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喰らい

 先日、帰り道に死体遺棄現場を発見した私は、すぐに別のルートを家路とした。
 
 しばらくは何事もなく帰っていたのだが、この道でも不可解なものを見つけてしまったので、紹介しようと思う。

 場所はとある高架下のトンネル(またトンネルだ!)。上に高速道路が通っており、家に帰るにはそこを通過する必要がある。昼でも薄暗く、どこか汚らしい印象で、しかもそれなりに車通りがあるので私はあまり好きでは無かった。

 普段からゴミのポイ捨ての多いところで、段ボールやらの大きなゴミも珍しくない。その日もトンネルに入るや否やゴミが落ちていた。そんなところだから、一瞬気づかなかった。トンネルの出口に放置されたあれに。

 
箱。箱である。見たところ一面以外はガラス張りで、横に落ちているのは台座だろうか。どうやら日本人形を飾ったりするようなガラスケースのようだ。なるほど、確かに色々処分に困りそうな代物である。どうしようも無くなってここに置いていったのだろう。無理もない、あんなものが入っていたら当然…

 あんなもの?
 
 突然の思考の飛躍に違和感を覚えた。なぜあんな言葉が出てきたのか。まるで何か、はるか昔からそこに入っていたものを知っているみたいな。

 そこで私はふと思った。

 いったい中に何が入っていたのだろう、と。

 そう言えば、と思い振り返った。入り口まで戻る。打ち捨てられ、くしゃくしゃになったゴミがそこにあった。


これだ。ミスドの空き箱。ここにミスドの空き箱が落ちているという事は、だ。

 喰らいだ。喰らいがきたのだ。

 ミスド喰らいが来たのだ


 ミスド喰らい。正確には平仮名で「みすどくらい」といい、私の地域に土着の伝承だ。我々は、ドーナツが好物の小さな子供のような姿の妖怪だ、と聞かされている。ただそれだけ。ドーナツが好きだというだけの怪異。

 ミスド喰らいを追い払うまじないというものがあった。幼少期の私たちは、いやもっと前の世代の人たちも、そのまじないをしていた。一体それの何を恐れていたのか、もはや私には思い出せなかったが、とにかくそれをやってみることにした。あんな恐ろしいものは早く追い払うに限る。

 まじないは簡単だ。針金を輪っかのように丸めてそれを持ち歩くだけ。

 それからは特に何も起こっていない。きっとまじないが効いたのだろうと思う。






















 関西のある地域には、『みすどくらい』という怪異が伝えられている。奇妙な名前だが、これは地域の古い方言で、「見ると来る」という意味だそうだ。

多野幸信 『地域伝承に見る知覚領域の拡大』










「あれはみすどくらい言いよるもんだや。そんまんま、誰かがあれを見すと来ようで、見んよう見んようちゅうて言われとる。」

明定社出版『ありえない!?ビックリローカル都市伝説20選!』

























先日、帰り道に死体遺棄現場を発見した私は、すぐに別のルートを家路とした。
 
 しばらくは何事もなく帰っていたのだが、この道でも■■■■■■を見つけてしまったので、紹介しようと思う。 

  場所はとある高架下の■■■■(また■■■■だ!)。上に■■■■■■■■おり、家に帰るにはそこを通過する必要がある。昼でも■■■、どこか汚らしい■■で、しかもそれなりに車通りがあるので私は■■■■■■■無かった。

 普段から■■■■■■■■■■■■■で、段ボールやらの大きな■■も珍しくない。その日も■■■■に入るや否や■■■■■■いた。そんなところだから、一瞬気づかなかった。■■■■の出口に放置された■■に。

いるいるいる

箱。箱である。■■■■■■■■■■■■■■■■だろうか。どうやら■■■■を飾ったりするような■■■■■■のようだ。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。■■■■■■■■■■■■■■■■■。無理もない、■■■■■が入っていたら当然…

 ■■■■■?

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みるな


 ■■■。ミスド■■■■。■■■ミスド■■■■
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ミスド喰らい■■■■■。

 ミスド喰らい。■■■■■■■■「みすどくらい」■■■、■■■■■■■■■■■。■■■■、
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 ミスド喰らい■■■■■■■■■■■■■■■■
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恐ろしいもの■■■■■■■■■■。

 ■■■■■恐ろしい■■■。
 ■■恐ろしい■恐ろしい恐ろしい■■■■■。

 ■■。


死ね


































 みすどくらいを見た者は、必ず腕に針金を巻かされるそうだ。そうすることで異物を識別し、コミュニティを保護していたのだろう。

多野幸信 『地域伝承に見る知覚領域の拡大』






 しかし、現在では逆に魔除けのまじないとして、その地域の子供たちは巻いた針金を身につけるという。原義に則れば、もはや地域の人間は皆取り憑かれている、とでも言うのだろうか。







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