桃色の片思いをしている話。〜しつこくも続編〜
もうみなさんお忘れかもしれないが、こちらの日記の続きがあるので聞いていただきたい。
桃への気持ちが諦めきれない私は、7月に再度山梨へ行った。今度は乾徳山でナイトハイクをした後に、桃農園が経営するカフェで桃パフェを食べる計画だ。
さらに振られ慣れている私は、他にも候補のお店をいくつか挙げておいた。我ながら学習能力の高さが光っている。
当日、夜中の1時に出発して早朝4時に登山口に着いた。
ナイトハイクをするのはこの日が初めてで、登山前のエネルギー補給のタイミングがよくわからなかったが、よもぎ餅を3時半頃に2つ食べた。それでもまだお腹に余裕があったので、おにぎり1つとよもぎ餅を1つ、登り始める直前の4時頃に追加で食べた。
これだけ栄養をしっかり摂っておけば、下山後も元気に桃を目指せるだろうと、意気揚々と暗い山道を歩き始めた。
30分くらい経った頃、胃が痛み始めた。登り始めでまだ体が順応できていない1番息が上がるタイミングに、張り切って食べたよもぎ餅×3+おにぎり×1の消化が重なり胃が悲鳴を上げたのだろうと、情けなくも容易に想像がついた。
胃の痛みに私も悲鳴をあげそうになったが、冷静に今後のことを考えた。このまま登り続けた場合、胃の調子が悪化して桃が食べれない可能性がある。そうなってしまっては、今日ここにいる意味がない。少し展望の良いところまで行ったら、その後下山したいと申し出た。それは移動時間よりも登山時間が短くなる展開となるが、私の桃圧に気押されて無理はしない方向になった。
ただ幸いなことに、少し休むと胃の調子も良くなって登山を再開できた。
登山道はコロコロと景色が変わり、楽しませてくれた。可愛らしい草原があると思ったら、ダイナミックでかっこいい岩場が始まった。鎖と岩の間をうまく掴みながら登るのはアスレチックのようで面白かった。
楽しんでいるうちにいつの間にか山頂に着いている、そんな山だった。
下山の休憩中に、カフェのメニューを予習しようとHPを開いた。そこで初めて入店には予約が必要なことに気づいた。慌てて今日の日付を確認したが、世間はそう甘くない。どの時間も満席だった。
下山後、2番候補にしていたお店に向かった。今度は事前予約はなく、現地で順番を待つお店だったので、はやる気持ちそのままに全速力で受付まで向かった。
しかし、アラサーのダッシュもむなしく、受付のタブレットには「本日の受付は終了しました。」という受け入れ難い張り紙が貼られていた。
それでもなんとか気を取り直して、3番候補のお店を目指した。
このお店はHPに予約の情報は書いていなかったし、まだ開店前だった。さすがに大丈夫だろうという気持ちで、オーナーに入店できるか声をかけた。すると「予約でいっぱいで今日は入れなくて、、ごめんなさいね。」と返ってきた。
恐るべし、山梨の桃。ここまでの熱意を持った者にも容赦ない。
諦めムード漂う中、「フルーツ若木」というお店に行くことにした。ここに入れなかったら大人しく帰ろうと決めた最後の砦だ。
そこはカウンター式のお店で回転率も早く、無事レジまで辿り着くことができた。それだけで嬉し泣きしそうだった。涙を堪えながらメニューを見る。桃プリンや桃ソーダなども気になったが、ここは初志貫徹「桃パフェをください。」と、キラキラした目で注文した。
すると「桃パフェは終わっちゃって、、桃はあるからライトな感じのものでしたらできるのですが。」と言われた。なんと私たちの番からライトな感じのパフェに変わってしまうようだ。どんなのがライトなのかわからなかったが、ここまできて頼まないわけにはいかない。「ライトだろうがお願いします。」と強めに注文を終えた。
ライトな桃パフェもとっても美味しくて、これまで溜めてきた桃欲がスーッと満たされていった。
それでも結局、4店舗たらい回されて食べれたのはライトな桃パフェって、この私の長年の片思いは叶ったのか叶っていないのか、とても微妙なところで2023年の桃シーズンが幕を閉じた。