OK!ロビン!!ー保護猫と私の物語
朝、目を覚ますと傍らの黒猫に目をやるのが、いつしか一日の始まる合図になっている。
私の肩にピッタリ添うように弧を描いて眠っている毛むくじゃらの相棒は、
お付き合い程度に薄目を開けて
え、もう起きるの?
まだ早いじゃん
もっと寝ようよ?
と、半開きの目で語り、再び心地よい眠りの国へと引き戻されていく。
ちょっと羨ましくもあるが、人間の方はそうもいかず、朝のルーティーンをこなすこととする。一息つくと、時計の針はもう12時を回ったあたりまで歩みを進め律儀に時を刻んでいるではないか。
慌ててパンを齧りながらコーヒーを流し込み、いざ!と仕事を始める。
ようやく起きてきた黒猫は足に頭を擦りつけ、にゃあと挨拶してから大きな目でじっと私を見上げる。
で、
お外へ出たいよ〜
出たいったら出たいよ〜
出たい〜〜〜
と、おっしゃる。
ドアを開けてさし上げ、仕事の続きをする。
約2時間経過
すると、今度は窓に張り付き網戸を引っ掻いているではないか!
お家の中に入りたいよぉ〜
入れてほしいよぉ〜
入れてくんないと寒くて死んじゃうよぉ〜
と、のたまうのである。
こうして黒猫を入れたり出したり入れたり出したりしているうちに日がくれる。
ネコ扉を付けよう説も浮上したのだが、冬はマイナス20度にもなるこの土地で、外の風が吹き込む環境を作る勇気はついに出ず、今に至っている。
事の始まりは、そもそも飼っていた猫が天国へ旅立ち、喪に服していた子どもの気持ちが落ち着いたかと思ったら、今度は、夏の入道雲の如く大きな猫愛がムクムクと湧き上がってきたらしく
欲しい!
欲しい!
猫が欲しいよ〜〜〜!
と連呼し続けたからである。ネットで見つけた保護団体に連絡してお見合いをする事にしたのだけれど、15歳の少女と生後3ヶ月の愛らしい黒猫が出会ったが最後、お見合いだけで済む筈もなく、待ち合わせたパーキングからの帰り道にはもうすっかり車上の猫となっていた。
保護団体の方によれば、お母さんは白い洋猫でお父さんが黒猫とのことだった。だから隠れて見えない生え際は白く見かけは黒という不思議ちゃんなのだった。ボランティアさんは、黒猫をしっかり抱きかかえたとえ世界が終ろうとも絶対手放さないぞ!的オーラを半径10 mほどの範囲に発散している子どもを見ながら「いい方に出会えてよかったです。」と笑っておられた。
娘は、黒猫にROBINという名前を与えた。ROBIN HOODがその由来だそうで毛むくじゃらには分不相応とも思えたが、後年、森の中を闊歩しハンティングなども嗜むようになったので、あながち名前負けとも言えまい。
以来、13年の長きにわたり、黒猫は我が家で棲息しており我が物顔で家の中を(外も)闊歩しているのである。
ただ飯を食うのは猫といえども気が引けるだろうと、モデルもさせてみたりして。
時々、批評家もやってくれます。
猫も長く暮らすと気心が知れた友達のような存在になるのだなぁと最近つくづく思う。たいして大きくもない脳みその持ち主であるにもかかわらず、人の感情の変化には敏感すぎるほど反応するので、逆に猫の側のメンタルが心配になるくらいだ。
ねえねえ、
開けてよ?
早く〜〜〜〜!
あ、帰ってきた。
またドアを開けなくっちゃ
クリエイター兼ドアマンが私の仕事である。
けれど、この小さな生き物がいてくれたおかげで、私はどんなにか救われた事だろう。
心にポッカリ穴が空いた時
膝に乗ってくるのは
どうしてなんだろう?
眠れない夜には慰めてくれたよね?
ねえ、大丈夫?
って
聞いてくれたよね?
猫語で
その小さな体の
いったいどこから
愛は生まれるのだろう?
保護猫というけれど
実のところ、保護されているのは人間の方ではあるまいか?
ともあれ
I realy realy love you Robin♪
え?
なに?
ちゅーる?
OK!
Robin!
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