「保育の質の低下」の話は、教育問題とも共通していると思います。
2月26日の朝日新聞デジタルに、「保育の質は低下? 人材の寄せ集め「保育が成り立たなくなっている」」という記事が出ています。
全国保育士会副会長で、保育現場で長年、保育士として働いてきた北野久美さんによると、
「保育の柱は「子どもの健全育成」と「保護者の就労支援」「地域を含めた子育て支援」で、保育の質はこの3本柱に対する評価ではかるものだと思います。
でも、一般的には保育がどういうものか理解されておらず、質についても誤解があると感じています。」
「保護者のなかには、子どもの健全育成よりも、「勉強や運動などの早期教育をしてくれるか」「夜遅くまで預かってくれるか」といった観点で質を捉える方もいます。
各家庭の要望に応えられるかどうか、カスタマイズしてくれるかで、保育の質を判断される場合もあって非常に残念です。」
とのことで、「保育そのものが成り立たなくなっている」と、おっしゃっています。
これって、小学校以上の教育も同じですよね。保育の柱とされている「子どもの健全育成」と「保護者の就労支援」「地域を含めた子育て支援」は、小学校でも同じような観点が重要視されるものと思いますし、「保護者のなかには、子どもの健全育成よりも、「勉強や運動などの早期教育をしてくれるか」「夜遅くまで預かってくれるか」といった観点で質を捉える方もいます。各家庭の要望に応えられるかどうか、カスタマイズしてくれるかで、保育の質を判断される場合もあって非常に残念です。」という部分も、特に「各家庭の要望に応えられるかどうか」なんていうあたりは、おそらく似たようなことがあるように思います。
これをもって「保育そのものが成り立たなくなっている」というのならば、「教育そのものが成り立たなくなっている」とも言えるのではないでしょうか。教育の問題は、これ以外にもいろいろな要因がありますが、特に近年の教員の成り手不足ということから、徐々に人材の寄せ集めが始まっていて、教員の質も低下してきているように思われますので、「保育の質を考える手前段階で、保育そのものが成り立たなくなっている」のと同様に、「教育の質を考える手前段階で、教育そのものが成り立たなくなって」来ているように思います。
先日、某教育研究会で、教員養成を担当している大学の先生の話の中に、教員志望者が以前とは変わってきているという言葉がありましたし、実際に教員になっている人の出身大学が、以前とは異なってきているという話題もありました。この手の話はしばらく前から言われていて、「教員の質の低下」が話題になることがあります。
一部では、教員の基礎資格を「修士」に、という話もあります。一方で、教員免許も修士で取れる専修免許が、学士で取れる一種免許と差がないように思われますので、そのあたりも検討しないといけないだろうと思います。