オセロで証明された思考力の差 #1
「男性の先輩が作った資料が、女性の上司から修正されてたんだけど、真っ赤になってて笑った。
女性の修正が的を射ていて、完璧。
"もう少し見直しをしてください"って書かれていて、私が男性の立場だったら恥ずかしくて死ぬ🤣」
これといった趣味もなく、SNSでつぶやきを眺めていたとある休日のこと。
たまたま目に留まったのは、女性のイラストがアイコンになっている方のつぶやきだった。
その男性の先輩を卑下する内容に、不安と焦りが入り混じった変な興奮を感じた。
気になってしまい、その女性の他のつぶやきを見てみると…
「例の男性の先輩、休日出勤してるみたい。
私が以前していた業務を主にやってる。
普通に定時内に片付けられる量だと思うんだけど…
仕事ができないと大変、と思うと同時に、給料泥棒でむかつく」
例の男性を更に卑下し、仕事ができない烙印が押されるつぶやきが…。
後輩である彼女が"普通に定時内に片づけられる量"と言っているのに、
先輩である男性が"休日に出勤してまで仕事"をしている事実、
さらに、後輩に馬鹿にされ、給料泥棒呼ばわりされている現実。
ちなみに、私は仕事は出来なくはない。むしろ、社内での評価は高い方だ。時間を掛けて調べ上げ、着実にこなしていき、経験を積むタイプだと思っている。
ただ、他の人ならしなくて済む残業・休日出勤をしてしまっており、ワークライフバランスや人手不足解消のための生産性向上が叫ばれる昨今、残業をしない風土になりつつある現代において、自分の働き方に危機感は感じていた。
彼女のつぶやきが自分に当てはまる部分があり、焦燥感と興奮に駆られてしまっていた。
さらに彼女のつぶやきを見ると…
「弱者男性」や「出来ないオスを出来る女性が支える構造」といった、女尊男卑な内容があった。
つぶやきを見るだけでこんなに興奮してしまうなんて…自分のだめな部分を再認識させられて…焦りを感じているのに…。
焦燥感が入り混じった興奮でおかしくなりそうだ…。
だが、つぶやきを目で追ってしまう。
彼女の数々な女尊男卑なつぶやきにいいねをし、
そして…フォローまでしてしまった。
こんなのを見て興奮してはいけない…。
性癖が歪められてしまう…。
この異常な興奮をどうにかしたい気持ちをぐっと抑え、翌日に備え、眠りについた。
翌日、眠気眼を擦りながら、布団から出ずにSNSチェックをすることから一日が始まる。
アプリを開くと…
新規フォローと新規メッセージがあり、
なんと、昨日の女性からだった。
「こんばんは、フォローありがとうございます。
突然ですが、オセロしますか?」
オセロ…?なんでだろう…?
いきなりの問いに戸惑いつつ、回答する。
「こんばんは、こちらこそフォローありがとうございます。
オセロはあまりしませんが…アプリを入れて何度かしたり…くらいです。どうしてでしょうか?
「もしよければ、アプリでオンライン対戦ができるので、勝負してみませんか?○○というアプリで、対戦を選び、パスワードを…」
なんと、勝負することになってしまった。
正直、テーブルゲームはあまり得意ではない。
複数の選択肢から、先を読み、勝つための道筋を立てることが苦手だからだ。
言わば、思考力に自信がないからである。
それでも以前より成長しているだろう、
楽しみつつやろうと意気込み、
アプリをインストールし、
準備ができたことを知らせた。
「では、お手柔らかに」
彼女の余裕を感じられるメッセージを受け取り、
対戦画面を開いた。
#2 へ続く
執筆するために通うカフェ代に使わせて頂きます。