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【観劇】魚先生、木登りやめたってよ by 舞台創作チーム サンリミット

 脚本においても、演出においても、とても挑戦的な作品だなと感じてました。(「いました」というのは、稽古場見学させていただいていて、お話もすでに伺っていたからです。)だって、後半、先生方がひとりずつ独白していくのはなかなかにデリケートな話なのに、それをコメディタッチで仕上げるというのだから、とんでもねえことです。

 いや、重い話である分、コメディ要素で観やすさのバランスを取ろうとしたのかもしれないけれど、私には難しい。

 さらに凄いのが、こんな難しいチャレンジを≪一般公募≫でやろうというのです。演技初心者の役者さんも居る、経歴も演技法もばらばらの役者たちを、果たしてどうやってまとめていくのか、私はちょびっと不安な気持ちでした。

 しかし本番、客席で私は感動していました。

 役者さん皆が、とてもとても魅力的でした。経験値はバラバラのはずなのに。しかも、それでいて演出家のタッチが感じられました。統一感、というか、団結感に近いものです。役者が役者たちを、演出家を信じて、共に築き上げてきた成果なのだと思います。一人一人がちゃんとキラキラしていて、一つの世界観が完成されていたように思います。

 音響照明の効果も素晴らしかったです。夏の匂いすら感じる環境音、独白に入るところの演出もめちゃ良かった。オープニングとエンディングのダンスパフォーマンスも、やはり光が入ると全然変わりますね。やっぱり音響照明って凄い。お笑いシーン、シリアスシーン、ダンスシーン、それぞれがすんなりと受け入れやすかったのも、結構な見応えある話なのにあっという間に時間が過ぎたのも、それらの演出が良かったからだと思います。

 すごいな、サンリミット。

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