石割山と光り輝くブドウの話。

山中湖にある石割山は、中腹にパワースポットの石割神社があったり、山頂からは富士山がきれいに見えて、お気に入りのハイキングコースの1つだ。
先日、私の大学時代の友人を連れて6人で向かった。

残念ながら当日は天気が良くなかった。パラパラと雨も降っていたので当初の予定よりも行程を短縮して、石割神社の往復コースにした。
雨がぱらついていて、もやがかかった石割神社は荘厳な雰囲気があって趣があった。富士山は見えず、歩行時間は半分くらいになってしまって消化不良だったが、雨登山も悪くないな、と思わせてくれる姿だった。

白いもやがいい雰囲気を醸し出していた

帰りに日帰り温泉に寄った。施設の中には山梨特産のお土産コーナーがあって、結構充実していた。帰り際にのぞいていると、ちょうどフルーツ農家さんがブドウを並べていた。その中に、全員の目が留まるほど立派で美味しそうなシャインマスカットがあった。ぷっくりと弾ける大きな実がツヤツヤとコチラを見ている。目が合った瞬間に美味しいとわかる、そんなシャインマスカットだった。1房1,950円、都内だったら3,000円はするような代物だ。お得だ…だが果物に2,000円…、全員が同じ気持ちでフリーズした。
それでも買わなければ後悔する気がする。思い切って手を伸ばすか、と考えていた頃、1人が「1個買ってみんなで分けようか。」と提案してくれた。たしかに甘みが強いシャインマスカット様なら、6人で分けるくらいがちょうど良いかもしれない。反対する者はおらず、全員一致で意見が固まった。

1度目が合ったら離せなくなる圧巻の美しさ

この絶対に美味しいシャインマスカット様を食べれるなんて！と、みんなで歓喜していたとき、納品していた農家のおじさんが「6人で1個じゃ足りないでしょ！3個くらい買っていきな！」と煽ってきた。いや、我々は慎ましい暮らしができる健気な人間なのだ。贅沢は小さいからいいのだ。誰もその声には乗らず、笑顔でかわしながらレジを済ませた。

帰り際、またおじさんが近寄ってきた。「それじゃ足りないから！これ1個半端で余ったから持っていきな！」と、なんとランクが1つ下のシャインマスカットを1房持たせてくれた。まさかのお情け品に、我々はますます歓喜した。雨で消化不良な山行のことなんて、一気に吹っ飛んだ。むしろおかげでちょうどこの粋なおじさんに出会えるタイミングで温泉にこれたのだ。雨よ、本当にありがとう！この恩は忘れない。

そして、2種のシャイン様を食べ比べるという贅沢な帰路になった。弾ける皮を噛むと、ぶどうの香りと味がみずみずしく広がり、ジューシーな甘みが追いかけてくる。これが山梨の本気のシャイン様か！今まで食べてきたシャインマスカットがなんだったのか、全ブドウがひれ伏す美味しさだ。

シャイン様（左）、お情けシャイン（右）と一緒に帰る幸せ

そして覚えているだろうか、前回の桃でもお情け品をもらっている。
もう山梨には頭が上がらない。いつも優しさと美味しいフルーツをありがとう、と日本を代表してお礼を言いたい。