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【旅行記】大学生が鉄道で日本一周してみた#2 仙台→函館

1日目はこちらから↓

おはようございます。ということで2日目は仙台からスタート。

仙台を発つ前に、牛タンの他にも食べてみたいものがあった。それはずんだシェイクである。枝豆をすりつぶして作られるずんだを使用した飲み物で、テレビでも取り上げられたことがあるらしい。ということで駅に向かい、ずんだシェイクを買える店を探していると、それらしき店を発見した。

閉まっていた。

9時から開店とかいう字面が見えた。無理じゃん。8時すぎにはもう出なきゃいけないのに。他の店もあらかた閉まっていて、どうやらずんだシェイクは諦めろということみたいだ。残念だが、仕方がない。

ということで、穴埋めとして代わりに買ったのが、

こちらのずんだサイダーである。
飲んでみた感想としては、枝豆だった。シュワシュワした枝豆。それ以上でもそれ以下でもない。

さて、本日もJRを乗り継いでいくので、昨日に引き続き青春18きっぷを使って……。
と言いたいところだが、今日は別の切符に登場してもらう。

それが、こちらの「北海道&東日本パス」。
1日分だけ使った青春18きっぷには一旦お休みしてもらって、2日目からはこちらを使っていく。こういう残りを温存する使い方ができたのもこの時までだったんだよなぁ。
この「北海道&東日本パス」、めちゃくちゃお得な割に青春18きっぷよりも知名度が低い気がしているので、もっと知ってもらうために簡単に説明する。んなもん知っとるわという方はスクロールして飛ばしちゃってください。

北海道&東日本パスとは
・JR北海道・JR東日本が春季・夏季・冬季の定められた期間を利用期間として発売する切符。7日分で価格は11330円(子供用は5660円)。
・連続する7日間で利用でき、JR北海道、JR東日本、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行の普通列車・快速列車とJR東日本のBRTが乗り放題になる(つまり原則として特急列車や新幹線に乗ることはできない……が、一部例外がある)。
・複数人での使用は不可能で、連続して使用しなければならない(2024年改定後の青春18きっぷと同じ)。

なんと、利用期間が青春18きっぷより2日長いにも関わらず、こちらの方が価格が安いのである。1日あたり約1620円ですよ。東京駅からだと、高崎や熱海あたりに片道で行くだけでもう元がとれてしまう。あまりにも破格。おまけにいくつかの第三セクターにも乗れてしまう。東日本・北海道エリアという範囲の制約はあるが、逆に言えばこのエリアのみで完結している場合、買わない理由がないほどお得な切符なのだ。
以前までは連続して使用しなくてはならない、という制約が青春18きっぷとの差別化要素の一つになっていたが、2024年冬季の改定から青春18きっぷにもこの制約が付いたため、お得度は相対的に上昇している。

そんなわけで本日から7日間はこの切符を頼りまくることになる。

ん?じゃあなんで初日から使わなかったのかって?
それはまたのちに説明することになるが、一言でいうと北海道があまりにも広すぎたからだ。さすが北海道、規模が違うぜ。

8:11発 東北本線 小牛田行

701系。東北ではこれの色違いを沢山見ることになる

北海道を目指すべく、今日も北上していく。仙台都市圏を離れると、みるみるうちに田園風景がひろがるようになった。

8:58 小牛田駅

あまり時間はないので、降りたらすぐに乗り換えていく。

9:06発 東北本線 一ノ関行

岩手県に入ろうとするあたりで、車内が異様な雰囲気になっていることに気づいた。同じ号車には数人の乗客が座っていたが、地元の人にしてはどうも手練れの顔をしている。もしやと思い、一人が手に持っていた細長い切符を見て確信した。ここにいるほぼ全員が青春18きっぷの使い手、18きっぱーだ。スタンド使いが互いに引かれ合うように、18きっぱーもどこかしらで出会う運命なのかもしれない。つまりここはもう戦場なのだ。

「岩手最南端、花泉」とでかでかと書かれた看板があった

9:52 一ノ関駅

停車すると、同じ号車の18きっぱーが一気に降りた。おそらく、また同じ電車に乗るのだろうと思っていたら、案の定次の電車に続々と乗り込んでいった。熟練の猛者たちの足取りに隙はない。

10:15発 東北本線 盛岡行

岩手カラーの紫、なのか?

