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【旅行記】大学生が鉄道で日本一周してみた#3 函館→札幌

2日目はこちらから↓

函館よりおはようございます。

昨日の夜は気が付かなかったが、函館は海が近い街だ。歩いていると、どこからともなく磯の香りがした。奥には船らしきものも見えた。

これが函館駅のホーム。かなり湾曲しているのが分かるだろうか。
青函トンネルがまだ開通しておらず、飛行機も一般的ではなかった時代、本州との接続は津軽海峡を越え、青森と函館を結ぶ青函連絡船が担っていた。
船を降り、連絡橋を渡っていくと10両以上の長編成の特急が待ち構えていて、すぐに北海道の各都市に行けるようになっていたのだ。
私はそんな時代を生で見たことは一度もないが、このホームに立っているとかつて重要な玄関口として栄えていた頃の人々の賑わいが映し出されるようだった。

さて、ここから次の目的地である札幌に行くためには、二つのルートがある。一つは長万部からニセコ、余市、小樽と内陸を通る函館本線(山線)。もう一つが長万部から分岐して東室蘭、登別、苫小牧と海沿いを通り、北上して札幌に向かう室蘭本線・千歳線(海線)だ。海線には特急北斗もあり、早く行くことができるのはこっちだ。
しかし、今回は山線で行くことにした。その理由を説明するためには、北海道新幹線の延伸について話さなければならない。

現在、北海道新幹線は新函館北斗までとなっているが、2030年度(2024年12月現在は2038年度前後の見込み)には札幌まで延伸される計画が立てられており、既に工事が進んでいる。この北海道新幹線の延伸ルートというのが、山線と並行するルートなのである。
新たな新幹線が開業すると、並行する在来線は昨日のIGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道のように第三セクター化されるか、それが不可能な場合は廃止される。そして長万部~小樽間の山線は廃止されることが決定しているのだ。次にいつ来ることができるか分からないため、乗れるうちに乗っておきたかった。

8:18発 函館本線 長万部行

キハ40系。国鉄時代の車両だが年々減ってきている

我々がよく電車と呼んでいるものは、実はここ北海道にはごく少数しか存在しない。その代わりにあるのが、上の写真のような気動車と呼ばれる鉄道で、早い話がディーゼルカーだ。ディーゼルエンジンで動くため、停車中もエンジンの起動音が鳴り続け、列車というよりは車に乗っているような感覚がしてくる。
だが、気動車らしいのは停車中くらいで、一旦動き出すとエンジン音は走行音にかき消されて気にならなくなった。
国鉄の匂いを感じる4人掛けのボックスシートに揺られ、旅情がかきたてられる。列車は海に近いところを走り、車窓からは内浦湾が見えた。

車窓からの内浦湾

9:40 森駅

駅前ロータリー

ここで列車は少し長めに停車するので、降りてあるものを買いに行く。それは森名物の駅弁、「いかめし」だ。駅を出ると、左手すぐに店があった。ここでいかめしを買う人が多いのだろう、駅のドアをはじめとして店までの案内がいたるところにあった。手のひらに収まるサイズの箱には夢がずっしりと詰まっていた。
いかめしを買ったら再び列車に戻る。あまりにも完璧な停車時間に、いかめしを買うために停車してくれているんじゃなかろうか、と思ってしまう。

11:12 長万部駅

長万部駅

またしても駅名標を撮り忘れてるよこの人。

長万部駅を出てすぐ、数人が駅を背にして歩いていくのが見えたので、何も考えずに後についていった。しばらく歩いていると、目の前に海が見えてきた。車窓からも見た内浦湾だ。

