The Guardian 書評①2023春
The Guardian 書評 (2023/04/14)
4/14
Spanish woman emerges after spending 500 days living alone in cave
「スペイン人女性が洞窟で500日間一人暮らしした後、姿を現す」
スペイン人の登山家であるベアトリス・フラミニがスペイン南部の地下にある隠れ家から500日ぶりに姿を現した。フラミニはロシアがウクライナに侵攻する3か月前の2021年の11月に極度の孤独と困窮にどのように対処できるのかについてさらに学ぶことを決意し、グラナダの洞窟にある宿に入った。アルメリア大学、グラナダ大学、ムルシア大学の研究チームによって監視され、特別な連絡手段で連絡を取り合った。彼女が洞窟で過ごした500日は人が洞窟で単独で過ごした時間の世界最長記録を破ったと考えられている。フラミニは医師と心理学者との簡単な検査の後、シャワーを浴びずに記者会見に臨んだ。フラミニはメディアに対して65日目以降、時間を忘れたと語っている。また、フラミニは洞窟内で読み書きや編み物、絵を描いて過ごしたと語っており、他にも60冊の本を読み、2台のカメラを使用して公開予定のドキュメンタリ―を撮影していた。洞窟内では困難な瞬間もあった一方で非常に美しい瞬間もあったとも語っている。さらに、彼女はシャワーを浴びていないにもかかわらずあと500日過ごせると語っている。
The Guardian 書評 (2023/04/24)
4/24
Former president of Kiribati backs legal case against Australia over inaction on climate crisis
「キリバスの元大統領は、気候危機に対する不作為をめぐるオーストラリアに対する訴訟を支持する」
キリバスの元大統領であるアノテ・トンは気候危機の不作為についてオーストラリア政府に責任を負わせるため、トレス海峡諸島民であるポール・カバイとパバイ・パバイとの連帯声明に署名し、彼らのオーストラリア政府に対する訴訟の支持と科学的な排出削減を要求した。トレス海峡諸島出身の彼らが住んでいる島は定期的に海水で氾濫しており、気候変動に対する施策が不十分なオーストラリア政府に対して訴訟を起こした。トン氏はオーストラリア政府の国内排出量の削減を強化し、2050年までのゼロエミッションを達成することにコミットしていることは良いとしているが、本当の課題は常に輸出される化石燃料、石油やガスであり、これらは基本的に国内で排出されるものよりもはるかに多くの量を排出していることについて指摘している。島民の2人は気候変動により自分たちの文化、アイデンティティ、さらには祖国さえも失う可能性があると述べている。最後にトン氏は気候変動による最悪の事態を防ぐためにも特定の国だけではなく、すべての国が団結して対処しなければならないと語っている。
The Guardian 書評 (2023/05/07)
5/7
French awards to honour rap and other genres shunned by mainstream
「フランスの賞でラップなど主流から敬遠れているジャンルを表彰へ」
米国に次ぐラップ音楽の市場であるフランスではラップ、R&B、アフロ音楽を対象とした初の授賞式が木曜日に開催される予定である。米国のヒップホップ雑誌『DJBooth』がパリ周辺を世界で最もヒップホップが盛んな都市とみなしてから4年、フランスではラップ、R&B、アフロがストリーミングダウンロードの主流となっている。しかし、昨年、ストリーミングでダウンロードされた音楽の65%がラップだったのにもかかわらず、専門のラジオ局を除けば、フランスのラジオで放送された音楽の12%しか占めていなかった。また、フランスで主流の音楽賞からラップが除外されていることは長い間、論争になっていた。しかし、ようやくラップやその他のブラックミュージックにおける多様性を反映した授賞式「Les Flammes」がBooska-PとYardという2つのメディア企業とSpotifyの支援により5月11日に開催される。この授賞式では一般市民も投票が可能であり、多くの部門の50%に相当し、審査員も性別のバランスを考慮されており、毎年変更される。また、主流の賞とは異なる点として、YouTubeとTwitchで配信される。
The Guardian 書評 (2023/05/10)
5/10
Microbes discovered that can digest plastics at low temperatures
「低温でプラスチックを分解できる微生物を発見」
