ロボット手術における指針、施設基準 -work.06-
今回は、保険適用となっているロボット支援下内視鏡手術に関する指針や施設基準についてまとめてみた。各々の領域(消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、婦人科、小児外科など)の関連学会が提唱する当該手術に対する指針がある場合には、そちらが優先となる。
1.指針
まずこちらは、日本内視鏡外科学会から抜粋したものになるが、ロボット支援下内視鏡手術導入の際のベースとなる指針。
◆ロボット支援下内視鏡手術導入に関する指針
https://www.jses.or.jp/uploads/files/robot/shishin/robot_assisted_endoscopic_surgery.pdf
以下に、ポイントを抜粋。
<術者条件>
・術者及び助手は、Certificationを取得。
・Certification取得後30日以内、最長90日以内に初症例実施(推奨)
・30日以内に施行出来ない場合、リトレーニングプログラムに参加。
・リトレーニングを受けられない場合、各施設でのオンサイトトレーニングでも代用可。
・Certificationを取得後、1年間の期間を超えて行っていない医師は、リトレーニングプログラムに参加してから施行する。
<施設条件>
・十分な施設見学
・臨床使用第1例目より、当該術式の認定プロクター等を招聘し、実施。
・レジストリー制度に参加。
施設見学数やプロクター資格基準については、後に記載。
次に、各領域毎の指針について抜粋。まずは消化器外科領域。繰り返しになるが、各々の領域の関連学会が提唱する指針が優先される。
◆消化器外科領域ロボット支援下内視鏡手術導入に関する指針(改定)
https://www.jses.or.jp/uploads/files/robot/shishin/guidelines_for_introduction_robot_assisted_endoscopic_surgery.pdf
以下に、ポイントを抜粋。
<術者条件>
・コンソール医師は、消化器外科専門医および内視鏡外科技術認定取得者。
・但し、内視鏡外科技術認定取得前であっても、消化器外科専門医は、ロボット手術20例(術式は問わない)の助手経験があれば、認定プロクターの指導の下、手術を施行できる。
・チーム内に内視鏡外科技術認定取得者がいること。
・独立したチームで始めるために、同手術の見学あるいは認定プロクターの指導の下での手術を合わせて10例以上経験していること。(ただし、導入2術式目以降は、同条件のもと3例以上の経験があれば、独立して行うことが可能)
・胃、直腸領域においては、各該当術式の内視鏡手術(腹腔鏡手術)の20例以上の執刀経験を有すること。
・食道領域においては、各該当術式の内視鏡手術(腹腔鏡手術)の5例以上の執刀経験を有すること。さらに、日本食道外科学会が認定する食道外科専門医の指導の下に行うこと。
・肝胆膵領域においては、各該当術式の内視鏡手術(腹腔鏡手術)の経験数は問わないが、日本肝胆膵外科学会が認定する高度技能専門医もしくは高度技能指導医の指導の下に行うこと。なお、肝胆膵領域に関しては、後述の「ロボット支援下膵切除術導入に関する指針」を優先する。
<施設条件>
・各術式のロボット支援下内視鏡手術を導入する際には、該当術式の手術見学を最低1例以上行うこと。
・ロボット支援下食道手術を施行する場合、日本食道学会が認定する食道外科専門医が1名以上常勤で配置されていること。
・ロボット支援下肝胆膵手術を施行する場合、日本肝胆膵外科学会が認定する高度技能専門医もしくは高度技能指導医が1名以上常勤で配置されていること。
特に、食道領域、肝胆膵領域においては、専門医(高度技能専門医)や高度技能指導医の下に施行することや、1名以上の常勤での配置が義務付けられていたりと、より厳しい条件(術者および施設)が設定されている。
また、肝胆膵領域においては、別に以下の指針が設けられており、より厳しい条件が課されていることが伺える。
◆ロボット支援下膵切除術導入に関する指針(改定)
https://www.jses.or.jp/uploads/files/robot/shishin/introduction_of_robot_assisted_pancreatectomy.pdf
以下に、ポイントを抜粋。
<術者条件>
・Certificationの取得。
・取得後30日以内での初症例を推奨。30日以内に施行できない場合はリトレーニングプログラムに参加。最長90日以内での初症例を推奨。
