写真はイメージです(和製英語のイメージ)
英語を学んでいる人にとっては和製英語の知識が鬼門になったりします。
普段日本語の一部として親しんでいるから、ついつい英語でも通じるもんだと思いこんで使ってしまったり、あるいは逆に、これは和製英語だろうから通じないと思っていた表現が意外にも英米で使われていたり…。
まあ、学んでいるうちに知識も次第に蓄積されてはくるんですけどね。
例えば、OL(オフィスレディの略)は誰もが知る和製英語ですが、この表現が使われ始めたころには BG(ビジネスガールの略)という和製英語もありました。
ビジネスガールなどと言うと、欧米人には娼婦のことかと思われても仕方がないと当時よく言われて、いつの間にか BG という表現は消えてしまいましたが、生き残ったほうの OL という言葉も通じない点では同じです。
BG と同じような感じの語にスキンシップというのがあります。これは日本人が作った表現だってこと、ご存知でした?
「肌のふれあい」とか、「肌と肌をふれあうコミュニケーション」みたいな意味ですかね。
日本語だとわりと良い意味(特に相手が赤ちゃんだったりすると)で使われるのですが、これまた欧米人に訊くと「とても気持ち悪い表現」と言われます。まあ、むやみに他人の体に触れないことが基本的に彼らのエチケットですからね。
略語の話に戻ると、最近知ったのですが、NG も通じないらしいです。はい、英会話では NG は NGワードです(笑)
OK は使うからてっきり NG も使うもんだと思っていたのですが、先日英会話の先生に訊いたら、no good は通じるけれど NG と略すことはないと言われました。
でも、日本の Web辞書の第一人者である英辞郎には、no good の項目にしっかり「【略】NG」と書いてあるんですけどね…。これはひょっとして「略するのは NG ですよ」という意味か?(笑)
それから、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)も通じません。僕は twitter や facebookが日本に入ってくるのとほとんど同時にそのことを知りました。
では、英語圏ではどう言うのでしょう?
答えは social media です。そのことを知った日から、僕は日本語の文中でも必ずソーシャル・メディアと書いています。
そして、最近一番ショックを受けたのでが CG です。そう、CG って通じないんですよね。彼らは CGI と言うのだそうです。知りませんでした。確かに先日テレビで見たアカデミー賞の視覚効果賞部門の授賞式でも CGI って言っていましたね。
I は何の略?と思うかもしれませんが、その前に G も違うのです。
日本語の CG はコンピュータ・グラフィックスですが、英語の CGI は computer generated image または computer generated imagery です。そう、CGM とか CGC の CG と同じなんですね。「コンピュータが作った(コンピュータによって作られた)画像」。
graphics は画像そのものというよりもむしろ「画像処理」的な表現ですから、出来上がった画像そのものを指すには image(または「表現」に特化した単語である imagery)が必要だというわけです。
ことほどさように、僕らが英語を話すときには、この語は和製英語なのかそうでないのか、しっかりしたイメージを持っている必要があります。
── なんて書いちゃいましたが、実は image という単語についてもそこそこ注意が必要なんですよね。
もちろん日本語の「イメージ」と同じ意味もあるのですが、image という英語は日本語の「イメージ」とは違って、実体のある実像を表す言葉でもあります。つまり、「画像」とか「写真」ですよね。
例えば Web を記述するための言語である HTML においては、と言うか、英語においては、文字は text、写真や画像は image(HTML では img という省略形も使われます) ですからね。
そういうこともあって、日本人が(あくまで頭や心の中の)イメージと言いたいときには、むしろ impression や idea、thought などに置き換えたほうが通じるケースが実は少なくないのです。
日本だと、ちょっと胡散臭い広告の注意書きによく「写真はイメージです」って書いてあるじゃないですか。
あれを見ると僕はいつも、「そりゃそうでしょ。文字はテキストで写真はイメージですから」と思ってしまいます(笑)