The Guardian 書評②2024秋
The Guardian 書評 (2024/09/26)
9/25
High-speed Paris-to-Berlin rail link to launch in December
「パリとベルリンを結ぶ高速鉄道、12月に開通へ」
要約
パリとベルリンを結ぶ新しい高速列車が12月に運行を開始すると、運行会社が発表した。日中の運行は、物流の問題で遅れており、当初の発表より1時間長くなる。ベルリン中央駅とパリ東駅の間を運行し、ストラスブール、カールスルーエ、フランクフルト・スードに停車する。現在、フランスとドイツの首都間を走る最速の列車旅は9時間弱かかるが、2~3回の乗り換えが必要で、不便で信頼性に欠けることが多い。新列車は当初1日1便のみで、パリを午前9時55分に出発し、ベルリンには午後6時過ぎに到着する。復路はベルリンを11時54分に出発し、パリには20時前に到着する。運行会社のSNCFとDeutsche Bahnは、乗客が飛行機よりもリラックスでき、現在のルートよりもかなり改善されることを期待しているという。運賃は2等片道59ユーロ(約49ポンド)から、1等69ユーロから。料金は需要に応じて上下する。
感想
この記事で発表された新路線は航空機に代わる環境に優しい交通手段を提供し、ヨーロッパの主要都市間でのアクセスを強化するだけでなく、CO2排出削減に寄与しつつ、ビジネスや観光での利便性も向上するため、持続可能な都市間移動のモデルとして大きく期待できると思った。将来ヨーロッパ旅行に行った際はぜひ行って見たい。
The Guardian 書評 (2024/10/03)
10/2
Spain logs record number of summer visitors amid overtourism protests
「スペイン、オーバーツーリズムに抗議する中、夏の観光客数が過去最高を記録」
要約
この夏、スペインは過去最高の2180万人の外国人観光客を記録したことが公式データで明らかになった。この数字は2023年比で7.3%増である、と国家統計局(INE)が発表した。INEによれば、スペインはフランスに次いで世界で2番目に人気のある観光地であり、7月には1090万人、8月にも同数の観光客が訪れている。観光大臣のジョルディ・ヘレウ氏は、テネリフェ島で行われた観光促進機関Turespaña主催のイベントで、観光の影響を「スペインの福利、社会的結束、経済発展にとって大成功」としながらも、スペインはこの分野のモデルを変革しなければならないと付け加えた。バルセロナ、マラガ、カナリア諸島、バレアレス諸島を中心に、ここ数カ月でインフラへの負担や、多くの不動産が観光客に有利な価格で貸し出されていることによる賃貸価格の上昇を訴える抗議デモが起きている。
感想
知り合いが今バルセロナに留学していて大学で抗議デモがあり、その日は休校になったと聞いた。非常に驚いたし日本と海外の違いを感じた。海外の人は政治や社会動向に主体的に取り組んでいる印象があるが、日本人は私もそうだが、上記の点に関しては主体性が低いと感じているし、デモまでしようとはならない。デモが100%正しいとは思わないが、自身の意見を持ち主張することは日本人にはもっと必要なことだと思った。私自身も残りの大学生活でより社会動向に興味をもったり、話す力を高めたいと思う。
The Guardian 書評 (2024/10/10)
10/7
Climate warning as world’s rivers dry up at fastest rate for 30 years
「世界の河川が過去30年で最速の速さで干上がり、気候への警告が発せられる」
要約
2023年に過去30年間で最も速いペースで河川が干上がり、世界の水供給が危険にさらされることがデータによって示された。世界気象機関(WMO)の「世界の水資源の現状」報告書によると、過去5年間、世界中で河川の水位が平均を下回り、貯水池の水位も低下している。2023年には、世界の河川流域の50%以上が異常な状態を示し、そのほとんどが赤字であった。これは2022年と2021年も同様であった。深刻な干ばつと河川流出量の減少に直面している地域には、北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカの広大な地域が含まれ、例えば、アマゾン川とミシシッピ川は記録的な低水位となった。地球の反対側、アジアとオセアニアでは、大規模なガンジス川、ブラマプトラ川、メコン川流域が、ほぼ流域全域にわたって平年を下回る状況に見舞われた。このように気候変動は水の行き先を変え、極端な洪水や干ばつを引き起こす要因となり、気象現象の影響を悪化させ予測をより困難にしている。
