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本屋チーム、始動。

「栞日の本って、ぜんぶ菊地さんが選んで仕入れているんですか?」

はじまりは、ある日、喫茶の閉店業務を終えて、湯屋に顔を出したとき、番台に座っていた文月ちゃんから、こう訊かれたことでした。

「うん、そうだよ。いまのところは、ぜんぶ僕」

ふーむ、やっぱりそうかぁ、という表情で、ひと呼吸おいて。

「わたしもやりたいです、選書」

「ぇ…」

今度は僕にすこし間があって、でも、次には答えていました。

「ほんと?じゃあ、ぜひお願いしたいな」

戸惑ったのは、長らく捜し求めていた解が、思わぬタイミングで、思わぬ方向から、飛び込んできたから。

開業以来、一貫して「本屋」を名乗りつつも、僕の好奇心の奔放さ故に、「本屋」としての見識を深めることを疎かにし続けてきた〈栞日〉は、いつかどこかでもっと真剣に「本」と向き合わなければならない、そして、そのときには、僕の偏った興味関心で編成された狭い守備範囲の「本棚」から脱却するためにも、一緒に取り組む「誰か」を見つけなければならない。数年前から、ずっとそう考えてきました。

その「誰か」が目の前に居て、手を挙げてくれているのです。この幸運な状況を理解するためには、それ相応の間が必要でした。

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その数日後、さらに有難い事態が舞い込んだことを、文月ちゃんから告げられました。

「このまえ、梅ちゃんに(選書のことを)話したら、梅ちゃんもやりたいって」

梅ちゃんが、もともと本を(本に限らず、音楽も映画も写真も)好きなことは知っているつもりでしたし、実際に〈栞日〉でも入荷した新刊をたびたび(しかも、入荷するとすぐに)買い求めてくれていることも把握しているつもりでした。が、うん、そうか、選んで仕入れることにまで関心があったのか、と、これまた嬉しい驚きでした。

かくして、3人で話し合い、僕は直取引代行の〈トランスビュー〉と新規契約を交わし、契約は交わしておきながら発注には至っていなかった〈子どもの文化普及協会〉とも連絡を取り直しました。これまで僕が個々別々にやり取りしてきた著者や出版社による独立系出版物のほかにも、仕入れの振り幅を広げるために、いくつかの道を開いてみたのです。

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いま〈栞日〉の2階に進んでいただくと、文月ちゃんと梅ちゃんがふたりで相談を重ねながら選び抜いた、初めての発注で届いた本たちが、出迎えてくれます。そして、その初回発注の納品に合わせ、既存の本たちも含め、本棚全体の並べ替えも試みてくれました。繰り返し〈栞日〉を訪れてくださっているみなさんにとっては、きっと、「本屋」のフロア全体が新鮮な印象を与えてくれるはずです。

もちろん僕も引き続き、本の仕入れと棚の編集には関わります。けれどこの夏、ふたりが加わってくれたことで、この先の〈栞日〉は「本屋」として、より深く、より広く、展開していくことはなります。どうぞ、ご期待ください。(最新の本の仕入れやレコメンドについては、ふたりがメインに更新していく〈栞日STORE〉のInstagramアカウント @sioribi_store を、ぜひチェックしていただけたら!)

文月ちゃん・梅ちゃん、改めて今回は、どうもありがとう。これから、よろしくお願いします。

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