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ふつうの日記 2021.08.08『充電ケーブルと人の子の運命』

・充電ケーブル

 スマホの充電ケーブルに限界が来ている。スマホに差して、手を離して二秒経つと、充電中のランプがパッと消えてしまう。たすけて~。
 こうなってくるともう、頼れるものは創意工夫だ。接続部分をぐりぐりと押し込んだり、ちょっと左右に傾けてみたり、電気が通り続けるベストポジションを探す。ぐぬぬと唸りながら5分ほど試行錯誤して、ようやく見つけたのはなんとも微妙な位置だった。接続部分を左に傾け、しかし穴の縁にはギリギリくっつかないくらいの角度で止めておく。ずっと手で支えていれば問題ないが、充電のために長時間片手を犠牲にするわけにはいかない。
 私はしばらく呆然と立ち尽くしてから、苦し紛れにコードを椅子の背もたれと机の間に挟み、むりやり向きを固定した。それから数時間部屋を離れて、戻ってきたときにはやっぱり充電ランプは消えていた。画面に表示された「充電終了」の字に、ほろりと涙が一筋こぼれた。すみません、これは嘘です。
 今のスマホを買ったとき、充電コードを二種類提示された。USBとして差し込むタイプのものか、台の上にスマホを置くことで充電するタイプのものか。台の上に置いとくとズレちゃいそうだな~と思って差し込むタイプを選んだけど、それでも結局ズレるようになってしまった。どんな選択をしていても、定められた運命には逆らえない。人生とは結局そういうものなのかもしれない。人とはなんと哀れな……。
 しかし、哀れな人も一応運命に抗うことはできるのだ。100均で新たな充電ケーブルを買うことで……それがいつか、今のケーブルと同じ運命を辿るとしても。


・腰

 腰が痛い。凝っている感じで痛い。腰の上をペンギンの行進に横断されることによって揉まれたい。


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