11:46 盛岡駅

盛岡に到着した。
東北新幹線と秋田新幹線の合流地でもある盛岡駅は、県庁所在地の駅に恥じない豪壮なたたずまいをしていた。

駅周辺もこんな感じで中々に栄えていた。

盛岡の名物といえばわんこそば、冷麺と麺類のラインナップが豊富なイメージだったが、調べてみるとそこに加えてじゃじゃ麺というものがあるらしい。駅ナカによさげな店があったので、そこで食べることにした。独特な平べったい麺のモチモチした食感に、ピリッとしたスープの辛みがアクセントになって美味しかった。

腹ごしらえも済んだところで、さらに北を目指していく……のだが、実はこの先は少し事情が違う。
この先、太平洋に沿って進んでいくには、JRだけでは進めない。東北新幹線が延伸されてから、並行していた在来線がIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道という第三セクターに移行された。第三セクターというのは国や地方公共団体が民間企業と共同出資して設立される法人のことで、つまるところJRではないということだ。この区間は青春18きっぷでは乗ることができず、乗車賃もかなり高くついてしまう。

……なんて心配は、北海道&東日本パスの前では不要。
ここで、上記の概要を思い出してほしい。

・連続する7日間で利用でき、JR北海道、JR東日本、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行の普通列車・快速列車とJR東日本のBRTが乗り放題になる。

なんと、第三セクターにもこれ一枚で乗れてしまうのである。

18きっぷ使用者にとっての難所を、ついで感覚で通れてしまう。なんて恐ろしい切符なんだ、北海道&東日本パス。

13:23発 IGRいわて銀河鉄道 八戸行

IGRいわて銀河鉄道カラーの701系

というわけで、第三セクターであるIGRいわて銀河鉄道に乗って難なく旅を続ける。次の駅をアナウンスする際に鳴る「ピンポーン」という音がバスで鳴るそれに似ているせいか、車内のアナウンスがなんだかバスみたいだと思った。

15:10 八戸駅

ここで少し長めの乗り換え時間ができたので外を散策したかったが、八戸は雨が降っていた。
何かないかと駅を歩いていると、八戸駅と東北新幹線の歴史にまつわる展示コーナーがあった。今でこそ東北新幹線は北海道新幹線と繋がって新函館北斗まで伸びているが、2002年に盛岡から延伸され、2010年に新青森まで延伸されるまではこの八戸駅が東北新幹線の終着点だった。今とは全く異なる姿の駅舎の写真などがあり、そんなものを眺めたりして時間を潰した。

16:25発 青い森鉄道 青森行

青い森鉄道カラーの701系
青い森鉄道のイメージキャラクター。モーリーというらしい

青い森鉄道で青森を駆け抜けていく。車内冷房が寒くなってきたので持ってきた上着を引っ張り出した。北海道に着くまでは着ないと思ってたのに。

八戸の隣の陸奥市川駅。
市川(千葉)と下田(静岡)が青森に同居しているのが面白いと思ったり

18:00 青森駅

青森県の最大ターミナル駅、青森駅に到着した。だが、これからすぐに向かうのは一駅先にある新青森駅だ。

18:10発 奥羽本線 津軽新城行

青森カラーのピンク色に塗装された701系

18:14 新青森駅

この日は駅名標の撮り忘れが多い。急いでいたのか、雨のせいで撮る気にならなかったのか、今となっては分からない。

新青森駅に着いて、真っ先に洗礼を受けたのがこれ。見事にりんごジュースしか売っていない。水やお茶を飲みたくてもりんごジュースしか飲めない。
しかもよく見ると、りんごの品種が4種類あるのだ。近くには、各りんごの味の違いを示した図まであり、「お前はこの中からどれにするんだ?さあ、選べ!」と言われているような、謎の圧力を感じた。