内浦湾が広がる

ここで一旦駅に戻り、先ほど買ったいかめしを食べることにした。小さめのパッケージだったので足りるかと不安になったが、開けてみるとそんな不安は吹き飛んだ。

もち米を包んだイカが香ばしい匂いを解き放つ。醤油で味付けされたイカともち米の相性はバツグンで、あっという間に平らげてしまった。

いかめしを食べてもまだ時間があったので、海岸とは別の方向を散歩することにした。北海道に来るまでは札幌などの大都市でのイメージしかなかったが、北海道では割とどこでも碁盤目状の街を見ることができる。そして、こうした地方の街では、建物と建物の距離がかなり離れているという特徴がある。たった一枚の写真を取っても、北海道の広さが見て取れる。

謎の寺にも出くわした

13:29発 函館本線 倶知安行

最新式の気動車、H100形

ここから、いよいよ山線の区間に入っていく。
長万部を過ぎていくと、すっかり山の中の景色になった。……が、同じ車両に乗り合わせた一人がカメラを持って、10秒に1回くらいというペースで窓に張り付いては写真を撮っていたため、シャッター音がずっと気になって景色はあまり楽しめなかった。

15:02 倶知安駅

これでくっちゃんと読むのだから驚き。なんだか小学生のあだ名みたいだ。倶知安駅も北海道新幹線が通ることになっており、新幹線の高架駅工事のために移設されてホームは新しくなっていた。ホームの奥には工事車両も見えた。

15:17発 函館本線 小樽行

長万部から同じ車両で移動してきた人たちが押し寄せ、ホームが人でいっぱいになった。ただ、来た列車は2両だったのである程度は分散し、席に座ることができた。

16:27 小樽駅

小樽でまた寄り道をするために下車した。小樽について知っていることと言えば小樽運河くらいだったが、いざ降り立ってみると明治時代を思わせるレトロと現代が同居する、おしゃれな街並みだった。

小樽の街並み

人力車が走っていたり、廃線跡があったりと、不思議な雰囲気だった。いつか小樽の他の観光地もじっくり見てみたい。

小樽運河

小樽運河まで行ってみると、大勢の人が集まって写真を撮っていた。小樽港からの運搬をより効率的にするために1923年に完成した小樽運河は、小樽港に埠頭が完成すると同時に役目を終えたが、運河の埋め立てに反対する市民活動が起こり、1986年に一部が埋め立てられて散策路が整備され、小樽市の一大観光地となった。石造りの倉庫が立ち並ぶ姿は、さながら時代の生き証人のようだった。

橋上から
近くの小樽港。運河の起源はこの小樽港にある

17:30発 エアポート156号 新千歳空港行

快速エアポート(写真は札幌駅で撮影)

さて、ここから札幌までは本数が多く設定されており、それに伴ってグレードの高い車両が走っている。この快速エアポートは空港にアクセスするための列車であるため、荷物置き場に席が前に向いたクロスシートと、ハイグレードな設備になっていた。こういうありがたい車両には乗れるだけ乗っておきたい。

18:08 札幌駅

函館から普通列車を乗り継ぎ、ようやく北海道の県庁所在地、札幌に到着した。さすがに人口約200万人となると、これまでに見てきた都市とは規模が桁違いの大都会だ。

札幌駅から見た街の様子
バター入り味噌ラーメン

札幌に来たら食べてみたかった、札幌味噌ラーメン。丸々入ったバターがなんとも贅沢だ。

食べている間、隣に座った二人組の女性が北海道のラーメンの話題で盛り上がっていた。耳に入ってきた話によると、北海道のラーメンは場所によって人気の味が異なり、札幌では味噌、函館では塩、旭川では醤油なのだそうだ。函館はもう通り過ぎたし旭川も今回は行かないが、次に来た時は食べ比べなんかもしてみたい。

大通公園

夜7時ごろの大通公園はライトアップがされていて、とても幻想的だった。
写真写りが悪いのが残念だ。

明日は札幌を色々と観光する。鉄道での長距離移動を期待している方々には申し訳ないが、今後もこういったスタイルで移動と観光を交互に行っていくことになる。まあ自分のための旅行だから、ということで。

4日目に続く。


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