スイス連邦研究所WSLの科学者たちは、15℃でプラスチックの分解を行うことができる微生物を発見し、微生物リサイクルの画期的な進歩につながる可能性があることを明らかにした。これまでにもプラスチックを分解できる微生物は発見されていたが、通常30℃以上の温度でしか活動できない。そのため、工業的な利用には加熱が必要となるため、コストがかなり高くなり、また、カーボンニュートラルに役立っていなかった。WSLのジョエル・リューティー博士らは、グリーンランド、スバールバル、スイスで1年間地中に放置された、あるいは意図的に埋められたプラスチックに生息する細菌19株と真菌15株を採取し、それらの微生物を15℃の暗闇の中で培養し、異なる種類のプラスチックを消化できるかどうかをテストした。実験では非生分解性のポリエチレン(PE)と生分解性のポリエステル-ポリウレタン(PUR)、さらにポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)とポリ乳酸(PLA)の生分解性混合物を用いた。結果としては、どの菌株もPEを消化できなかったが、菌株の56%はPURを消化でき、14の真菌株と3つの細菌株はPBAT と PLA のプラスチック混合物を消化できた。リューティー氏は今回テストした微生物はプラスチックの酵素リサイクルプロセスのコストと環境負荷の削減に役立つ可能性があると述べている。
The Guardian 書評 (2023/05/22)
5/22
Cocoa planting is destroying protected forests in west Africa, study finds
「カカオの植林が西アフリカの保護林を破壊していることが判明」
チョコレートの世界的な需要は、西アフリカの保護された森林の破壊の主な原因であると科学者たちは述べている。コートジボワールとガーナの衛星地図によると、2000年以降、元々の密林だった地域がカカオ農園に変わっていることが明らかになった。この研究によると、2000年以降に起きた森林破壊で、コートジボワールでは962,000ヘクタールのうち360,000ヘクタール(37.4%)、ガーナでは193,000ヘクタールのうち26,000ヘクタール(13.5%)にカカオ生産が関与していることがわかった。熱帯地域と同様に、西アフリカでも森林が急速に失われており、コートジボワールは1950年以来90%以上、ガーナは65%以上失われたと推定されている。カカオ生産は鉱業や択伐などと並んで両国の森林破壊の主な原因の1つとされていたが、その責任の所在は定かではなかった。そこで今回の衛星画像を用いた研究を行い、コートジボワールの保護区の約14%、ガーナの保護区の約5%を含む、2カ国合計で150万ヘクタール以上の保護区でカカオが栽培されていることが判明した。レインフォレスト・アライアンスのガーナ・ナイジェリア担当ディレクターであるクワメ・オセイ氏は、カカオ生産における森林破壊の最も大きな要因は貧困である、と主張しており、カカオ農家の低収入の問題や気候変動による収穫のリスクがカカオ農園の拡大に影響していると述べている。
The Guardian 書評 (2023/05/29)
5/29
Starwatch: Why ‘night shine’ clouds at edge of space may be product of pollution
「スターウォッチ:なぜ宇宙の端にある「夜に輝く」雲は汚染の産物かもしれないのか」
春の終わりから初夏にかけて、北半球では夜光雲の季節がやってきます。名前はラテン語で「夜の輝き」を意味する「noctilucent」に由来する。夏の間、日が沈んでから30分ほどすると、暗くなった西の空にエレクトリックブルーに輝く美しい雲を見ることができる。また、地球上で最も高い位置にある雲であり、実質的に宇宙の端である高度約 80 km (50 マイル) に存在する。そのため、非常に高度が高く、かつ弱いため、地上の天候に影響を与えることはないと考えられている。この夜光雲の起源はいまだ謎に包まれており、また、1885年以前では目撃記録がない、という不可解な点も存在している。このことについては、産業革命中に初めて大気中に放出された産業汚染物質の周りの水が凍るときに、それらが形成されたのではないか、という説と、温室効果ガスのメタンが大気中に多く含まれるようになり、大気圏上層部で水蒸気の発生が促進されたからではないかという説があげられている。
The Guardian 書評 (2023/06/01)
6/1
Zimbabwe outlaws criticism of government before August elections
「ジンバブエ、8月の選挙前に政府批判を禁止する」