さて、ここ新青森駅にやってきた理由はただ一つ。新幹線に乗るためだ。
と、ここまで書くと、「いやいや、北海道&東日本パスだと特急や新幹線に乗れないんじゃなかったの?」と思われるだろう。原則は確かにその通りだ。

つまり、特例があるということなのだ。

この区間、4000円で特定特急券を追加購入することで、新青森~新函館北斗の普通車の立席(空いている席)に乗ることができてしまうのだ。立席といっても、この区間はそこまで混雑しているわけでもないのでほぼ確実に座れる。どこまで私を喜ばせれば気が済むんだ、この切符。

ちなみに、一応青春18きっぷにも4500円(2024年冬季から)で新青森~木古内を乗れるオプション券があるが、特定特急券よりも高い上に木古内からは道南いさりび鉄道に乗り継いでいかなければならず、そこでの乗り継ぎもそこまでよくないことを考えると北海道&東日本パスの利便性には及ばない、と言わざるを得ないだろう。

18:41発 北海道新幹線はやぶさ31号 新函館北斗行

E5系新幹線。鮮やかなグリーンが美しい

というわけで、この旅で初めての新幹線に乗った。ついでに一人で新幹線に乗るのも初めてだった。
席に座ると、涙が出そうになった。快適すぎる。初日のグリーン車も素晴らしかったが、新幹線となるとさすがに次元が違う。座席の幅は広いし、座り心地もいいし、おまけにコンセントまで付いている。現代の技術は、こんなところまで進化しているのか。現代の技術と同じ時代に生まれておきながら、そんなことを思った。危うく普通列車での旅に戻れなくなりそうなくらいだ。もうここに住みたい。住もう。

ちなみに、さっきの自販機で圧力に負け、「ふじ」のりんごジュースを買っていた。飲んでみると、表に書いてあった通りのまろやかな甘さがのどに染み渡った。

外は暗すぎて何も見えない。トンネルに入っては抜けを繰り返し、何度目かのトンネルはなんか長いなと思っていたら、それは青函トンネルだった。そしていつの間にか北海道に上陸していた。人生初の北海道は、なんだかよく分からないままたどり着いてしまった。

19:44 新函館北斗駅

このまま一生乗っていたかった

駅はまだ新しく、これからここが北海道の新たな玄関口として大成していくのだ、という気概を感じられた。

19:55 快速はこだてライナー 函館行

無事に北海道に到着したが、ここで終わりではない。目的地は新函館北斗ではなく、函館だ。
新函館北斗と函館、名前は似ているものの、意外と離れている。その距離、17.9キロ。参考までに、東京〜川崎が18.2キロだ。県をまたぐような距離の駅に平然と似たような名前を付けてしまう。さすが北海道のスケールだ。

20:10 函館駅

というわけで2日目の目的地、函館に到着した。
見たいところが山ほどあったが、残念ながら明日にはもう発たなくてはならない。訪れる場所すべてをじっくり観光していては、全国を回り切る前に資金が尽きてしまうからだ。誰だよ一度で日本一周するとか言い出したやつ。

函館のご当地グルメといえば、知る人ぞ知る名物ハンバーガーショップ、ラッキーピエロのチャイニーズチキンバーガーだ。
駅の近くに店があるので行ってみると、建物の二階にある店舗から階段に沿ってぐるりと列ができ、建物の外まではみ出していた。ここに並ぶのか……と気が滅入ったが、いざ並んでみると回転率は意外と高く、思ったよりもすぐ席に座ることができた。

ラッキーピエロ名物、チャイニーズチキンバーガー

待ったかいがあり、甘辛いチキンは格別の味だった。
明日からは、いよいよ北海道の広大な土地を駆け巡ることになる。

3日目に続く。


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