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ふつうの日記 2021.09.10『印刷ジェットコースター』
・印刷
印刷が苦手だ。印刷をするたびについついイライラしてしまう。人生にライバルがいるとしたら、私のそれはプリンターだ。
印刷というのは大抵、作業の最終段階だ。印刷をとりあえずの目標として作業を進め、最後に印刷をして、残った作業はちょっとした調整とか印刷したものをまとめたりとか。印刷をするぞ!というとき、私はいつも浮かれている。印刷さえすれば、辛く苦かった作業から解放される……そんな気分になるのだ。
今日も私は浮かれていた。よし、これであとは印刷するだけ!プリンターの電源を入れ、印刷ボタンをカチッとクリック。直後、プリンターから異音がし始めた。紙が詰まってしまったのだ。
この時点で浮かれた気持ちは台無しになる。スッと気分が凪いで、真顔になる。100だったテンションがちょうど0に戻る。詰まった紙を取り出し、詰まった原因を推測する。パソコンで設定した用紙サイズが間違っていた。直す。印刷をクリック。プリンターから異音。紙詰まり。
この時点でテンションは-10くらいになる。真顔の頬が引きつる。パソコンと睨みあう。プリンターとも睨みあう。異常はない。さっきは目を逸らした、もっとも信憑性の高い原因に行き当たる。
紙が薄すぎるのだ。この日のために買った紙が。1000枚入り2500円の紙が。
このときにはもうゲッソリと頬がこけている。-50。家に同じサイズのコピー用紙はない。買いに行く。印刷中に食べようと思っていた、チョコミント味のパナップを置いて。
紙を買ってくる。印刷する。スムーズだ!テンションは少し戻る。-10。アイスを食べる。30。漫画を読む。70。気がつくと、プリンターがいやに静かだ。50。インク切れ。30。替えがない。-50。さっき着替えたばかりの部屋着を脱ぎ捨てる。-70。近所のスーパーに行くが、型の合うインクがない。-120。少し遠くの家電量販店まで歩く。-200。
その後どうにかインクを買い、印刷を終え、今はもう夜だ。テンションは0。完膚なきまでに真顔。印刷をするといつもこうだ。毎回何かしらのトラブルが起こり、ジェットコースター的にテンションが急降下する。1日の計画は印刷にすべて潰されてしまう。破天荒な主人公にことごとく邪魔されて、「ワ、ワタシの計画が……!」と取り乱す悪役の気持ちがよく分かる。
私の部屋では今、完成した印刷物と1000枚の紙が寄り添いあっている。1000枚の紙、困る。-20。読者プレゼントと称して、あなたに200枚くらい送りつけちゃおうかな。
・50回
お休み報告の回を除くと、今回が『ふつうの日記』第50回です!!いつも読んでくださってありがとうございます。励みになります。印刷できないペラペラ用紙を送りつけたりはしないので、これからもよろしくお願いいたします。
それから、第50回を祝して傑作選を作りました!よかったらチラッと覗いてみてください。山ごろしでした。