ジンバブエの議会は、8月の大統領および議会選挙前に政府への批判を禁止する法律を制定した。この改正法案は「愛国法」として知られており、違反すると最大で20年の懲役刑が科される可能性がある。この法律は、政府の主権と国益を故意に損なう行為を犯罪化するものであり、野党活動家はこの法律が与党(Zanu-PF)の政治的な敵対者や市民社会団体、市民を罰するために設計されたものだと主張している。この法律の成立により政府が8月23日の総選挙前に抗議活動を弾圧する可能性が懸念されている。大統領のムナンガグワ氏は2期目を目指しており、彼の主なライバルは市民連合の指導者であるチャミサ氏である。CCCの全国放送担当者で弁護士でもあるマヘレ氏はこの法律が選挙前の民主的な空間を制限する危険性があると指摘している。彼女は、Zanu-PFが国を暴政の拠点に変えてしまったと述べた一方、ジンバブエの人々は、ジンバブエを変革のために勝ち取るという一つの使命を持って投票に行くのだから、このような法改正は何も効果がないとも述べている。
The Guardian 書評 (2023/06/09)
6/9
High levels of drugs found in sea off south England coast
「イングランド南部沖の海で高濃度の薬物が発見される」
イングランド南海岸の水質汚染を調査した研究で、娯楽用ドラッグや抗うつ薬などの潜在的に有害な化学物質が高レベルで存在していることが明らかになった。研究者は人間の薬物が海洋生物に害を及ぼしていると指摘し、水中のエストロゲンが生物学的な変化を通じてメスの魚を女性化する証拠を示した。研究者らはこれまでに、22の施設で288以上のサンプルから50以上の化合物を検出し、 その中には医薬品や糖尿病治療薬のほか、コカイン使用後に肝臓で生成される化学物質も含まれている。ポーツマス大学生物科学部のアレックス・フォード教授はこの研究は海洋生物や沿岸水域にどのような化学汚染物質が含まれているかを特定できるようになると述べている。また、この研究では欧州で定められている安全レベルの760倍もの大腸菌が検出されたことがわかった。下水事業部長のジョン・ペニクッド氏は、上記の取り組みは世界的な課題であり、水道会社や規制当局を含む産業界、農業、その他の部門の緊密な協力が必要であると述べている。
The Guardian 書評 (2023/06/17)
6/17
UK is among countries with the most positive attitude towards refugees, poll finds
「世論調査によると、英国は難民に対して最も前向きな姿勢を持つ国の一つであることが判明」
亡命希望者に対する英国政府の敵意が高まっているにもかかわらず、英国人は世界で最も難民に対して肯定的な態度をとっていることが、新たな世界的な世論調査で明らかになった。29カ国の約2万2000人の成人を対象にした国際調査では、英国人が難民に対してスペイン、ニュージーランドに次いで3番目に熱心な見方をしていることが判明した。多国籍市場調査コンサルティング会社であるイプソスの調査はスナク首相が海峡横断の停止を掲げており、移民に対する政府の対応が厳しくなる中で実施された。英国では難民に対する見方が他の国よりも常に肯定的であり、英国人の56%は難民問題に対して積極的な貢献をしていると考え、54%は難民の滞在を認めるべきだと考えている。また、「人々は戦争や迫害から逃れるために、他の国に避難することができるべきである」という声明に84%が同意しており、2021年の73%から増加している。イプソス UK の広報担当マネージング・ディレクターであるトリン・トゥ氏は難民に対する英国人の同情心は依然として高いものの、2022年以降、難民は本物ではないという国民の認識も高まっていることを述べている。国際避難民は昨年初めて1億人を超え、今年は気候変動による緊急事態の影響の拡大や、その他の要因の中でも紛争の増加により、1億1720万人が強制的に避難したり無国籍になったりすると推定されている。
The Guardian 書評 (2023/06/27)
6/27
Philippine job agencies cheating women with illegal fees and crippling loans
「フィリピンの職業紹介所、違法な料金と破格の融資で女性を騙す」