・リトレーニングを受けられない場合は、各施設でのオンサイトトレーニングでも代用可。
・Certification取得後、1年間の期間を超えて施行していない場合は、リトレーニングプログラムに参加。
ここまでは、「ロボット支援下内視鏡手術導入に関する指針」と同内容。
・術者は、消化器外科専門医であること。
・常勤の日本肝胆膵外科学会高度技能専門・指導医および日本内視鏡外科学会技術認定取得者の指導下で当該手術を行うこと。
以下の膵臓手術の経験を有すること。
◆ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の場合
・術者は、開腹、腹腔鏡下、ロボット支援下にかかわらず、膵頭十二指腸切除術20例以上の術者としての経験を有していること。
・腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(再建は含まず)5例以上の経験(うち3例以上が術者)を有すること。ただし、当該施設において5例以上のロボット支援下膵頭十二指腸切除術を経験している常勤医が手術指導を行う場合、術者の腹腔鏡下膵切除術の経験の有無を問わない。
◆ロボット支援下膵体尾部切除術の場合
・術者は、開腹、腹腔鏡下、ロボット支援下にかかわらず、膵切除術(腫瘍核出術以外膵切除部位を問わず)20例以上の術者としての経験を有していること(うち5例以上が膵体尾部切除術)。
・上記のうち、腹腔鏡下膵切除術(腫瘍核出術以外膵切除部位を問わず)5例以上の術者としての経験が含まれること。ただし、当該施設において5例以上のロボット支援下膵切除術(腫瘍核出術以外膵切除部位を問わず)を経験した常勤医が手術指導を行う場合、術者の腹腔鏡下膵切除術の有無を問わない。
また、当該手術を独立したチームとして始めるための条件として・・・
◆ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の場合
・日本肝胆膵外科学会認定プロクターまたは暫定プロクターの指導下で、ロボット支援下膵頭十二指腸切除術3例を経験すること。
◆ロボット支援下膵体尾部切除術の場合
・日本肝胆膵外科学会認定プロクターまたは暫定プロクターの指導下で、ロボット支援下膵切除術(腫瘍核出術以外膵切除部位を問わず)3例を経験すること。
プロクター資格基準については後程触れるが、現在、膵切除術における認定プロクターの取得者数はまだまだ限られている。プロクター指導下において、両術式毎に3例ずつの経験が必要となることから、今後の普及のためには、プロクター取得者の確保と増加が必要なのは間違いない。
◆「婦人科疾患に対するロボット支援下手術に関する指針」の改訂について
http://www.jsog.or.jp/modules/news_m/index.php?content_id=750
以下に、ポイントを抜粋。
<術者条件>
・既定のトレーニングコースを受講し、個人名で使用許可証を取得(必須)した後に、実機あるいはシミュレーターで十分なトレーニングを実施し、操作方法に習熟していること。
・厚生労働省の定めるロボット支援下手術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合)にかかわる特掲診療科の定める経験症例数を有すること。
<施設条件>
・厚生労働省の定めるロボット支援下手術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合)にかかわる特掲診療科の施設基準を満たしていること。
・NCDに各施設で実施施設登録申請を行い(注1)、承認を受けたのち手術を実施すること。
・NCDの症例登録システムに沿って術前・術後に遅滞なく症例登録を行うこと。
・新たにロボット支援下手術を導入する際には、必ず適切な指導者のもとに行うこと(注3)
(注1):登録申請にあたり、手術実施チーム内に日本産科婦人科内視鏡技術認定(または日本内視鏡外科学会技術認定医)が含まれていること。さらに悪性腫瘍手術を行うにあたっては、手術実施チーム内に日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医が含まれていること。但し、いずれも自施設の常勤医に限る。
(注3):指導者は原則として、日本婦人科ロボット手術学会が日本産科婦人科内視鏡学会および日本婦人科腫瘍学会と共同認定するプロクター(学会HPで公表)を推奨する。
