【県下屈指】2年連続"松陰旋風"の原動力 永戸涼世(遊撃手・八千代松陰高校)
どうも、やまけん(Twitter:@yam_ak_en)です。
新型コロナウイルスの影響で、2020年の夏は野球に携わる全ての人にとって非常に特別な夏となりました。球児にとって憧れであり夢の舞台でもあった全国高等学校野球選手権大会は中止となり、多くの球児が非常に辛い思いをしたのではないかと思います。
一方で、選手権大会中止を受けて各都道府県の高校野球連盟が代替大会の開催を相次いで発表し、高校球児に「最後の夏」の場が与えられることとました。関係者を除き原則無観客での開催や感染症対策の徹底などを余儀なくされましたが、とにかく球児にとっての最後の場が与えられて本当に良かったと思っています。
今回は、「戦国千葉」とも呼ばれる激戦区・千葉県の代替大会「2020 夏季千葉県高等学校野球大会」において存在感を放った2名の選手に特別にインタビューさせていただきました。今回のnoteで紹介させていただくのは、八千代松陰高校の主将・永戸涼世選手です。
永戸涼世選手(八千代松陰高校)
昨夏県準優勝・八千代松陰
永戸選手の紹介に移る前に、八千代松陰高校の紹介を簡単にさせていただきたいと思います。
学校創立と野球部の創部は1978年。創部2年目の1980年に第52回選抜高等学校野球大会に出場、1998年に第80回全国高等学校野球選手権大会に出場しています。なお、甲子園に出場した1998年のチームでエースを務めたのが、後に大学・アメリカ球界を経て北海道日本ハムでプレーした多田野数人氏(現・日本ハムプロスカウト)です。現在部員は総勢91名。
一昨年のドラフトでは清宮虎多朗投手が東北楽天に、昨年のドラフトでは長岡秀樹選手が東京ヤクルトにそれぞれ指名され、2年連続でプロ野球選手を輩出しています。
学校数の多い千葉県の高校野球界において「中堅私立校」と位置付けられることが多かった八千代松陰高校ですが、昨夏の千葉県大会ではノーシードから準優勝。そして今夏の大会でも、中央学院高校を筆頭に有力校がひしめく「激戦区」のひとつであった第5地区を制覇し、決勝トーナメントでも千葉黎明高校を撃破してベスト4入りするなど、着実に力をつけ存在感を示してきています。
八千代松陰の志願理由
永戸選手は小学校1年生から薬園台リトルスターで少年野球を始め、6年生の時には船橋市の選抜チームに選出。その後進学した船橋市立二宮中学校でも軟式野球部に所属し、主将に就任。中学進学後も2,3年時に船橋選抜に選出されて副主将に、そして3年時には県の選抜チーム「千葉ファイターズ」にも選出され、ここでも副主将を務めました。
小学校時代から地区の選抜チームに常に選ばれ続けていた永戸選手は、県選抜で仲間として戦った三橋朋徳投手と同じチームでプレーをしたいという理由で八千代松陰高校を志願しました。加えて、中学の先輩である川和田悠太投手(現・仙台大学野球部)や二宮中時代の顧問であった長岡尚恭先生の御子息である長岡秀樹選手(現・東京ヤクルト)がいたことも八千代松陰入学を後押ししたそうです。
高校3年間での取り組み
部員数90名を超える八千代松陰高校の野球部で3年間取り組んだことを永戸選手に聞いてみると「1人の人間として成長するために、プレー以外の面を特に磨いた」との答えが返ってきました。
具体的には、キャプテンを務めグラウンド上では絶対に手を抜かなかったことや、厳しいトレーニングメニューの時にも率先して盛り上げて仲間を鼓舞したこと、また学校生活の中でも決められたルールはきちんと守り、勉強も怠らず成績も常に上位をキープするなど、部員のみならず一般生徒の模範とも呼べる行動を常に取っていたと言えます。
下級生の頃から試合に出場していた永戸選手ですが、公式戦でのヒットは1本だけでした。しかし決して手を抜かず真摯に練習に取り組んだことが自信に繋がり、夏の代替大会では良い場面で結果を残せるになり、勝負強くなったことを実感したそうです。
技術面では、スイングする力の底上げと足を使った捕球に取り組んだ永戸選手。同じショートの先輩には長岡選手がいましたが、永戸選手は長岡選手の深いポジショニングを参考にしていたとのことです。肩が強かった長岡選手は深い守備位置で守っていてもアウトにできたため、永戸選手もそのスタイルを理想としていました。一方で深く守ることで前の打球へのチャージや握り替えの速さが重要になることを理解し、徹底的に練習してきたそうです。またコロナ禍でチーム活動ができなかった際にも、守備の「間」を作ることに取り組み、ひたすらプロの動画を見て勉強し、公園でノックを受けることを繰り返しました。
野球の技術的にも、そして人間的にも3年間で大きく成長した永戸選手はこの夏主将としてチームを牽引し、夏の代替大会では第5ブロック予選で強豪・中央学院高校を破り、決勝トーナメントでも優勝した木更津総合高校にあと一歩のところまで食らいつくなど、ベスト4進出に大きく貢献しました。
セールスポイント・今後に向けて
永戸選手の持ち味は、相手投手が嫌がる打撃をできることです。追い込まれるまでは積極的にスイングを仕掛け、追い込まれてからは際どいボールをカットし、甘く入ったボールは1球で捉えることができます。
また長岡選手を参考にした守備力も高校生の中では屈指のレベルで、八千代松陰高校の兼屋辰吾監督はセカンドを守った川尻涼平選手とショートの永戸選手の「2人の守備力が高いのが強み」と話すほど、絶大な信頼を置かれています。
今後についてですが、永戸選手は「まずは希望する進路に進めるように勉強を頑張る。希望する進路につけたら、下級生の頃から活躍できるように頑張りたい。」と答えてくれました。
部員数90名を超える大所帯の野球部を主将としてまとめ、2年連続の八千代松陰旋風の原動力となった永戸選手。この先も文武両道で、自らの夢を叶えてほしいと強く願います。
(情報参考:『週刊ベースボール別冊夏草号 千葉県高校野球2020夏』)
(写真は永戸選手からの提供です。)
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