なぜエクスプローラーの女王は女神になれなかったか
はじめに
こんにちは!
いつもポジティブ、山辺カフカです!
先日、エクスプローラーの構築フォーマットで開催された予選ウィークエンドに参加してきました!
今年筆者はArena Championship出場を目標に、リミテッドだけでなく構築にも注力しています。
1月にはエクスプローラー予選で自身初の構築フォーマットでの予選通過を体験し、その後2~5月の予選はDay1こそ通過できませんでしたが、4-2/4-2/6-2/5-3と5か月連続の勝ち越しをすることができておりました。
そして、今回6月のエクスプローラー予選も7-2完走でき、1月に続いて今年2度目のDay1通過をすることができました!
これで今年の予選Day1はすべて、6か月連続で勝ち越しできていることになります。(33-11、勝率75%)
残念ながらDay2は1-2で敗退してしまい、今年の目標であるArena Championshipの出場権を得るとまでは至りませんでした…
ここでは簡単ですがその記録と、この結果に至った理由の考察をしたいと思います。
今回はDay1のアーカイブ動画を残しており、Day2は配信もしておりました!
記事内にリンクを貼り付けておりますので、よろしければこちらのアーカイブもご視聴ください!
(チャンネル登録・高評価お願いします!)
~6/7 情報収集・メタゲーム把握
1月の予選以降、エクスプローラーを遊ぶことはほとんどなかったのですが、その間に環境は様変わりしておりました。
具体的には2月のカルロフ邸殺人事件(MKM)実装後、プロツアーにてChannel Fireballが編み出したチームデッキ:ラクドスヴァンパイアが無双したことが一番大きいでしょう。
従来よりフェアデッキ最強格であったラクドスミッドレンジに3ソリン⇒《血管切り裂き魔》のコンボ要素を盛り込んだ形は、高速アグロや一部のコンボデッキの速度にすら勝り得る速さを得ました。
その後も様々な大会にて結果を残し続け、環境の中心に君臨するようになっていました。
着地した《血管切り裂き魔》への綺麗な解がパイオニアのプールですら限定されることが強みです。
3ソリン+切り裂き魔のパッケージが単純に強く、赤黒以外の組み合わせすら結果を残しだしてきたのも最近のトレンドでした。
MKMではもう一つ、大きなアーキタイプとして《陰湿な根》を主軸に据えたデッキも生まれています。
初めはアルケミー構築において《甲殻の這うもの》とのシナジー・無限コンボから注目されたアーキタイプですが、パイオニアでも異なるルートでの無限ループを形成し試され続けています。
後述するOTJでも《見捨てられた鉱夫》を得ており、プレイング難度は高いものの一定の存在感を有しています。
その後、4月にサンダー・ジャンクションの無法者(OTJ)の実装による主要デッキのアップデートも挟みましたが、特に大幅にアップデートされたのは無駄省きデッキでしょう。
晴れる屋のパイオニア神で優勝したことで一気に注目を浴びるようになったアーキタイプと記憶しております。(下記記事参照)
《懲罰者、ケアヴェク》と《敵意ある調査員》という強力なアドバンテージエンジンを得たことでラクドスヴァンパイアとも十分に戦えるポテンシャルを示しました。
また、《精鋭射手団の目立ちたがり》実装の影響も大きく、グルールアグロを中心とするヒロイック系のアグロデッキを大きくトーナメント級に押し上げました。
魂込めビートダウンもまた、MKMの《泥棒隼の事件》に続いてOTJでは《軍団の成形機械》を得、デッキの骨格を強めています。
《大いなる創造者、カーン》の禁止により一時衰退していた緑単信心も、《荒野無頼団の先駆者》実装により実質キオーラ8枚体制となり大幅に強化されました。
その他、サーチ先の《宝物庫生まれの暴君》を得た独創力コンボや、《陽気な哀歌》によりサーチ性能・継戦性能を上げたアマリアコンボ等もありますが、マイナーアップデートにすぎないでしょう。
そして、パイオニアではTier1のラクドスヴァンパイアに対して相性が良いことが判明してきた5Cニヴの存在感も増していました。
OTJで得た《古のヤギ角》が切り裂き魔の高速なダメージレースを緩和し、シルバーバレッド戦略により切り裂き魔に強い《太陽降下》を再現性よく唱えられる点が評価されてきていました。
しかしながら、エクスプローラーにはこの間にもキーカードである《白日の下に》が実装されませんでした。
結果として、ラクドスヴァンパイアを明確に有利なアーキタイプがないまま6月のエクスプローラー予選が開かれることとなりました。
ここまでが筆者個人で収集した情報に基づくメタゲーム分析です。
この後、詳細な情報を得ることを目的に、はじめまどかさんのポストよりShelterというdiscordサーバに参加させていただきました。
ここではエクスプローラー予選に向けた調整が行われており、筆者も(テイカー的な参加になってしまい恐縮ですが)その調整内容を参考にさせていただきました。
特にラクドスヴァンパイアの調整を精力的に行っていたhara yuitoさんが参照されていた以下の記事は、サイドボーディング戦略まで事細かに記載されており大変学びを得ました。