術式毎の特掲診療科に定める経験症例数および施設基準については後述。
◆心臓外科におけるダビンチ支援手術のための指針
https://racsc.jp/policy/pdf/policy.pdf
以下にて、ポイントを抜粋。
<術者およびダビンチ手術チーム基準>
・コンソール術者は、3学会構成心臓血管外科専門医認定機構が認定する心臓血管外科専門医であること。
・ダビンチ支援心臓手術を行う前に、後述する「心臓外科におけるダビンチ支援手術教育プログラム」に従い、ダビンチ手術チームを編成の上、全員がトレーニングを修了していること。
・ダビンチ支援心臓手術の開始にあたっては、ダビンチを用いた内胸動脈剥離などを既に経験していること。
・ダビンチ支援僧帽弁形成術を始めるにあたっては、開胸でのMICSによる僧帽弁形成術に習熟していること。
・ダビンチ支援心房中隔欠損閉鎖術を始めるにあたっては、開胸でのMICSによる心房中隔欠損閉鎖術に習熟していること。
・僧帽弁形成術、心房中隔欠損閉鎖術以外のダビンチ支援心臓手術を始めるに当たっては、開胸での当該MICSの手術を十分に経験していること。
<施設基準>
・心臓血管外科専門医が2名以上常勤していること。
・心臓血管外科指導医(修練指導者)が1名以上常勤していること。
・体外循環技術認定士が1名以上常勤していること。
・体外循環使用手術を年間100例以上実施していること。
・心停止下低侵襲心臓外科手術(以下、MICS)を20例以上実施していること。但し少なくとも10例以上の僧帽弁形成術を含めること。
<ダビンチ支援手術に関する基準>
・ダビンチ支援心臓手術の初症例から少なくとも3例までは、後述の「プロクター資格基準」を満たしたプロクターを招聘すること。
・僧帽弁形成術、心房中隔欠損閉鎖術以外のダビンチ支援心臓手術を始める場合は、術式ごとに施設の倫理委員会の承認を得ること。
・JCVSD(NCD)にデータを全例術前登録し、手術成績・合併症発生の頻度等の把握に協力すること。
以下は、心臓外科におけるダビンチ支援手術プログラム。ダビンチ手術チームを編成の上、全員がトレーニングを修了していることが条件となる。
https://racsc.jp/policy/pdf/policy.pdf
◆呼吸器外科領域におけるロボット支援手術を行うに当ってのガイドライン
https://www.jacsurg.gr.jp/committee/guideline_davincii.pdf
以下にて、ポイントを抜粋。
<術者/施設条件>
・コンソール医師は、呼吸器外科専門医であること。
・日本内視鏡外科学会(JSES)が定める「内視鏡手術支援ロボット手術導入に関する提言」を遵守すること。
・コンソール医師ならびに患者側医師は、Intuitive社の定める手順に沿ったトレーニングを受け、Certificateを取得していること。
・ロボット支援手術を独立したチームとして始めるためには、同手術の見学あるいは指導(プロクター)手術を合わせて3例以上(術式毎に1例以上のプロクター手術)を経験していること。
◆泌尿器科領域におけるロボット支援手術を行うに当たってのガイドライン
https://www.jsee.jp/davinci/guideline/
以下にて、ポイントを抜粋。
<術者/施設条件>
・日本泌尿器科学会専門医であること。但し、日本泌尿器科学会専門医取得前であっても、後述の「泌尿器科ロボット支援手術教育プログラム」を修了し、20例の第一助手経験があれば泌尿器ロボット支援手術プロクターの指導の下、前立腺全摘除術を施行することができる。
・ロボット支援手術はコンソール側医師、ならびに患者側医師、直接介助看護師の共同手術であり、これらの参加者は別に示す「泌尿器科ロボット支援手術教育プログラム」を修了していること。ただし、直接介助看護師については、同プログラムを修了した看護師から十分な指導を受けた看護師が務めることができる。
・泌尿器科ロボット支援手術は、前立腺全摘除術から始めることが望ましい。
・ロボット支援前立腺全摘除術、腎部分切除術、膀胱全摘除術を開始する際には、術式毎に認定されたプロクターを招聘する。ロボット支援腎盂形成術、仙骨膣固定術については術識別プロクターを認定していないため、ロボット支援腎盂形成術、仙骨膣固定術を独立したチームで施行している者で、ロボット支援前立腺全摘除術、腎部分切除術、膀胱全摘除術いずれかのプロクター資格を有しているものを当該プロクターとして招聘する。