感想
この記事では気候変動による水資源の危機が非常に深刻であることを強く訴えているように感じた。特に、河川の水位低下や極端な洪水・干ばつが、世界中で同時に進行している状況が印象的だった。水はあらゆる面で重要なものだし、気候変動によって水循環が不安定になり、予測困難な事態を引き起こしている今、国際社会が一致団結して迅速に対策を講じなければならないと強く感じた。
The Guardian 書評 (2024/10/17)
10/14
AI gives voice to dead animals in Cambridge exhibition
「ケンブリッジの展示会でAIが死んだ動物に声を与える」
要約
ケンブリッジ大学の動物学博物館でAIを使って死んだ動物たちが新たに声を持ち、物語を語るプロジェクトが始まった。この1ヶ月間の展示では、アメリカゴキブリ、ドードー鳥の遺骸、剥製のレッサーパンダ、シロナガスクジラの骨格など、様々な標本がAIによって個性的なアクセントを持ち、来館者と会話する。AIは、動物が生きていた環境や種に関する詳細情報を基に、彼らの地球での生活や直面した問題を説明する。この技術を通じて、生物多様性危機への無関心を和らげることが目指されている。来館者は、スマートフォンを通じて標本と対話でき、会話は20以上の言語で可能だ。標本ごとに特定のアクセントが設定され、例えばカモはイギリス風の話し方をし、カモノハシはオーストラリア訛りで話す。このプロジェクトは、来館者が標本についてどのような情報を求めているかを分析する目的もある。AIは標本に関する質問を提案するだけでなく、訪問者が自由に質問できる機能もある。
感想
この展示は、AI技術をユニークな形で活用し、動物標本に「声」を与えることで、人々の意識を生物多様性や自然への関心に向ける試みとして非常に興味深かった。通常は静かで無言の標本が、自らの物語や絶滅の背景を語ることでより理解や関心が深まると思った。また、AIによる多言語対応や年齢に応じた言葉選びも、幅広い層にアプローチできる点で優れているなと思った。
The Guardian 書評 (2024/10/24)
10/20
Cotswold wildlife park successfully breeds endangered Madagascan lemur
「コッツウォルド野生動物公園、絶滅危惧種のマダガスカルキツネザルの繁殖に成功」
要約
コッツウォルド野生動物公園が、マダガスカルで最も絶滅の危機に瀕しているキツネザルの繁殖に成功した。飼育下でのオオテングキツネザルの出産は非常にまれで、今年この種を繁殖させたのは、英国で唯一の動物園、そして世界でも2つの動物園のうちの1つである。世界で飼育されているオオテングキツネザルはわずか36頭で、国際自然保護連合によって「絶滅危惧種」と分類されている。世界で飼育されているのは、他に7つの動物園のみである。同園は今年で4年連続繁殖に成功した。「コッツウォルド野生動物公園では、この種の保護に力を注いでおり、マダガスカルの非常に重要な場所に資金を提供しているほか、コッツウォルド野生動物公園保護トラストとともに、他のいくつかの保護プロジェクトにも参加している。マダガスカルキツネザルは希少な種であり、募金活動の素晴らしい宣伝大使となっている。
感想
世界に36頭しかいない絶滅危惧種を飼育し、繁殖に貢献し続けているのはすごいなと思った。また、動物園が保全活動に積極的に関わり、種の存続に貢献している姿勢は素晴らしいと思った。こういう記事を機に、絶滅危惧種の保護に対する関心がさらに高まり、多くの人々が自然と共存できる社会について考える機会が増えればいいなと思った。
The Guardian 書評 (2024/10/31)
10/28
Israeli parliament votes to ban Unrwa from Israel within 90 days
「イスラエル議会、90日以内にアンルワをイスラエルから追放することを決議」
要約
イスラエル議会は、パレスチナ人への最大の人道支援機関である国連難民救済事業機関(Unrwa)を90日以内にイスラエルから追放することを決議した。同機関に対し、併合された東エルサレム、ガザ、ヨルダン川西岸地区を含むイスラエル国内での「いかなる活動」も、いかなるサービスの提供も禁止した。イスラエルの議員たちはまた、ウンルワをテロ集団と宣言し、国連機関とイスラエル国家との直接的な交流を事実上禁止することを決議した。この法律が直ちに発効するわけではないが、アンルワの東エルサレム本部の閉鎖につながることが予想され、ラファを経由してガザに人道援助物資が届けられるのを事実上阻止することになる。国交が断絶されれば、イスラエルは外国人のアンルワ・スタッフに入国許可証や労働許可証を発行できなくなり、援助物資の輸送を許可するためのイスラエル軍との調整もできなくなる。現在、190万人以上のパレスチナ人が避難生活を余儀なくされ、ガザ地区では食料、水、医薬品の不足が広がっている。
