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【プロ注目】新興勢力を引っ張った背番号1 小芝永久(投手・千葉学芸高校)

どうも、やまけん(Twitter:@yam_ak_en)です。
新型コロナウイルスの影響で、2020年の夏は野球に携わる全ての人にとって非常に特別な夏となりました。球児にとって憧れであり夢の舞台でもあった全国高等学校野球選手権大会は中止となり、多くの球児が非常に辛い思いをしたのではないかと思います。

一方で、選手権大会中止を受けて各都道府県の高校野球連盟が代替大会の開催を相次いで発表し、高校球児に「最後の夏」の場が与えられることとました。関係者を除き原則無観客での開催や感染症対策の徹底などを余儀なくされましたが、とにかく球児にとっての最後の場が与えられて本当に良かったと思っています。

今回は、「戦国千葉」とも呼ばれる激戦区・千葉県の代替大会「2020 夏季千葉県高等学校野球大会」において存在感を放った2名の選手に特別にインタビューさせていただきました。今回のnoteで紹介させていただくのは、千葉学芸高校のエース・小芝永久投手です。

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小芝永久投手(千葉学芸高校)

新興勢力・千葉学芸

小芝投手の紹介に移る前に、千葉学芸高校の紹介を簡単にさせていただきたいと思います。

千葉学芸高校は元々女子校(東金女子高校)でしたが、2000年に男女共学化し、現在の校名に改称されました。野球部の創部も同年です。

全国的に見ても激選区と呼べる千葉県内の高校野球において千葉学芸が存在感を示し始めたのは2017年の秋。部員14人ながら強豪校・専修大松戸高校を破る大金星を挙げました。小芝くんら現在の20名以上の3年生が入部したのはこの翌春のことです。そこから毎年有力選手が相次いで入部するようになりメキメキと力をつけ、現在では県外の甲子園常連校と練習試合を組む機会も増えたとのことです。

部員全員が部内の「委員会」に所属して改善を検討する「委員会制度」など、選手(生徒)が主体性を持って運営していく大学の部活動のようなイメージを持たせているのが特徴です。このような部の評判は高校野球を志す中学生の間にも広まったのか、今春には37名もの1年生が入部し、総勢95名の大所帯野球部となりました。

千葉学芸の志願理由

小芝投手は小学校1年生から館山リトルエンジェルスで少年野球を始め、館山第二中学校進学後は軟式野球部に所属していました。小中学校時代からポジションは投手を務めていました。

小学1年生から中学3年生まで野球一筋・投手一筋だった小芝投手が千葉学芸高校を志願するきっかけとなったのは、中学3年生で参加した練習体験会とのことでした。推薦があり体験会に参加したところ、非常に充実した練習設備と優しく接してくれた当時の先輩に魅力を感じ、更に高倉伸介監督との面談で熱いメッセージを送られたことが決め手となり入学を決意しました。

高校3年間での取り組み

高校入学後の小芝投手は1年次から投手としてベンチ入りするなど高く期待され、2年春には先輩投手との「2枚看板」を形成し夏の千葉県大会のBシード獲得条件となるベスト8進出に貢献しました。このまま順風満帆な高校野球生活を送っていくと思われた小芝投手ですが、2年夏の大会前に寮の階段で右手首を痛めるアクシデントに襲われ、大会終了後に骨折と判明。新チームとなった昨秋は投げることができず、チームも県大会ベスト16止まりとなってしまいました。

しかし、小芝投手はここで挫折しませんでした。骨折の手術をして投げられない期間も、復活と更なる成長を目指し手首以外のトレーニングに熱心に取り組みました。そして、骨折が完治した今春、それまでの自己最速だった138キロから8キロも更新する146キロを計測するまでに成長しました。コロナウイルスが流行し、野球部としての活動ができなかった際にも、小芝投手はお父さんと家の近くの小学校で体を動かし、ピッチングなどに取り組み体力や感覚の維持に努めました。押しも押されもしないエースに返り咲いた小芝投手は代替大会で背番号1を背負い、所属する第7地区大会優勝県ベスト8入りに大きく貢献しました。

小芝投手に高校3年間で取り組んだことを伺ったところ、上述の骨折時のトレーニングとともに「人間性の成長」を挙げられました。
挨拶をしっかりする、人の目を見て話を聞く、人に対する言葉遣いに気をつける、目配り気配りをできるように心がけるなど、高校を卒業し社会に出る上で必要となることを3年間の学校生活・野球生活の中で教わったそうです。一見野球に直接関係ないことのように思いますが、人間性の成長に伴い精神力が付き、それに伴い球速や変化球のキレなどの向上に繋がったと小芝投手は語っています。

セールスポイント・今後に向けて

小芝投手の魅力は、流れるようなフォームから放たれ、まだまだ伸び代を秘める最速146キロのストレートと、数種類のスライダーです。中でも高校入学当初から光っていたと言われる縦のスライダーは、今や高倉監督が「一級品」と称賛するほどの抜群の切れ味を誇ります。その他にも多彩な変化球を投じ、相手打線に的を絞らせないなど器用な一面も今夏の独自大会では披露してくれました。

そんな小芝投手ですが、プロ野球志望届を提出し、8月4日に受理されました。また、9月5日~6日に東京ドームにて開催される「プロ志望高校生合同練習会(東日本会場)」への参加も既に決めております。

独自大会では残念ながら市立船橋高校に敗れてしまったものの、それ以降もプロの道を目指して練習に取り組んでおり、「合同練習会で自分の投球をプロのスカウトの方々にアピールしたい」と語ってくださった小芝投手。合同練習会では、3年間で培った自慢の精神力と、絶対の自信を持つ縦のスライダーを武器にプロへの道を拓く投球を披露してくれると期待しています。

(情報参考:『週刊ベースボール別冊夏草号 千葉県高校野球2020夏』)
(写真は小芝投手からの提供です。)

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