶ。
②文章の内容がいったりきたりしない。
③訓読みが多い。
④熟語がほぼない。
失敗例は、以下の理由で上手くできなかったのだと思われる。
①似た単語(音、意味)が出てくる。
海水と小さじ:全く違うのに近い音に感じる。
(かいすい と こさじ。似てますよね? 似てない・・?泣)
塩水(しおみず)と水と塩:使っている音が重複している。
②同じ単語を、違う場面で使う。
塩水につけます と 塩水の作り方 (音も近い)
コップ一杯 と 小さじ一杯
失敗例を読んでもらった時、漢字も情景も浮かばず、ただ音が通り過ぎたような感覚だった。訓練だったので何とか持ちこたえて、「あさりは海水に浸すと砂を吐く、コップ水一杯あたり塩一さじくらい使う」くらいのことは言ったと思うが、目標は「そらんじる」なので、もちろんNGだ。
だた、考えてみれば50文字くらいの文章をそらんじるのは、かなりハイレベルだと思う。脳梗塞を発症して1か月でリハビリ病院に転院したが、その頃は3語の文章も覚えられなかった。それを考えると、出来た回は自分を褒め、出来なかった回は気にしないのが一番ちょうどいいのかも知れない。じゃないと続けられない。