感想
この決定は、現地の人々が必要とする食料や医療などの基本的なサービスがさらに制限される可能性が高く、彼らの生活が一層困難になることが懸念される。一方で、イスラエルの安全保障に対する懸念や、Unrwaに対する批判が存在することも少し理解できるが、これを「テロ組織」として排除することで、人道的側面が無視されてしまうのはおかしい。人道支援をしている武力を持たない機関を追放し、支援を絶つのは殺人行為と変わらない。早急にこの決定を棄却してほしい。
The Guardian 書評 (2024/11/07)
11/5
At least 89 people remain missing after floods in eastern Spain
「スペイン東部で洪水、少なくとも89人が行方不明」
要約
スペイン東部で発生した大洪水により、少なくとも89人が行方不明のままであることが、バレンシアの司法当局によって確認された。同国のペドロ・サンチェス首相は、被災者救済のために106億ユーロ(約89億円)を計上すると述べた。先週の大雨で水路が氾濫し、バレンシア市南部の郊外に押し寄せた鉄砲水で、車や橋が流され、不動産や地下駐車場が浸水し、200人以上の死亡が確認された。バレンシア、カスティーリャ・ラ・マンチャ、アンダルシアでは少なくとも217人が死亡したが、これまでに身元が確認されたのは133人に過ぎない。今回の援助には、被災した中小企業やフリーランスの労働者に対する8億3800万ユーロの直接現金と、50億ユーロの国家保証による融資が含まれる。サンチェス首相は、地方自治体が負担する清掃費用の100%とインフラの修理費用の半分を国が融資すると述べた。道路支援会社のネットワークであるREACのコーディネーターを務めるソニア・ルケ氏によると、今回の洪水で10万台以上の自動車が被害を受け、洪水で被害を受けた町の企業の損害額は100億ユーロ以上に上る可能性があるという。
感想
スペインに行ったことがある身として今回の災害は非常に心が痛んだ。知人も今、バルセロナやアンダルシアにいるので心配です。記事の内容に関しては、災害によって被害額がかなり出ている中、スペイン政府が緊急支援として約10億ユーロの予算を割り当て、特に小規模事業者や被災者への直接的な支援金を提供することは良いと思ったが、救援活動の初動が遅れたという批判が出ている点から、災害対策や早期警報システムの改善の重要性も浮き彫りになっていると感じた。自然災害は予測が難しいが災害発生後の行動に関しては改善できると思うのでこれ以上大きな被害がでないように改善に努めてほしい。最後に被災された方々が一日も早く平穏を取り戻し、行方不明の方が無事に見つかることを祈っています。
The Guardian 書評 (2024/11/14)
11/7
This year ‘virtually certain’ to be hottest on record, finds EU space programme
「今年は記録上最も暑くなることは「ほぼ確実」、EU宇宙計画が発表」
要約
欧州連合の宇宙計画によると、2024年は記録上最も暑い年になることは「ほぼ確実」だという。 この予測は、COP29気候サミットで外交官らが会合する1週間前、地球温暖化ガスの史上最大の汚染国である米国で有権者の過半数がドナルド・トランプを大統領に選んだ翌日に発表された。トランプ大統領は気候変動を「デマ」と表現し、景気回復のための政策を見直すと約束した。報告書によると、2024年は産業革命以前より1.5℃(2.7℉)以上気温が高くなる最初の年になる可能性が高い。このレベルの温暖化は科学者を警戒させている。科学者たちは、過去12ヶ月間の世界の気温が、人類が石炭、石油、ガスを大量に燃やし始めた1850年から1900年の平均より1.62℃高いことを発見した。月刊気候速報によると、2024年10月の気温は、産業革命前のレベルを1.65℃上回り、2023年10月に次いで記録上2番目に暖かかった。
感想
スペインの洪水など、世界各地で明らかに気候変動が起きているにも関わらず、トランプ大統領は将来の地球環境を一切考えず、自国の景気回復にしか考えてないように感じた。景気回復もしながら、環境に配慮した政策を積極的に行った方が、世界からの評判も良くなり自国のためになると思うが実際は難しいのかなとも思った。環境に配慮した取り組みに対してもっとプラスになるようインセンティブなどを設けるべきではないだろうか。
