赤岳に登った話。[前編]
こちらの日記で書いた20代の若者、しょうま君に会うため、私と千鳥ノブばりのツッコミを披露した友人と、指導係2名に付き添ってもらいながら彼が働く赤岳天望荘を目指した。
天望荘のある赤岳は登りのコースタイムが5時間ということで、初心者の我々はトレーニングをしながら備えた(最終的にこの時の自信だけで臨むことになったのだが)。この夏のビッグイベントだった。
ちなみに、この塔ノ岳の結果を嬉々として師匠に伝えたら、「やっと歩けるようになったか。」と言われた。それまでの我々は山を歩いてすらいなかったということが判明した。
当日の朝、5時間も歩き続けられるだろうかという不安に、我々はまるで第一志望校の入試前のような気持ちになっていた。とにかく今日は登るだけだからなんとか辿り着こうと、お互いを励まし合った。そしていつでも荷物を指導係に持ってもらう準備を整える小賢しさは忘れなかった。
登山口付近の駐車場は、赤岳山荘(手前側)と美濃戸山荘(山頂側)の2箇所で、この間は歩くと50分近くある。つまり、美濃戸山荘の方に停められれば車で標高が100mほど稼げ、歩行時間を短縮できる。迷わず我々は、美濃戸山荘に行くよう懇願した。空いてなかったら戻らなきゃだけど行ってみるか、という嫌な予感がよぎる回答だった。停められることを天に祈った。
駐車場の入り口に、係のおじさんがいた。「予約はされていますか?」と聞かれ、困惑しながらも「してないです。」と答える。するとおじさんが少し困ったような顔をした。駐車場って予約できたの?!まさか空いてない?!と車内(のうち2名)に動揺が走った。
しばらく待つと、おじさんが赤いコーンを外して戻ってきて「そちらに停めてください。」と、今調整してくれたと思われる方を指差した。なんと優しい配慮!と感動していたら隣で友人が「本当に、本当にありがとうございます。」と深々とお辞儀をしていた。
と、運を味方につけコースタイム×1.2のゆとりある工程で登山がスタートした。
気合を入れて歩いていると、隣を通る車から声をかけられた。なんと出勤途中のしょうま君で、ここよりも先の場所まで車で行って登り始めるということだった。
サプライズ登場にみんなで喜んでいると、「荷物だけでも乗っけていきます?」と言ってくれた。その言葉に我々は目が輝いた。と、同じタイミングくらいで指導係の師匠が「大丈夫だよ。」と断っていた。その速さに状況を飲み込めないくらいだったが「今回はトレーニングだから。」と畳み掛けられ、何も言えず前を向いた。
赤岳に足を踏み入れる。そこは自然の美しさと優しさと強さが共存しているような、神秘的な場所だった。自然のパワーが満ち満ちていて、体と心に語りかけられているような気がする。これまで登った山でこんな気持ちになったことはない。これが八ヶ岳か、と思った。
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