・ロボット支援前立腺全摘除術を独立したチームとして始めるためには、同手術の見学と泌尿器ロボット支援手術プロクター招聘手術を合わせて10例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)
・前立腺全摘除術以外のロボット支援手術を始めるには、ロボット支援前立腺全摘除術を十分に経験していること。
・ロボット支援腎部分切除術・膀胱全摘除術を独立したチームとして始めるためには、同手術の見学と泌尿器ロボット支援手術プロクター招聘手術を合わせて3例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)
・ロボット支援腎盂形成術・仙骨膣固定術を独立したチームとして始めるためには、同手術の見学と泌尿器ロボット支援手術プロクター招聘手術を合わせて2例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)
以下は、泌尿器科ロボット支援手術教育プログラム。
https://www.jsee.jp/davinci/program/
2.プロクター(手術指導医)資格基準
◆ロボット支援手術プロクター認定制度規則(消化器・一般外科)
https://www.jses.or.jp/uploads/files/robot/procter/3_RobotAssistedSurgeryProctorCertificationSystem.pdf
以下にて、ポイントを抜粋。
ロボット支援手術プロクター認定(消化器・一般外科)は術式ごとに行われる。これを申請するものは、次に定める全ての条件を満たさねばならない。
1.日本消化器外科学会 消化器外科専門医である。
2.日本内視鏡外科学会 技術認定取得者である。
3.消化器・一般外科ロボット支援手術を独力で遂行できる技術を有する。
4.消化器・一般外科ロボット支援手術に関して各種学会および学術雑誌において、1件以上の論文発表、あるいは学会発表(主著あるいは共著)を有する。
5.ロボット支援下食道切除術のプロクター認定を申請するものは、主たる術者としてこれを20例以上執刀した経験がある。
6.ロボット支援下胃切除術のプロクター認定を申請するものは、主たる術者として40例以上(うち5例は胃全摘術を含む)執刀した経験がある。
7.ロボット支援下大腸切除術のプロクター認定を申請するものは、主たる術者としてこれを40例以上執刀した経験がある。
◆ロボット支援下膵切除術プロクター基準
https://www.jses.or.jp/uploads/files/robot/shishin/kantansui_proctor_kijyun_20201216kaitei.pdf
”プロクター基準”と”暫定プロクター基準”に大別されている。以下にて、ポイントを抜粋。
<プロクター基準>
1.日本消化器外科学会 消化器外科専門医である。
2.日本肝胆膵外科学会高度技能専門医・指導医または日本内視鏡外科学会技術認定取得者である。
3.以下の術者経験を有する。
◆ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の場合
開腹、腹腔鏡下、ロボット支援下にかかわらず、術者として膵頭十二指腸切除術20例以上の経験を有する。そのうち、ロボット支援下が10例以上含まれること。
◆ロボット支援下膵体尾部切除術の場合
開腹、腹腔鏡下、ロボット支援下にかかわらず、膵切除(核出術以外膵切除部位を問わず)20例以上の経験を有する。そのうち、ロボット支援下膵切除術10例以上、ロボット支援下膵体尾部切除5例以上が含まれること。
<暫定プロクター基準>
プロクター基準を満たさなくても、適切な指導者がいれば安全な手術の導入が可能と考えられるため、下記のような暫定プロクター基準を定める。
1.ロボット支援下胃切除術のJSES認定プロクターによる手術指導
・ロボット支援下胃切除術のJSES認定プロクターは以下の条件を満たせば、暫定プロクターとして手術導入時の指導を行うことができる。この場合、手術施行施設は、手術指導者が『JSES認定プロクター資格』を所持していること、自施設が別に定める『ロボット支援下膵切除術導入に関する指針』における『術者基準』『施設基準』および下記の基準を満たしていることを確認すれば、肝胆膵外科学会に申請をする必要はない。
◆ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の場合
・腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術5例以上の経験を有する手術チームがロボット支援下膵頭十二指腸切除術を開始する場合。
