
[生成AI 技術情報] Power Platform とAIで加速するイノベーション
ローコード×AIの可能性
こんにちは。山口です。今回はかなり技術よりの情報です。
2024/12に、Microsoft品川本社のセミナーに行ってきました。
Power Platform と AI で加速するイノベーション
以前から耳にすることの多い、ローコード×AIですが、最新技術はどうなっているのか、これからの展望はどうなのか。Microsoftさんが赤裸々に語ってくれましたので、内容をお届けします。
日本におけるAIの普及と課題
日本では、Power Platformを含むローコードツールの導入・普及が非常に進んでいることはご存じでしょうか。みなさまも、無意識のうちに会社のシステムで触っているかもしれません。
中小企業でも15%、中堅・大手企業では実に43%の企業が何かしらのローコードツールを導入しています
参考)
一方で、日本はグローバルと比較するとローコード×AIの普及率は高くなく、マイクロソフト社としては、日本市場でローコード×AIを進めていきたいと考えている、とのことです。
Microsoftが考えるローコード×AIの展望
今後3年間における市場展望
2026年までに、新しく作られるアプリの40%に生成AIがコアツールとして搭載される、またはAIを使って作成される「インテリジェントアプリ」になることをマイクロソフトは予測しています。
マイクロソフトはこの時代の開発者・ユーザーが使いやすく、簡単にアプリ開発ができるように、プラットフォームを再定義し、整えていきます。それが「人 / Copilot / バックエンドエージェント」の3つのゾーン定義と、環境の提供です。
Copilotとバックエンドエージェントの位置づけ

Copilot
従業員のパーソナルアシスタントであり、1人に1つのCopilotが提供されることが特徴です
すなわち、個々の従業員全ての業務の「入口」の役割を果たします
バックエンドエージェント
裏から業務に必要なDB、API、LLM等様々なものと接続して情報・データを取得します
1つの業務に1つのエージェントを作成します
現在1つの会社には平均8つのSaaSシステムが導入されていると言われています。エージェントを作ることで「1つの業務」を行う上で必要なデータを、様々な媒体からとってきてCopilotに回答として返却することができます
Copilot Studioを使ったエージェント紹介
Copilot Studio には以下からアクセスが可能です(MSアカウントが必要)
https://copilotstudio.microsoft.com/
既にエージェントのテンプレートがいくつかありますね。このあたりから使ってみるのも、感覚をつかむにはとてもよいと思います。

さて本題、バックエンドエージェントには大きく3種類があります。
どれも動作に関して4つの構成要素があり、成り立っています。
① トリガー (人が生成AIに依頼 : 文章を入力をする)
② プロンプト完成 (入力文+システムプロンプト)
③ 計画策定 (バックグランドシステムから情報を取得する)
④ 成果達成 (応答を生成し、人に返す)
検索エージェント
一番一般的な生成AIの使い方で、社内のヘルプデスクチャットを想像してもらえると分かりやすいですね。
人からCopilotへ質問をすると、社内ナレッジを検索して取ってきてくれるものです。
①トリガー:人がCopilotへ文章を入力する
②プロンプト完成:システムプロンプトとの組み合わせ
③計画策定:データナレッジを使用してタスクを完了させる
④成果達成:応答を生成する
タスクエージェント
CopilotやChat GPTのウィンドウを開かずとも、Teams等のアプリに搭載し、その入力をトリガーに動作するエージェントです。
例えば、営業部門の担当者がTeamsから質問をすると、自動的にSPOのファイルとSalesforceのデータから商品情報の提供と注文支援を行ってくれるようなものができます。
①トリガー:Teamsで質問する
②プロンプト入力:システムプロンプトを追加
③計画策定:データナレッジを使用してタスクを完了させる
⇒ この場合、SPOやCRMサプライチェーン等
⇒ データコネクタを使って1400のアクションが可能、情報ソースへのリンクを入れることも可能
④成果達成:応答を生成する
自律型エージェント (Public Preview)
こちらは次世代の「完全自動で動くAIエージェント」です。
前者2つと大きく異なる点は「常に動作している」ことであり、その恩恵として、メモリの中に会話やできことを覚えているため、それを活かして自ら成長できる点があります。
これの何がすごいかというと、例えば昨日起こったことを覚えていて、今日の回答のブラッシュアップに生かすことができます。
人が介在せずとも同じ間違いを繰り返さず、自分で成長していくわけです。
一方で、ブラックボックス化やAIの暴走?を防ぐために、回答や思考のガードレールも標準装備・人間がカスタマイズ設定できて、そのガードレールに従って回答することも可能になっています。
エージェントの応答履歴やナレッジベースからきた情報等をダッシュボード形式で見ることもできるため、人の管理下に置いた状態で自動AIを運用することができます。
Power Apps 新機能
ここまではCopilotに関することが多かったですが、もちろんローコードはCopilotだけではありません。Power AppsにもAIが搭載され、より簡単にアプリを作成できるようになっています。
プランデザイナー (Public Preview)
Power Apps のアプリを自然言語で作成する際に強力なアシストをしてくれます。具体的には、今まで人間がやっていた、要件定義 ⇒ 機能設計 ⇒ 実装まで、AIがドラフトしてくれます。これまでは実装部分しかできなかったので、手戻りが多かったですが、それを払しょくしてくれる機能ですね。
「〇〇なアプリがほしい」というと、下図の左ウィンドウで以下のようなことをまとめてくれます。
・登場人物一覧
・ユーザーロール
・要件一覧
・機能一覧

それはもちろんAIが書いた下書きに対して自分が編集できます。それが確定したら、今度はデータのER図のドラフトを書いてくれます。

いやあ、すごい時代が来たなあと。ここまでドラフトしてくれるなら、「ER図ってなんですか」という方にイメージと共に実践的に教えることもでき、開発者育成という面でも役に立ってくれそうです。
それが終われば、データテーブルをDataverse上に作ってくれ(他のところでもよさげ?)、機能や要件通りのアプリを作成してくれます。
AI Builderのアップデート
文字認識機能が大幅にアップデートされました!
今までは、どの部分をどのように読み取り、どこに格納するか・・・を定義してプログラミングする必要がありましたが、非構造化データをOCRして、その意味をAIが自動で理解し、直接入力してくれるなどの処理が可能となるそうです。
この機能を全て説明しようとすると1つの記事ができてしまうので、そのすごさを説明してくれているブログさんをお読みいただければと思います!(丸投げ)
最後に
今回は技術者向けに長いブログとなってしまいました。
技術畑からは卒業してしまってもう5年以上たちますが、たまにはこういう情報を仕入れて遊んでみるのも、いい刺激になりますね。
次回は、また「利用者の立場」のブログに戻り、「前回の議事録を使ってAIで次回会議の資料を作ってみる」ということをやってみようと思います。
ではまた次回お会いしましょう。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。