~6/14 デッキ調整
最終的には上記の記事のリストに対して以下の通り筆者なりの微アレンジを加える形で本戦に臨みました。
メインデッキ
OUT:《薄暮軍団の盲信者》x3
IN:《腐食の荒馬》x3
このデッキで一番目に付いたのは2マナ域の弱さです。
既に固定パーツとして定着した《税血の収穫者》以外に優秀な吸血鬼パーツがあまりプールになく、Channel Fireballもただのキャントリップ生物である《薄暮軍団の盲信者》が最適解としたくらいには層が薄いです。
ラクドスミッドレンジにおいてはしばしばこの枠は《勢団の銀行破り》や《砕骨の巨人》/《踏みつけ》で埋めてきたと思いますが、このデッキにおいては強みである速さを殺すようなパーツであり筆者にはそこまで魅力を感じられませんでした。
そしてこの思想はChannel Fireballも共通していたからこそ、苦肉の策で《薄暮軍団の盲信者》に白羽の矢を立てたのだと想像しました。
そこで、プロツアー当時存在せずChannel Fireballが採用し得なかったカードの中から《腐食の荒馬》に目を付けました。
このカードは不確定要素こそ多いものの明確にアタッカーを努められる2マナ域でありながら、《分派の説教者》同様に放置するとアドバンテージを稼ぎ続けるエンジンでもあります。
パワー3が少ないため騎乗前提での採用はできませんが、それを無視してもこのデッキの目指すゲームプランにマッチしていると考え採用しました。
同様の役割を担えそうなカードに《太陽の執事者、インティ》もありますが、プレイの選択肢の幅の多いこのデッキには衝動的ドローがあまり合わないと考え採用を見送りました。
OUT:《ドロスの魔人》x1
IN:《ゲトの裏切り者、カリタス》x1
もう1つこのデッキの気になる点が、4マナ域が浮いているところでした。
《ドロスの魔人》はミラーで切り裂き魔と対峙できるサイズであり、このデッキの速さを後押しする明確に単体で強力なカードですが、3ソリンから出せない・《魂の洞窟》を吸血鬼指定すると出しにくい・レースが成立しなくなったときにサクる手段がない、という点でラクドスヴァンパイアとはそこまで相性が良いように感じませんでした。
そこで、耐アグロ性能・メインからの墓地対策を買って1枚カリタスを採用することにしました。
伝説で重ね引きが弱い/寓話でコピーできない・切り裂き魔の強さが半減、等のネガティブな理由も残ることから、1枚刺しに留めました。
サイドボード
OUT:《夢を引き裂く者、アショク》x1、《墓掘りの檻》x1
IN:《勢団の銀行破り》x2
主にアマリア向けの対策カードですが、メタゲーム的にラクドスヴァンパイアへの睨みを強めるべきと考えてアドバンテージ源である《勢団の銀行破り》に差し替えました。
前週のBO1で行われたプレイインではアマリアコンボだらけだったという話もありましたが、BO3では逆に忌避するのではないかという推定に基づきます。
1/13 Day1
アーカイブ動画も残していますので、是非ご視聴ください。
各対戦の勝敗は以下の通りです。
vs アマリアコンボ ×○×
vs 無駄省き ×○○
vs グルールアグロ ○○
vs アマリアコンボ ○×○
vs グルールアグロ ○×○
vs 赤単アグロ ○×○
vs アマリアコンボ ○××
vs アマリアコンボ ×○○
vs アマリアコンボ ○×○
3戦目を除き2ゲームで終える試合はない際どいマッチが続きましたが、7-2の戦績でDay1通過することができました。
マッチングの偏りはかなり感じ、アマリアコンボに5度も当たるのはメタゲームからもかなり外れていそうです。
前項に書いた通り、正直アマリアコンボへの警戒を緩めていたため大変向かい風でした。
印象的であった試合として、8マッチ目のアマリアコンボとの1G目を紹介します。
このゲーム、負けてしまったのですがエクスプローラーのこのマッチングにはあるまじき、決着まで15ターンも掛かったゲームです。
しかしながら実際には最速である先手3ターン目にコンボを決められていました。
当然の如くデッキトップに《霊気貯蔵庫》を固定されますが、筆者としては残された生き残る筋は相手に4マナまで到達させる前に相手ライフを50点以下まで削ること、と考え試合を続けます。
かなり薄い勝ち筋であることは重々承知でしたが、ファストランドでもたつく可能性も含めこれに賭けたところ、幸いにもこのプランが成立しました。8ターン目にライフを50点以下に戻した瞬間がこちらです。
結果的にはここから追加で2度コンボを決められゲームには負けてしまいましたが、執念が通じたのか残りのゲームには勝ちマッチをもぎ取りました。
このゲームを通じてメンタル面で安定できた(プレミをしにくくなった)可能性も高いです。
初戦のアマリアコンボ戦を落としたため暗雲立ち込めたスタートでしたが、結果的には対アマリアにも3-2と勝ち越し、悪くないメンタルでDay2を迎えます。
1/14 AM Day2 事前準備
Day2を迎えるにあたり、一つ仮説を立てました。