◆ロボット支援下膵体尾部切除術の場合
・腹腔鏡下膵切除術(核出術以外膵切除部位を問わず)5例以上の経験を有する手術チームがロボット支援下膵体尾部切除術を開始する場合。
◆心臓外科におけるダビンチ支援手術にかかるプロクター資格基準
https://racsc.jp/policy/pdf/policy.pdf
以下にて、ポイントを抜粋。
1.コンソール術者としてダビンチ支援心臓手術を通算50例以上実施した実績があること。
2.1の実績をもって、ロボット心臓手術関連学会協議会からプロクターとして認定されていること。
3.アシスタント術者およびダビンチ手術チームスタッフに対して適切な指示をだせること。
4.ダビンチを使用した手技に関する幅広い知識を有すること。
5.術中に起こりうる合併症およびトラブルに対する十分な知識と判断能力を有すること。
なお、上記1~5を満たしたロボット心臓関連学会協議会に認められた外国人医師を、プロクターとして認定することができる。
◆日本婦人科ロボット手術学会 ロボット支援手術プロクター制度規則
http://jsgrs.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20201021100724-514EFE0D0631C5BF231D333C9658E323C61CBB8AD1F4746227EFA85A93B6EAD8.pdf
『良性疾患プロクター』と『良性・悪性疾患プロクター』の2つに大別。以下にて、ポイントを抜粋。
<良性疾患プロクター>
(1)日本産科婦人科学会専門医である。
(2)日本婦人科ロボット手術学会会員である。
(3)日本産科婦人科内視鏡学会会員である。
(4)ロボット支援良性疾患手術を独力で遂行できる技術を有している。
(5)ロボット支援手術を、40例以上執刀あるいは指導(うち執刀20例以上)した経験がある。
(6)ロボット支援手術に関する学会および学術雑誌(査読あり)において、1件以上の論文発表(共著可)、あるいは学会発表(共同演者可)を有する。
(7)日本婦人科ロボット手術学会が主催するプロクター講習会(良性疾患編)を受講している。
<良性・悪性疾患プロクター>
(1)日本産科婦人科学会専門医である。
(2)日本婦人科ロボット手術学会会員である。
(3)日本婦人科腫瘍学会・婦人科腫瘍専門医である。
(4)日本産科婦人科内視鏡学会会員である。
(5)ロボット支援悪性疾患手術を独力で遂行できる技術を有している。
(6)ロボット支援手術を、50例以上執刀あるいは指導(うち悪性腫瘍の執刀20例以上)した経験がある。
(7)ロボット支援手術に関する学会および学術雑誌(査読あり)において、1件以上の論文発表(共著可)、あるいは学会発表(共同演者可)を有する。
(8)日本婦人科ロボット手術学会が主催するプロクター講習会(悪性疾患編まで)を受講している。
◆呼吸器外科ロボット支援手術プロクター制度規則 改訂
https://www.jacsurg.gr.jp/qualification/dl_mtm/pro_rul_k.pdf
以下にて、ポイントを抜粋。
1.日本呼吸器外科学会会員である。
2.呼吸器外科専門医である。
3.呼吸器外科ロボット支援手術を独力で遂行できる技術を有している。
4.呼吸器外科ロボット支援手術を、主たる術者として40例以上執刀した経験がある。
5.呼吸器外科ロボット支援手術に関する各種学会および学術雑誌において、1件以上の論文発表(主著または共著)、あるいは学会発表(演者または共同演者)を有する。
6.プロクターセミナーを1回受講していること。
◆泌尿器ロボット支援手術プロクター認定要件
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsejje/28/2/28_151/_pdf
以下にて、ポイントを抜粋。
1.日本泌尿器科学会専門医である。
2.日本泌尿器内視鏡学会会員である。
3.泌尿器ロボット支援手術を独力で遂行できる技術を有している。
4.ロボット支援前立腺全摘術を、主たる術者として40例以上執刀した経験がある。
5.日本泌尿器内視鏡学会が主催するロボット支援手術プロクター教育セミナーを受講している。
6.泌尿器ロボット支援手術に関する各種学会および学術雑誌において、1件以上の論文発表、あるいは学会発表(主著あるいは共著)を有する。
