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ドライバー講習登山の話。
荷物の運搬が楽になったり、公共交通機関が整っていない場所にも行けるようになるということで、移動手段に車の選択肢が入るようになると登山の世界が広がる。大学3年生の頃に、免許合宿に行って以来運転をしていなかった生粋のペーパードライバーだった私も、運転に興味が出てきた。
超絶余談だが、その合宿は2週間山形県に滞在するもので、同じ時期に参加するメンバーの中に、瀬戸康二似の爽やかおしゃれ東大生がいた。しかも、そのイケメンと東京でも再会する知り合いになり、一生分のきゅんを使いきった。
おかげできゅん成分が残っていない今の私は、さっぱりしたおじさんだと周りに言われるほどに、きゃぴ要素が不足している。
話を戻すが、約10年ハンドルを握っていなかったので、運転席に座った後なにをしたらいいかわからないレベルのペーパードライバーだった。
そこで、運転練習をするため、運転慣れしている友人2人に生贄になってもらえないかと打診し、半ば無理やり運転練習登山を決行した。
例の免許合宿では、付近に高速道路がないという理由で、高速はシュミレーション型の動画実習でしかできず、得たものは車酔いだけだった。登山のために運転するのであれば、高速道路を走るのは必須だということで、高速練習するのを今回のメイン目的とし、我々は山梨県の竜ヶ岳を目指した。
竜ヶ岳は、視界のひらけた尾根道が続いているようで(登山サークルメンバーのインスタ投稿から情報を得た)、それが楽しみだった。
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東京神奈川を抜け、高速を走る他の車たちの量が程よい頃、いよいよ私がハンドルを握ることになった。助手席と後部座席とに生贄兼講師を携え、遺言はないかと問いかけながらそろりと走り出した。早速、「もっとスピード出して!」との指示が飛んだ。そうだ、ここは高速だった。思い切ってアクセルを踏む。
無事走り始め、何となく車線変更もでき、運転以外の会話もできるまでに安定していった。初めてETCゲートをくぐって高速を降りる瞬間は、生贄兼講師陣から歓声が上がった。
運転を交代しながら、無事目的地の竜ケ岳に到着し、登山を開始した。木々の間から、本栖湖を望むことができた。本栖湖の青は濃く、透き通っていてとても美しかった。
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気温が高く登る体力はなかなか消費されたが、あの開けた尾根道のために頑張ろうと励まし合った。
山頂に近くなってきた頃、ふと我々の頭に?が浮かんだ。歩いても歩いても周りを元気すぎる笹薮が囲んでいるのだ。視線の高さまで普通に笹薮。一向に視界は開けないし、尾根道もない。おかしいね、と言いながらついに山頂に着いてしまった。
本栖湖ブルーも素敵だったし、いい山だったのだが、本来の目的である視界の開けた尾根道に出会えなかったことが疑問かつ心残りだった。
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帰路、生贄1が運転する中、スマホをいじっていた生贄2があることに気付き声を上げた。竜ヶ岳という名の山は、三重県にもあったのだという。しかも、その今回の山行崎として選んだきっかけのインスタ投稿をしていたメンバーは、中部在住の方だった。この条件から導き出される答えは一つしかなかった。そう、“リュウガタケマジック”にはまってしまっていたのだ。
とはいえ今回に関しては、1人も欠けずに帰って来ることが最重要事項だったので、我々は尾根道がない理由がわかってスッキリした、という結論で落ち着かせた。無事、遺言が披露される機会訪れず本当によかった。
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