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ことばと生き方──ことばに対するこだわり

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若い頃から「ことば」というものに興味があり、2001年から2018年まで“ことばのWeb”を主宰していた流れで書いた文章を集めています。
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#エッセイ部門

「月9」は「げつく」か「げっく」か?

今クールの CX(月)21:00 のドラマ『海のはじまり』、まだ3話が終わったばかりですが、⽣⽅美久さんの脚本がとにかく素晴らしく、キレッキレの台詞てんこ盛りで、思いっきり切なくて、考えさせられる作品になっていると思います。 ところで、皆さん、フジテレビの月曜夜9時のドラマ枠、通称「月9」を何と読んでいますか? 多分ほとんどの方が「げつく」と読んでますよね? 僕はそれが気持ち悪くて仕方がないのです。 所謂トレンディ・ドラマ路線であの時間帯のドラマがヒットを連発するようにな

『三体』における「テキーラ(殺すため)」の謎──速い英語に慣れる

前に「外国語のドラマや映画の字幕って時々間違っていたりしますよね」という話を書きました: その時には書きませんでしたが、しかし、字幕の翻訳って実際かなり難しいんだと思います。何故なら、基本的に登場人物がその台詞を喋っている間に読める分量の日本語に訳す必要があるわけですから。 前回書いた例で言うと、訳者としては「日本人にフラットホワイトなんて言っても多分何のことか分からないだろうな」と思っていても、ドラマの中で登場人物がコーヒーを注文する一瞬の台詞に長い説明文の字幕を出すわ

『九十歳。何がめでたい』という表記について考えた

先日、映画『九十歳。何がめでたい』を観ました。昨年 100歳を迎えた作家・佐藤愛子を昨年 90歳に達した草笛光子が好演しています。 とても良い映画でしたが、今回は映画の中身についてではなく、映画(かつ原作のエッセイ集)のタイトルについて思うところがあって書きました。 マル(。)は打たないそれまで僕は佐藤愛子の本を読んだこともなかったのですが、そのタイトルを見てさすがに佐藤愛子は昭和の大作家だなと思いました。 表題には句点(。)を打たないのです。 いやいや、「九十歳」の

一、十、百、千、十千、百千、一万…に変えませんか?

7月3日から新札が発行されると聞いて思い出しました。新札発行に合わせてデノミをやろうなんて議論が昔あったなあ、と。 そう、デノミ──デノミネーションの略です。最近では全く聞かないですが、かつてはインフレ対策の一環として(?)、デノミネーションの必要性がしきりに議論されたことがあったのです。 デノミネーションと言うのは、 例えば 100円を百分の一にして新1円とします(この場合従来の 50円は例えば昔使っていた単位を持ってきて 50銭とするなど、新しい単位が必要になります)

「いいね!」などのリアクション・マーク、どんな風に使ってますか?

ソーシャル・メディアの”リアクション・マーク”ってあるじゃないですか。そう、facebook の「いいね!」がその代表的なやつ。 「いいね!」は実は facebook が始めたんじゃなくて、VIMEO が先にやっていたのを真似したという説もあるみたいですが、真相はどうなのか知りません。 ただ、僕はこれを facebook で初めて知り、なんか、とても良い機能だなと感心した覚えがあります。その後、twitter もこれを真似して、でも丸ごとパクるのも気が引けたのか、「!」の

単数なのに they って言うの知ってました?

ここにも時々書いていますが、会社を辞めてから僕は趣味で英会話を学んでいます。 で、長いこと英語に親しんできて、昨日ほど驚いたことはありませんでした。 そんなこと知らなかったのか?とおっしゃる方もおられるのでしょうが、僕は初耳で、結構ショックを受けました。 何かと言えば、英会話の教科書に載っている文章で、時々単数の主語を he や she ではなく they で受けていることがあって、初めて目にしたときは誤記かなと思ったのですが、何度か同じようなケースが出てくるんですよね

その「生」って、どの「生」ですか?