*ロボット支援腎・副腎手術のプロクタリングを行う者は、当該手術の十分な経験があり、泌尿器腹腔鏡技術認定取得医でなければならない。
3.術式毎の施設条件(保険適用21件)
術式ごとの施設条件についてもまとめてみた(厚労省HP:特掲診療科の施設基準及びその届出に関する手続きの取り扱いについて 令和2年3月5日 保医発0305第3号)
◆食道(腹腔鏡下食道悪性腫瘍手術/縦郭鏡下食道悪性腫瘍手術)
◆胃(腹腔鏡下胃切除術/腹腔鏡下噴門側胃切除術/腹腔鏡下胃全摘術)
◆大腸(腹腔鏡下直腸切除・切断術)
◆膵臓(腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術/腹腔鏡下膵頭部腫瘍切除術)
◆肺(胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術/胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術)
◆肺悪性(胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除及び肺葉切除または1肺葉を超えるもの))
◆肺(胸腔鏡下拡大胸腺摘出術(重症筋無力症が対象))
◆前立腺(腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術)
◆腎(腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術)
◆膀胱(腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術)
◆腎盂(腹腔鏡下腎盂形成手術)
◆子宮(腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る))
◆子宮(腹腔鏡下膣式子宮全摘術(良性子宮腫瘍))
◆子宮脱(腹腔鏡下仙骨膣固定術(子宮脱))
◆心臓(胸腔鏡下弁形成術)
4.最後に
各施設でロボット支援下手術を行うための条件として、各領域(消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、産婦人科、心臓血管外科など)ごとの指針に基づき、ここまで、術者条件や施設条件についてまとめてきた。
現在ロボット支援下手術は、21件で保険適用となっており、術式ごとの施設条件(厚労省HP:特掲診療科の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和2年3月5日 保医発0305第3号)についても同様にまとめてみた。
また、術者条件や、特に施設条件を満たす上で、プロクターの存在は欠かせない。そのため、各領域ごとのプロクター資格基準についてもまとめてみた。
ロボット支援下手術を行うにあたっては、「各領域ごとの指針(術者条件、施設条件)」、「術式ごとの施設条件」、「プロクター資格基準」などを理解し、この条件をクリアする必要がある。そして、ロボット支援手術を独立したチームとして開始するための条件(同手術の見学あるいはプロクター指導下での手術経験数など)も設定され、当該施設で保険診療として扱えるようになるまでは、自由診療扱いとなる。この場合の費用は、高額となるため患者転嫁するわけにはいかず、病院側が被るケースが多いと考えられる。
現在、ロボット手術加算があるのは2術式のみである(ロボット支援下前立腺悪性腫瘍手術、ロボット支援下腎悪性腫瘍手術)。その他19術式に関しては、通常の腹腔鏡下手術と同点数である。今後、ロボット支援下手術への参入企業は増加が見込まれていることからも、術者及び施設条件よりも、保険点数が高いハードルになってくるのは間違いない。
大枠の医療費が決められている中で、2022年以降の診療報酬改定において、各術式でロボット手術加算が付くようなことがあれば、どこかにしわ寄せはやってくるのだろう。それは、その他の手術料の引き下げや、特定保険医療材料における保険償還価格の引き下げなどへの影響も予想される。
そういったしわ寄せを少しでも減らすために、極の極まで付きつめた医療に繋がる情報提供を行っていく必要がでてくるだろう。「新製品だから高価格なのは仕方がないんだ」ではなく、使い慣れた既存製品を医療従事者側の技量と経験で、今までよりも使いこなして頂くことで、「低コストだけども高付加価値」と感じてもらえることこそが、より質の高い医療提供に繋がるのだと確信している。
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