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ふつうの日記 2021.08.06『山根くん、それはフィクションへの扉』

・山根くん

 胃が痛い。数年前に一度胃を壊してからよく胃痛に悩まされるようになり、今日は胃痛Dayだった。
 胃が痛い。私はもともとお腹を壊しがちでもある。ちびまる子ちゃんに山根くんというキャラがいて、彼も胃腸の弱さに悩まされている。山根くんを見るたびに思う。私は山根くんであり、山根くんは私なのだ。山根くんの苦しみは私の苦しみであり、私の苦しみもまた山根くんの苦しみなのだ。現実とフィクションの壁を超えて、山根くんと私はひとつになる。二人の胃腸を杖として、私はちびまる子ちゃんの世界に足を踏み入れることができる。まる子と同じ教室で胃を壊すことができる。山根くんもまた、この現実に身を置くことができる。私と同じように、布団の上でお腹を抱えることができる。山根くんがお腹を壊しているとき、私はちびまる子ちゃんの世界の住人になる。私がお腹を壊しているとき、山根くんはこの現実に訪れている。アニメや漫画の世界に入り込みたい、架空のキャラクターが現実に現れてほしいと長年切に願ってきたが、私は既に成功していたのだ。高校二年生の夏、ストレス性胃炎によって体調を大幅に崩し、顔が緑色になったあのときから。
 胃が痛い。山根くん、君もいま胃が痛いかい。


・サバサバ女子

 網浜よ、世界を生き抜け。

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