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空間概念

以前書いた日記を読んだらちょっと面白かったので、また再開することにした。なぜ日記を公開するのかは分からない。

「空間概念 期待」とはルチオ・フォンタナの作品だ。真っ赤に塗ったキャンバスに黒い筋が3本。よく見ると、その筋は描かれたものではなく、キャンバスの上を鋭い刃物で滑らせたような、切れ込みだ。表面はめくれ、絵画という平面的な表現に彫刻のような立体感が生まれている。フォンタナは芸術の新しい次元を期待したという。

この真っ赤な作品は倉敷の大原美術館で観ることができる。どこかで緑色のものも観たことがあるが、他にも切れ込みが1本のものなど、複数バージョンがあるらしい。

そしてまた新しいものを見つけた。倉敷の商店街で、この「空間概念 期待」の複製画を見つけたのだ。複製画というのは、専用の印刷で作られた「コピー」だ。良いものだと油絵のタッチまで再現したものもあり、「本物」に比べれば遥かに低価格で手に入る。美術館で企画展やコレクションの複製画を売っていたり、画材屋・売り場にあったりする。

で、この「空間概念 期待」なのだが、商店街にモネやルノワールといった「名画」に並んで置かれていた。高さ1メートルほどある「本物」の半分ほどの大きさで、額に入れられ、イーゼルに立て掛けられていた。そして-前置きをここまで引っ張ってしまって後悔しているが-案の定、3本の筋は「本物そっくり」に黒い線で描かれていた。

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