【MTG】FDNリミテはクソだと叫びたい
はじめに
ファウンデーションズ(FDN)のリミテッド環境がクソだと界隈では噂であり、筆者もアリーナオープンでそう感じた。
この記事は、どうにかしてデータでそれを証明したいだけの記事である。
アプローチ
クソ環境には色々ある。
超高速環境、超絶先手有利環境、ボムレア環境…etc
しかしながらFDNは上のどの理由も筆者にはそこまでしっくり来ない。
何と言うか、「今それ引くなよ~!!」と叫びながら負けるイメージなのである。
これをなんとか証明したい。
そこで、17Lands.comのGIH WRとOH WRに着目してみる。
GIH WR (Game In Hand Win Rate):お馴染み、ゲーム中に手札に入っていた時のカード別勝率
OH WR (Open Hand Win Rate):初手にあるときのカード別勝率
今回はこの両者の差、Δ(OH WR - GIH WR)に着目する。
Δの大きい例として分かりやすいのが《ラノワールのエルフ》。
こいつのOH WR=61.4%は全コモン中トップであるが、GIH WRは56.7%とそこそこ良いコモンの範疇である。
序盤にプレイしないと一気に価値の下がるカードほど、Δは大きくなる。
逆にΔの小さい例としては《世界を喰らうもの、コーマ》。
GIH WR=56.6%と及第点であるが、OH WR=52.2%とかなり低いことから、初手にあると実質手札が1枚少ないのと同じであり不利になりやすいと言える。
今回、筆者なりの仮説は、FDNにはこのΔ(OH WR - GIH WR)が大きいカードも小さいカードも多い、というものだ。
要は、引きムラが大きいため安定しないということ。
これを検証していく。
検証
FDNの全カードのΔ(OH WR - GIH WR)を、直近の2セット(DSK・BLB)と比較する。
比較には箱ひげ図を用い、四分位範囲(IQR = 第一四分位数と第三四分位数の差)の1.5倍をひげの長さの上下限とした。すなわち、「第一四分位数-1.5×IQR」がひげの下限、「第三四分位数+1.5×IQR」がひげの上限となり、ひげの下端より小さい値やひげの上端より大きい値を「外れ値」とした。
比較した図を以下に示す。
箱・ひげともにFDNが最も幅が広く、FDNは少なくともDSK・BLBよりはΔのばらつきの大きい環境であると言えそうだ。
ちなみにFDNで最大のΔを示したのはこれ。
さもありなん。
BLBの《雇われ爪》はこの斧すら凌駕するΔであり、凄まじさが分かる。
ここに良環境と名高いMH3も加えてみる。
MH3はどの環境よりも小さなばらつきを示しており、この検証からは「カードの引きムラの少ない」環境であると言えそうである。
事実、裏面土地やサイクリング付きフェッチランドのお陰で事故に遭いにくかったのも良環境と言われる所以であろう。
続いて、プレイブースター化以降の残りの環境、MKM・OTJも加える。
ここでOTJがFDN以上のばらつきを示す。
筆者個人の意見ではOTJも中々のクソ環境であり、ここに共通点が見られたのは面白い。
一方で、MKMにそこまで好印象はなかったが、MH3に勝るとも劣らないデータを示した。
変装のお陰で重いカードのOH WRが低くなりにくかったことが一因かもしれない。
もう少し検証してみたいが、他に悪名高い環境は何かなかったであろうか…あっ!
ファイレクシア:完全なる統一(ONE)を追加してみる。
こちらも予想よりはるかに良い結果が出た。
ONEが悪名高いのは環境の異常なまでの速さと先手有利度であるが、この検証方法は引きムラを見ているのでその点は概ね無視されるのであろう。
正確には、環境速度が速すぎることでΔが小さく見えやすい効果もあることは付記しておく。これは先述のMH3にも言える共通点である。
あとは何か基本セットみたいな環境を見てみたいな…
でも基本セットの17Landsデータはほとんどないし…あっ!
昭和マジックでお馴染み、タルキール覇王譚(KTK)も追加してみる。
予想を裏切らず、FDNに似た幅の広い箱ひげ図が得られた。
ロングゲームになりやすい所謂基本セット環境ではマナフラ受けが重要だが、それらは初手で引きたくないのでこういうことになると推察する。
応用
検証で大体仮説に近い結果が得られたので、応用編を。
FDNのカードのΔ(OH WR - GIH WR)を色別に比較する。
これを見ると極端に青の箱ひげ図が狭く、黒と緑は逆にかなり幅広であると分かる。
黒や緑はロングゲーム指向のカードが多いため引きムラも大きくなりやすいと推定できるが、青も比較的ロングゲーム指向であろう。
これを緩和しているのが恐らく《論破》に代表されるルーティングで、引きムラのあるカードも捨ててしまえればOH WRはそこまで下がらないということが言えそうである。
(12/3追記)
想像より好評を頂いて良い気になったので、DSKとBLBについても色別で纏めてみた。
プラットフォーム(Flourish)の仕様上、色の順番や軸のオーダーがまちまちで申し訳ないが許していただきたい。
DSK
OH WR寄りか/GIH WR寄りか に各色の特徴は見て取れるものの、分布自体は色別のばらつきが少なく、かなりバランスの良い印象を受けた。
強カラーのはずである白がデータ上は一番引きムラがあるのも面白く、軽量生存持ちが白に多い影響が出ている。
BLB
青が極端に分布が広く、且つGIH WR寄りであるという面白いデータ。
実際、Δのワースト12(弱いという意味ではない)が青と無色のみで占められている。
BLBの青はシステムを構築してじっくり勝つ戦略を取りやすく、諜報やルーティングの枚数自体は他セット同等であるのだが、システム構築前の単体性能がどうしても弱くなってしまうことに起因していそうである。
クイズ
いかがだったであろうか。
最後にここまでデータで示した範囲で最も大きいΔだったカードは何か?というクイズを出題して本記事を締めたい。
メンバーシップ特典記事のため、答えは有料部分に載せる。
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