「生」っていう言葉があるじゃないですか。いろんな場面でみんな気軽に使ってるけど、いろいろ聞いてると、「生」って本来どういう意味よ?って思いませんか? 僕は以前「ことばのWeb」というのをやっていたくらいで、言葉に対して強い興味関心があります(と言っても、多少とも知っているのは日本語と英語だけなので、対象はおのずからその2つの言語に限られるのですが…)。 で、最近よく考えるんです。生っていう言葉には一体どれだけの多義性があるんだろう?って。で、いろいろ考えたり調べたりしたの

閲覧数 4000 を超えて、クチコミについて考えてみた

僕がとある店について書いた Google Maps のクチコミの閲覧数が 4月30日に 1000 を突破した。 ご存じない方も多いと思うが、あそこに何かを書いてその閲覧数が一定数を超えるとメールで知らせてくれるのである。 実は 1000 を突破できたのは、僕なりの書き方のコツみたいなものもあってのことだと思っている。そのことについて、少し書いてみようと思う。 Google Maps のクチコミと言えば、悪意のある事実無根の書き込みをされたとして、先日医療関係者が集団訴訟

日本語空耳アワー ~歌詞とメロディのイントネーション

もう番組自体が終わっちゃいましたけど、『タモリ倶楽部』の「空耳アワー」、面白かったですよね。大好きなコーナーでした。 で、あれは外国語が全く違う日本語に聞こえてしまうという例でしたが、いやいや、日本語の歌でも全く違う日本語に聞こえてしまって大笑いってこと、ありますよね? 僕は年寄りなので古い歌ばかりで申し訳ないですが、例えば太田裕美の『木綿のハンカチーフ』(作詞:松本隆、作曲:筒美京平、1975年)では、「都会で流行りの 指輪を送るよ」と言われて、「いいえ 星のダイヤも

型から入ってみる ~心構えではなく単なるテクニックで解決することもある~

最近、書評家の三宅香帆さんに嵌ってしまって、彼女の書いたものをいろいろ読んでいるのですが、先日彼女が東洋経済ONLINE に書いた『「夜のピクニック」読書感想文をプロが書いた結果』を読んで大変感銘を受けました。 2022年11月に三宅さんが note の講座で話した内容の記事 を読むと、このときは少し「極意」めいたことも話しておられますが、今月の東洋経済ONLINE の記事では、読書感想文の書き方で三宅さんが勧めているのはとても単純なこと2つだけで、その1番は「自分の嫌い

はてしないトイレ談義 ~All-Gender Restroom For Everyone

トイレに関しては、僕は長年続けている自分のブログに何度もアホみたいな話を書き続けてきました。 今回はそこに書いた最新の記事(そのシリーズで言うと、これが第8回ということになりますw)に少し手を入れてここに転載したいと思います。 ★ 多機能トイレってあるじゃないですか。少し前までは多目的トイレという言い方もありました。この名称、どう考えてもちょっと変だと思いませんか? 多機能(あるいは多目的)って、うんことおしっこと、それから何ができるの?──みたいなことを僕は以前の記

続・気になる放送のことば

続・のようなものニュースを見ていて久しぶりに「猟銃のようなもので警察官を撃った」という表現に接し、やっぱり違和感を覚えました。 もちろんこれは使用されたのがまだ猟銃だと断定できない時点での報道であり、正確性を期するためにニュースが選んだ言い回しなのですが、前にも書きました通り、「のようなもの」という表現には「似ているけれど本当はそれではない」という含意があります。だから気持ち悪いのです。 例えば、 という表現で言えば、見えているのは黒い虫に似たものであって、実際に虫では

「胃が痛い」と「お腹が痛い」を英語で言うと?

英語の勉強をしていて気がつきました。英語ではなんでもかんでも stomachache と言うんですね。 日本語では「胃が痛い」と「お腹が痛い」は全くの別物です。胃が痛いのは(ストレス性のものも含めて)胃炎だったり、胃酸過多だったり、胃潰瘍だったりします。それに対してお腹が痛いと言った場合は腸のほうで、大抵はお腹を壊しているということです。 めちゃくちゃ大雑把に言うと、お腹が痛い場合はトイレに行ったら治まる可能性がありますが、胃が痛い場合はその可能性がないということです。