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殺人罪及び内乱罪及びうんこビーム等準備罪

 ようやくここまで来た。長い、長い年月だった。ついに成し遂げたのだ。
 私の夢が叶う時が来た。私は万感の思いで立ち上がり、ベルトを外し、国会議事堂にてパンツを下ろした──

 2016年11月25日、この日私こと尻藤便光(しりとうべんみつ)15歳に天啓が降りた。

『うんこがビームだったらいいのに』

 まだ10代だった私にとって、それはあまりにも刺激的な空想(クソだけに)だった。友人に話しても誰一人として共感してくれるものはいなかった。むしろそんな絵空事を語るロマンチストな私にイジメの矛先が向くこととなってしまった。わたしはある日を境に『便ビーマー高橋』と呼ばれるようになり、それを縮めて『便ビ』、さらに転じて『ポリ便化ビニル』、『ポリ便』、『ポリ便ショック』、『下痢チュウ』、『下痢チュウはあまりにも面白くない』、『センスが全く感じられない』、『何番煎じかわからないネタを未だに擦ってる』、『こいつつまんねぇ』、『無視しようぜ』、『明日からこいつが下痢チュウな』と変遷し、『下痢チュウ』を出した奴が次のイジメの対象になってしまったのだった。

 だがたとえいじめが終わったからといって、やられたことが消えるわけではない。人間関係はうんこのように簡単に水に流せはしないのだ。そこで私は…あ、え、待って。今上手いこと言ったかも。え、やば。ちょ、ここ、ここスクショとって。スクショとって拡散してちょ。ツイッターでバズってちょーよ。おねがいちまち。ぷ。

 そういうわけで私は47歳にして衆議院議員となった。Vtuberの裏垢にうpされたスクショが24万いいねを稼いだ功績が認められた形だ。初めは少子高齢化対策と消費税率の削減を掲げホノルル2区から出馬していた私が、遂にパンケーキ屋さんの所得税を87%に引き上げる第一歩を踏み出すに至ったのである。感無量だ。

 さて、パンケーキ屋さんの所得税が急激に上昇したことによりパンケーキ屋さんは廃業せざるを得なくなった。するとパンケーキを食べられなくなった夢屋まさるが「パンケーキ食べたい♪パンケーキ食べたい♪」と手を上下に突き出し始める。しかしいつまで経ってもパンケーキは提供されない。この喪失感により夢屋まさるはさらに運動を加速させる。約5ヶ月後には腕の運動だけで毎分350ギガワットの電力に相当するエネルギーを生み出すことが可能になる。この夢屋まさるを『夢屋超エネルギー生み出しまさる』として私から特許を申請し認可。夢屋超エネルギー生み出しまさるを私のへそピアスに固定されたタービンに繋ぎエネルギーを大腸へ送ると巨大なエネルギーを与えられた私のうんこは急速に融解し分子が高速で運動、核融合が発生し肛門からうんこをビームとして放出することができるのだ。

 こうして、綿密な計画の末うんこビームは実現した。今日がビーム排泄の誕生日である。私は犠牲になった20匹の朝青龍の慰霊碑に手を合わせてから本日の予算委員会に向かった。私の夢が叶う場所として、国会議事堂は申し分ないだろう。

 晴れ晴れとした気持ちで席に着く。名札には『尻藤便光』の文字が輝いている。すでに夢屋超エネルギー生み出しまさるによるチャージは始まっている。超高速高音の『パンケーキタベタイ』が鳴り響く中審議は進む。チャージが終了した。
「はい」
すかさず挙手する。
「尻藤くん」
ようやくここまで来た。長い、長い年月だった。ついに成し遂げたのだ。私の夢が叶う時が来た。私は万感の思いで立ち上がり、ベルトを外し、国会議事堂にてパンツを下ろした。ざわつく国会。飛び交うヤジ。しかし今の私にそんなものは届かない。今の私に届くのはウォシュレットだけなのだ。

「ふっっ!」
私のいきみにあわせて肛門括約筋が開き始める。瑠璃色の光が漏れだした。それはあまりにも幻想的で、ふと涙が一粒頬を伝った。
「んん!」
肛門はもはや臨界を迎えようとしている。強烈な熱と放射能に焼かれ、まるで辛いラーメンを食べた次の日のようだ。でもあれ実際は夜だよね。昼に食ったラーメンが夜出てくるんだよね。もっとちゃんと消化しろよ!って思うんだけどもう痛くて仕方ないからそのうち何も考えられなくなってしかも夜だからそのままトイレで寝そうに

ピシュウウウウウウウウン!!!!



…快感だ。私は今、尻からビームを出している。

シュワアアアアアアアン!!

私の便ビ(便ビームのこと)が数人の議員を巻き込みながら議事堂を真っ二つに分断する。私は笑顔のまま便ビをひる悦びに浸っていた。

 青色の光の奔流は20秒間放出され続け、永田町は放射能に沈んだ。国会は機能を停止し三権分立は崩れた。私はといえば、全ケツのまま防護服を着た機動隊にタイーホされ、殺人罪及び内乱罪及びうんこビーム等準備罪の罪で懲役2年11ヶ月を課された。しかし私に後悔は無い。案外罰則も軽かったし、何より夢を叶えることができたからだ。下痢チュウにも見せてやりたかった。いや、今はアイツのことは忘れよう。とにかく、頑張っていれば夢はいつか叶うのだということ。ただそれだけがあなたに伝われば満足だ。



やべ、ちょっちクサいこと言っちったwうんこだけにwなんちってwwてへwうんこだけにwクサいってwんふw最高すぎwまじやばいwうんこだけにwwwうwんwこwだwけwにww

〈終〉

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