ふつうの日記 2021.08.30『惣菜180°』

・惣菜

　お惣菜をひっくり返してしまった。落下したのが机の上だったことが、せめてもの救いだった。しかしなんといったらいいか、なんともドラマチックな落とし方だったので日記にします。食べ物を傷つけてしまった話なので、苦手な方にはすみません。お惣菜はちゃんと全部美味しくいただきました。
　そのお惣菜は、大根の酢の物だった。うっすらと柚子の味がついているやつ。私はそうめんと一緒にそれを食べようと、ウッキウキで机に運んでいた。パックの端を両手で持って、かなりニヤニヤしていたと思う。これからお昼ごはんだ！久しぶりのそうめんだ！そうめんってしょっちゅう食べると飽きちゃうけど、たまに食べるぶんには美味しいんだよな～！きっとこの酢の物と一緒に食べたら、夏らしくてさっぱりして美味しいぞ～！……とニヤニヤしたまま、そうめんとおつゆが並んだその奥にパックを置こうとして、ひっくり返した。
　パックの端を掴んでいた指先が、左右同時に滑ったのだ。パックは空中で水平方向に半回転し、ベチン！と音を立ててひっくり返されてしまった。
「うわぁーーーーーーーーーーーっっっっ」
　私は叫んだ。本当にこう叫んだ。ショックだった。パックは酢の物を美しく詰められたままの形で、ただ逆さまになって机の上に存在している。私はしばらく硬直してから、よろよろと台所に向かいフライ返しを手に戻った。酢の物の下にフライ返しを差し込み、勢いよく回転させて正しい向きに直す。お惣菜は何事もなかったかのように、食卓に並んでくれた。しかし私の心はもう、あのウキウキを失っていた。
　酢の物はとても美味しかった。そうめんにもよく合っていた。素晴らしい食卓だった。だけどごめん、酢の物。私が君を傷つけたという過去は消えないんだ。酢の物……。美味しくも切ない昼食になった。あと、人間って本当に「うわーーっ」て言うんですね……。現場からは以上です。

・じゃがりこ：その２

　このやろ～～！もう胃の調子なんか知るか！明日にはきっと食べてやるからな！じゃがりこ～～～！