フィリピンの人材紹介会社や貸金会社が、高金利ローンで支払われる違法な手数料を請求することで、海外で仕事に応募する女性から数千ポンドをだまし取っていることがインタビューや文書で明らかになった。移民権利団体がまとめた数百人の女性へのインタビューと数千ページに及ぶ苦情文書から、職業紹介会社が応募者に法定限度額を超える研修費や医療費を請求していることが判明した。文書化された訴状によると、人材紹介会社は手数料を支払うためのローンを組むために、家事労働を探している応募者(通常は女性)を提携先の金融会社に連れて行くが、その金利はしばしば130%を超えている。フィリピンの法律では金融業者は海外労働者に年利8%を超える金利を請求することを禁じられている。人材紹介会社が海外での仕事の紹介料を請求することは禁止されているが、移民労働者には訓練や健康診断の費用を金額上限の5,000 ペソ (£71)まで請求することができる。香港と台湾で仕事に応募した一部の労働者は移民権利団体ミグラシアと国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に対し、返済が滞った際に自分たちとその家族が金融業者から脅迫や嫌がらせを受けていたと語っている。
The Guardian 書評 (2023/06/29)
6/29
Many people in Mexico without power as deadly heat leads to strain on grid
「猛暑で送電網に負担がかかるため、メキシコでは多くの人が停電」
過去2週間でメキシコとテキサス州に致命的な記録破りの猛暑が発生し、メキシコの一部の州では気温が華氏113度を超えた。水曜日にメキシコ保健当局は、今年のこれまでの熱中症による死亡者数は少なくとも112人であると発表し、2022年の総数のほぼ3倍に相当する。また、データによると過去2週間で熱中症による死亡者数が大幅に急増したことを示している。メキシコではこの記録的な高温は国内の送電網に大きな負担をかけており、先週はメキシコの10以上の州で電力不足が報告された。専門家によると、設備への投資不足のため、メキシコの電力システムはこの課題への備えができていないと指摘している。「エネルギー需要は着実に増加しているが、発電量は過去5年間増加していない」と、エネルギー専門家のカルロス・フローレスは述べている。メキシコでは通常、7月に前年のエネルギー需要のピークを超えるが、今年はすでにそうなっており、今後数週間はさらにひどい停電が続くのではないかと多くの人が心配している。「これは気候変動による緊急事態の産物であり、政府の責任ではないが、これに備えた電力システムを構築するのは政府の責任だ」とエネルギー専門家のイバラ氏は述べている。
The Guardian 書評 (2023/07/10)
7/10
Safety concerns for chicks grow as birds build nests with rubbish, study shows
「鳥がゴミで巣を作るため、ヒナの安全性への懸念が高まっている」
鳥がタバコの吸殻やビニール袋、漁網などのゴミで巣を作るため、ヒナの安全が心配されると科学者たちが指摘している。ヨーロッパの科学者チームによって発表されたこの研究は、約35,000の巣を調査し、南極大陸を除くすべての大陸で、合計176種の鳥が人間の作ったものやゴミを巣に使っていることを明らかにした。その中には鳥やその子孫を傷つけるものも含まれている。このような行動は1830年代にはすでに観察されていたが、近年は間違いなく増加していると科学者たちは述べている。科学者たちは、鳥がその住処にある人間の物質によって危険にさらされる点を強調している。しかし、ごみの中には寄生虫の撃退や断熱材となる物もある。バーミンガム大学の鳥類学者で、この研究の共著者であるジム・レイノルズ博士は「人間が作った材料で巣を作ることが、鳥の生息数にどのような影響を与えるかについて述べるのは時期尚早だ。」と述べている。
The Guardian 書評 (2023/07/14)
7/14
India readies historic moon mission as it seeks to cement position as a space power
「インドは宇宙大国としての地位を固めようとして歴史的な月ミッションを準備中」
インドの宇宙機関は、探査機を月面に着陸させ、同国の宇宙探査大国としての地位を示すことを目的としたロケットの打ち上げの準備を進めている。月面着陸に成功したのは米国、旧ソ連、中国だけで、 今年初めに日本の新興企業による試みは着陸船の墜落で終わった。インド宇宙研究機関(ISRO)による今回の打ち上げは、ナレンドラ・モディ首相政府が民間宇宙打ち上げや関連する衛星ベースのビジネスへの投資を促進する政策を発表して以来、同国の初の主要ミッションである。7,500万ドル弱の予算で建造されたチャンドラヤーン3号は、現地時間午後2時35分に南部アンドラプラデーシュ州にあるインドの主要宇宙港から打ち上げられる予定だ。すべてが計画通りに進めば、43.5メートルのLVM3打ち上げロケットは宇宙船を楕円形の地球軌道に打ち上げた後、月に向かって旋回して8月23日頃の着陸予定となる。