The Guardian 書評 (2024/11/21)
11/18
Climate crisis to blame for dozens of ‘impossible’ heatwaves, studies reveal
「何十もの「ありえない」熱波の原因は気候危機であることが研究で明らかに」
要約
少なくとも24の「ありえない」熱波が地球上の地域社会を襲っていることが、新たな評価で明らかになった。この結果は人為的な地球温暖化がいかに異常気象を加速させているかを示している。科学的分析によれば、化石燃料の排出によって閉じ込められた余分な熱がなければ、このような現象が起こる可能性はほぼゼロであったという。さらに、地球温暖化が異常気象をどれほど悪化させたかを評価する研究が行われ、衝撃的な結果が出た。試算によれば、何百万人もの人々、そして何千人もの新生児が、人為的な余分な熱がなければ早死にすることはなかったという。今や不自然な災害となった気候危機の影響を計算した研究によると、550の熱波、洪水、暴風雨、干ばつ、山火事が、地球温暖化によって著しく深刻化し、頻発するようになった。
感想
地球温暖化が起きていなかったら生き残れていた新生児のデータを見て非常にびっくりした。何百人もの命が助かっていたかもしれないと思うと、改めて世界全体で気候変動に対して危機感を持たないといけないと思った。私の祖父母も夏の暑さで食欲が低下した影響もあり亡くなっている。当事者意識をしっかり持ち、私たちの身近にいる大切な人たちが気候変動によって命を落とさないよう小さなことからでいいからエコな取組みをしていかなければならない。
The Guardian 書評 (2024/11/28)
11/25
PFAS and microplastics become more toxic when combined, research shows
「PFASとマイクロプラスチックは組み合わせると毒性が増すとの研究結果」
要約
PFASとマイクロプラスチックの混合物が相乗効果によって毒性を高め、発育阻害や出生率低下といった深刻な影響をもたらすことが研究で示された。PFASは自然分解せず蓄積する化合物群で、マイクロプラスチックはプラスチックの劣化などで発生し、いずれも人体や環境中に広く存在している。研究ではミジンコを用い、過去に汚染を受けた個体ほど新たな曝露に弱いことが判明した。混合物は単独の物質より毒性が高く、相乗効果が毒性の約40%を占めていた。これらの影響を理解し、野生生物や人間の健康を守るための規制と保護の改善が急務であると結論付けられた。
感想
化学物質の相互作用が毒性を増幅させる現実は深刻であり、現在の規制が物質ごとの基準に依存している問題点を浮き彫りにしている。人体や環境にすでに広範に存在するこれらの物質が、将来さらに大きな被害をもたらす可能性は否定できない。特に、人間は複数の物質に日常的に晒されており、リスク評価や規制の枠組みを包括的に見直す必要性を強く感じる。この前の紙ストローのCAでもPFASが話題になったが、この記事を見てよりPFASの危険性を理解し、プラスチックストローをできるだけ生産・使用すべきじゃないと思った。
The Guardian 書評 (2024/12/05)
12/1
Land degradation expanding by 1m sq km a year, study shows
「土地の劣化は年間100万平方キロメートル拡大、調査結果より」
要約
土地の劣化が世界中で毎年100万平方キロメートルのペースで拡大しており、気候を安定させ、自然を保護し、持続可能な食糧供給を確保する努力を損なっていることが、ある研究で明らかになった。科学報告書によれば、劣化面積はすでに1,500万平方kmに達しており、これは南極大陸を上回る面積である。科学報告書は、土地の乱用が「人間と環境の福利を支える地球の能力を取り返しのつかない形で損なう」ことを避けるため、早急な軌道修正を呼びかけている。この報告書は、今週サウジアラビアのリヤドで開催される国連砂漠化防止条約(UNCCD)に基づく200カ国によるサミットを前に、持続可能な土地管理への世界的な努力を喚起することを目的としている。
感想
土地の劣化は日本にいて感じることがほとんどない(はげ山をたまに見るくらい)が、世界単位で見ると毎年100万平方キロメートルのペースで拡大しているのを知って、とても深刻な問題だと思ったし、地球上ですでに劣化している面積が南極大陸より大きいことにも驚いた。また、国連砂漠化防止条約(UNCCD)に基づく200カ国によるサミットがあることを初めて知った。持続可能な食糧確保ができるように土地の劣化を一刻も早く食い止めるために世界で協力をしていかないといけないと思った。(例:発展途上国への支援拡大など)