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ことばと生き方──ことばに対するこだわり

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若い頃から「ことば」というものに興味があり、2001年から2018年まで“ことばのWeb”を主宰していた流れで書いた文章を集めています。
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#ルール

「月9」は「げつく」か「げっく」か?

今クールの CX(月)21:00 のドラマ『海のはじまり』、まだ3話が終わったばかりですが、⽣⽅美久さんの脚本がとにかく素晴らしく、キレッキレの台詞てんこ盛りで、思いっきり切なくて、考えさせられる作品になっていると思います。 ところで、皆さん、フジテレビの月曜夜9時のドラマ枠、通称「月9」を何と読んでいますか? 多分ほとんどの方が「げつく」と読んでますよね? 僕はそれが気持ち悪くて仕方がないのです。 所謂トレンディ・ドラマ路線であの時間帯のドラマがヒットを連発するようにな

おかごか

丁寧語のひとつに接頭語「御」があります。尊敬語や謙譲語としても使われるとても便利な接頭語なのですが、この漢字は「お」と読むべきか「ご」と読むべきか、時々悩むことがあります。 つまり、「お前」か「御前」か、「お骨折り」か「ご苦労」か、「お気がね」か「ご心配」か、「お詫び」か「御免」か、みたいなことです。 で、これはよく言われるようにやまと言葉の前に付く場合は「お」、漢語の前に付く場合は「ご」というふうに整理されます。もう一度上の例を確認していただくとよく分かると思います。

濁りのルール、ルールの濁り

私は学者でも専門家でも何でもないのですが、昔から「ことば」が好きで、自分のホームページに「ことば」についていろいろ書いてきました。 そんな中のひとつに、2つの単語を繋ぎ合せた時に、後ろの単語の頭が濁るか濁らないかという問題があります(もちろん後ろの単語の頭がカ行・サ行・タ行・ハ行など濁ることができる場合だけですが)。 例えば「流れ」+「星」は「ながれぼし」となって「ほし」が「ぼし」に変わるのに、「流れ」+「作業」は「ながれざぎょう」にはなりません。この違いはどこから来るの

いとはんとこいさん

日本語の多彩な敬称日本語は敬称が非常に豊富な言語ではないでしょうか。 陛下・殿下・閣下・猊下・先生など、相手の地位や身分、職業などによって使い分けるものがあります。これ以外にも会社の役職(社長・専務・部長など)や軍隊の階級(少尉・軍曹など)、貴族の爵位(公爵・侯爵など)も同じように敬称として使われます。 この手の単語はどこの国にもあるのかもしれませんが、上に挙げた全てが「名前+敬称」という形でも使えるし、敬称単独でも使えて、しかも、偉くなればなるほど名前なしの敬称単独で呼