2023年9月17日 念願の紅葉大雪山へ
白雲岳避難小屋でテン泊、星空と朝焼けを堪能して1泊2日縦走を計画していたのだが、秋雨前線北海道通過により、急遽日帰り縦走に切り替えた。日曜日も曇り予報だが降られなければいいや、と決行。
旭岳ロープウェイ下の駐車場で車中泊。
4時半に起きるとうろこ雲に覆われた空にうっすら青色も見えた。
始発6時のロープウェイに乗る(6時からやってるのありがたすぎる)。
乗客が乗り降りすると、この世のクマ鈴が全種類集合しているのかと思うほどの大合奏で、風鈴祭りのようだった。
姿見駅で降り、ヒグマ目撃情報がたくさん書いてあるボードの写真を撮る。北海道の山ではいて当たり前という認識なんだと思う。
観光用の石畳から登山道に入る。ロープウェイ上がもう森林限界なので基本的にずっと稜線を歩く。裾合平から見える西側の斜面は遅くポチポチと始まった紅葉がそれでもとても綺麗。
ヒグマ撃退の雄叫びを練習している男女ハイカーを抜かすと、前には誰もいない。確かこの辺は数日前ヒグマ目撃情報があったよな…と、クマ鈴をよく鳴る位置に付け替え、母にもらったクマ笛を吹き、今日のために購入した熊スプレーをザックからサコッシュに移した。やりすぎでもいい、やはりソロなので怖い!
気持ちの良い稜線を中岳温泉まで行くと、小さな温泉が沸いている。私と同じ360度カメラを持った外人が2人足湯しているのを横目に手だけ浸かった。富士山問題で外人がどうのと嫌な報道もあるけど、私は日本の山を楽しんでいる外人を見ると嬉しくてほっこりする。私も初めての山なのに、よく来たね、と思う。
中岳分岐までの間にいつの間にかうろこ雲が掃いたような雲に変わり、青空が!うろこ雲も写真にするとかっこいいよね、と自分に言い聞かせて楽しく歩いているつもりだったのに、明らかにアドレナリンが分泌されたのを感じ、なんとなく苦笑い。
太陽を隠していた雲がついに流れた瞬間、光に照らされた雄大な御鉢平が眼に飛び込んでき、「あぁ、ほんとにここはカムイミンタラなんだ」と思えて涙が出た。
実は旅の始まりから新幹線に乗りそびれたり現金を忘れてお腹をすかせて札幌をさまよったりそもそもテン泊を諦めたしで登山前にひと泣きしていたので感動もひとしおだ。笑
道々、私かと思うような、ガレージブランドに身をつつんだ女子2人組や(あのキャップは多分色までお揃いだった)、やたら明るいお姉さんとスライドしつつ、ピークを超えるごとに変わる景色に胸を弾ませながらずーっと天国のような稜線を歩き、
北海岳を降りたところに天国みたいなベンチがあったので早めの昼食をとった。
黒岳石室までは3回の渡渉があったが、どこも整備されていて今の時期なら靴もあまり濡らさずに渡れる。
最初の渡渉箇所で前を行くお兄さんが水を汲んでいたので、私もすかさずニュー神器の浄水器付きPlatypusで汲んだ。ちなみにサバイバルキャンプの荒井裕介さんがアド魂で言っていたので、流れに逆らわず汲もうとしたが全然入らなかった笑。
黒岳石室の(山小屋にしては)綺麗なバイオトイレをお借りして、残り半分、旭岳への縦走路へ。 石室からすぐのチングルマ大お花畑(いまはワタゲ)に始まり、こちら側もずっと天国で、ひたすらに感動しながら歩いた。
御鉢平展望台が気持ちよく、予定タイムより早く歩けたのでここで珈琲タイムとする。さっき汲んだ沢の水を浄水し沸かして淹れたエキノコックス撃退珈琲、美味し過ぎ事件。
少し下に座ってお互いの子供の話をする妙齢の男女が気になりつつ御鉢平を眺め珈琲をすすっていると、東側の山の向こうにもくもくと成長する雲を認めたので少し急いで出発。
中岳の手前でヘルメットをした2歳くらいの子供を背負った夫婦とスライド。子供背負ってここ降ったの?!と思いながらがれ場を登り、また美しい稜線に出た。旭岳の方向がガスってきていたが、雨雲ではなく午後のガスのようだったので、クマの心配もあるし行きと同じ道よりは、と当初の予定通り旭岳経由の道を選択。
旭岳に向かう道は淡いピンク色から赤茶色のグラデーションで彩られ、急に異星感が出てくる。
そこから見上げる登山道は…登山道は?どこ登るの?状態。後で調べたら大雨被害でこの裏側のザレ場は踏み跡が消失しているらしく、雪の急斜面のようでかなり怖かった。
必死の思いで頂上に立つと、ガスと強風、さっさと下山開始。しばらくはザレ場だが、こちらの表側はたいぶ歩きやすい(裏側に比べれば!!)。砂に足をとられてキャッキャしてるご婦人方を抜かし、久々に足が棒になりながらガスを抜け、地獄谷の噴気を見て「こんなに勢いよくズバズバ出てて大丈夫なの?」などと考えていたらここで1コケ。完全にお尻をつくコケ。くそー!ロープウェイまであと10分というところでコケたのでした。
ロープウェイからすぐの大雪山白樺荘にドミトリーが空いていたので後泊した。あっっつい源泉に浸かり夜ご飯ももりもり食べたからか、棒になった割には筋肉痛が少ない。
夜中から大雨となり、朝ご飯の時には宿の前の川が濁流と化していた。やっぱりテン泊は諦めて正解だった。
最後は、行きにも寄った大雪旭岳源水で湧水をお土産に帰路についた。
興奮も恍惚も、不安も恐怖も、暑さも寒さもぜんぶ体験した最高の山行だった。
山にいるといつも思うけど、神様がいるなら、そういうことだと思う。
大雪山のカムイのみなさま、お邪魔しました。ありがとうございました。
出会った動物 ギンザンマシコ(赤い鳥)、ユキウサギ、キタキツネ(3匹)、エゾリス(4匹)、ホシガラス(たくさん)、ヒグマ(たぶん0、向こうは私を見ていたかも…)
今回の軌跡
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