Day1での様々な報告を見てもイゼットフェニックスを握っているとの報告が非常に少なく、今回の予選メタゲームにおけるイゼットフェニックスは存在感がかなり薄いのではないか、というものです。
パイオニア制定以降常に使用率上位にいるアーキタイプという印象があったが、Tier1のラクドス吸血鬼、特に《ドロスの魔人》への解が少ない点が致命的だったのかもしれません。
緑単信心の隆盛による《減衰球》のサイドインがついでに刺さる上に、自身がそれを採用できない点も影響しているかもしれません。
以上を考慮し、以下の通りサイドボードの変更を行いました。
OUT:《虚空の力線》x4
IN:《夢を引き裂く者、アショク》x2、《墓掘りの檻》x2
アショク・檻で一応イゼットフェニックスへの警戒も残しながら、前日終盤に当たりまくったアマリアコンボへの警戒心を最大限に強めた形です。
(終盤までやっている≒Day2に出場可能性が高い、という予想に基づきます)
ラクドスヴァンパイアも引き続き最大勢力であろうことからアショクを1枚にして3枚目の《勢団の銀行破り》をすることも考えましたが、このデッキにおいて1枚と2枚の差は大きいと思いこの形としました。
1/14 Day2
アーカイブ動画も残しておりますので、是非ご視聴ください。
各対戦の勝敗は以下の通りです。
vs ラクドスヴァンパイア ○××
vs クイントリウスコンボ ○×○
vs クイントリウスコンボ ○××
結果としてはラクドスヴァンパイアを狩りにきたクイントリウスコンボに当たり、最後はダブマリ土地事故によって終戦しました。
これでDay2は4回連続1-2であり、メンタルの呪いが今回もしっかりと働いてしまった形です。
敗因
Day1は通過しているので勝因としたいところですが、今回は敢えて敗因に触れます。
①メタゲーム把握がまだ弱い
私なりにはメタゲームの分析を他の人も頼りながらしていたつもりでしたが、結果的にはDay1・Day2とも戦略から外れたデッキに当たり負けています。
メタゲームは生物とも言いますが、特にDay1でアマリアコンボを握った人がDay2でデッキを変える可能性については頭から抜けていました。
私自身がリミテメインのプレイヤーであることを言い訳にDay1⇒Day2でデッキを変えることをしたくなくなっていましたが、今後はこの敗因を忘れずに、デッキ選択自体から再検討することを選択肢から外さないようにしたいです。
なお、結論から言えばラクドスヴァンパイアを選択したこと自体は失敗ではなかったと言えます。
Day2完走報告を確認した限りは今のところすべてラクドスヴァンパイアであり、やはり環境で頭一つ抜けた強さのデッキだったようです。
ここについてはしっかりと自分を評価しつつ、弱いところを補完していきたいです。
②プレイングが弱い
リミテッドでも痛感している点ですが、私はまだまだ完璧からほど遠いプレイングしかできません。
特にリミテッドよりも環境理解度の低い構築では、強者と異なる選択肢を選んだ場面は多いでしょう。
その最たる例として、Day2 第1マッチ 第2Gでのリーサル逃しの場面を紹介します。
この場面、相手はフルタップなので《キキジキの鏡像》で切り裂き魔をコピーしてフルパンチすれば勝っていたのですが、相手の《覆い隠し》のために鏡像のコピー生成を構えることが頭から離れずにターンをパスしてしまいました。
これは、このターンに3ソリンを引かない場合は正解のプレイだったかもしれませんが、引いたときにすぐにプランを再考できなかったが故の過ちです。
正しいプレイングができていれば第1マッチは取れており、4回連続1-2の呪いが解けていたので悔いしか残りません。
自身への戒めとして、恥ずかしいもののしっかりと残させていただきます。
③時間というリソースに甘い
最後は②にも通じますが、時間を有効活用できていないと思います。
言い訳として、曲がりなりにも配信をしたりする手前、普段は視聴者が見やすいようにプレイングを早く行う癖があります。
実際今回のDay2も配信は行っていたため、無意識にそのようなプレイングになっていたかもしれません。
筆者自身はタイムアウトで負けることがあまりないため、相手のタイムアウト負けを狙うことは結構多いです。
一方でその見返りとして再考が苦手となっているかもしれず、今後は残された時間を(タイムアウト負けに繋がらない範囲で)有効に使うことを意識したいです。
精神論かもしれませんが、一度自分のターンを貰った瞬間に深呼吸するくらいでもいいのかもしれませんね。
以上、本当に自己中心的な振り返りですが、筆者としてはこれらが敗因であったと分析しています。
おわりに
ここまで読んでくださった方、誠にありがとうございます。
今後も事前環境予想やデータ分析のコツ等をできる限りnote記事にしていこうと思いますので、また読みに来ていただければ幸いです。
また、私のDiscordサーバも開設したので、こちらにもお気軽にご入室ください!
リミテに関する質問や議論、中には指導してくれる方もいらっしゃいます!
それでは!また次回記事か配信でお会いしましょう!
バイバイ、さよなら、再見✨