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夏の悪いヤツ・その2 湿邪

こんにちは!

北海道の中医薬膳師、みやこです。

日々のちょっとした不調を整える薬膳や薬膳の小ネタなどを紹介しています。

第15回、夏の悪いヤツの二番手は「湿邪」です。

湿邪とは読んで字の如く湿気の邪気のことで、湿が荒ぶると湿邪になります。

この湿邪は、身体の外から侵入するだけでなく、内側からも発生するのです。

順番に説明しますね。


まずは外から侵入する湿邪について。

私たちの身体は自然界の影響を受けて変化しています。

ですので湿気が多い梅雨の時期は湿邪だらけ、体内に入ってきやすくなります。

身体の中に入ってきた湿邪は気の巡りを停滞させ、様々な不調を引き起こします。

さらに悪いことに、日本は海に囲まれた島国です。

梅雨時期だけではなく年中湿気に晒されているので、常に湿邪との戦いがあるといっても過言ではないかもしれません。


もうひとつの湿邪は体内から生まれます。

疲れたり病気をしたり、なんらかの原因でエネルギーが不足すると、体内の水の代謝が悪くなり、湿が生じてきます。

そして余分な湿がたまり邪気となって不調の原因となるのです。

さらに湿は湿を招くので、体内に湿が溜まっていると外の湿邪もどんどん呼ばれてしまいます。

部屋で除湿器を使うように、身体を除湿することがこの時期の養生ポイントになります。

対策には敵の性質を知ることが重要!ということで、次は湿邪の特徴をみていきましょう。


湿邪の特徴は湿気のイメージそのままです。

じっとり、べとべと、どんより。

わかりやすいですよね。

もう少し詳しくそれぞれをみてみます。

じっとり性質は、重たく濁った症状を引き起こします。

下痢をしたり、おりものが増えたり、湿疹が出たり、重たい頭痛がしたり、身体がだるかったり、、

またべっとり性質のために、排便後スッキリしない、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が悪化する、などの症状が現れます。

どんより性質により下へ下へと下がるので、足がむくんだり、頻尿になったり、水虫になったり、下半身に症状が現れやすくなります。

どれも梅雨の時期に思い当たることが多い症状では?

なかなかやっかいな性質を持っていますよね。


では湿邪を追い払うには、どうしたらよいでしょうか。

除湿が必要なことは先にも述べましたが、いくつかの方法があります。

一番の対策は、胃腸が元気にはたらけるようにすることです。

胃腸は、中医学では脾といいますが、消化吸収はもちろんのこと、水分代謝に重要な役割を果たしています。

脾がしっかり働いていないと、湿邪の思うがままになってしまいます。

しかもあろうことか、脾は湿気が苦手です。

湿邪に襲われてしまったらうまく働くことができません。

ですので、脾胃を守ることが大切なのです。

ちなみに日本は湿邪大国なので、胃腸が弱い人が多いそうですよ。


さて胃腸を整えた上で除湿をするには3つの方法があります。

・香りで湿を追い払う
・尿として湿を排出する
・気を巡らせて湿を乾かす

これらは湿邪の侵入経路によって選択が変わってきます。

湿度が高い日だったり、雨に濡れてしまったり、外から湿邪がやってきたときは、中に入り込む前に退散させてしまいましょう。

表面にいる湿邪を追い払うには、香りのある食材が有効です。

ネギや生姜、紫蘇、茗荷、パクチーなどいわゆる薬味と言われる食材です。

これらは身体を温めるはたらきをもち、香りで湿気を発散させます。

むくみがあったり、食欲が落ちたり、身体の不調から湿の停滞を感じたら、胃腸の調子を整えつつ不要な水分を尿として出してしまいます。

お米や芋類、きのこ類が胃腸の働きを高めますが、おすすめは豆類です。

胃腸を健やかにし利尿作用もあるという、湿邪対策のためにあるような食材なのです。

枝豆、黒豆、インゲン豆、大豆、空豆、エンドウ、、、種類もたくさんあるので、お好みのものをぜひ取り入れてみて下さい。

そして、内から外から身体にやってきた湿邪を追い出すには気というエネルギーが必要になります。

気を動かす働きのある、蕎麦や玉葱、ラッキョウ、柑橘類、ジャスミン茶も合わせて摂るとよいですよ。


そもそも湿を溜めないこと、湿を生まないことも大切です。

除湿機を使って室内を除湿する、濡れた身体を拭いたり着替えたりするなど環境を整えましょう。

夏においしいアイスクリームは要注意。

冷たいものや甘いものは湿を溜め込んでしまうので、ほどほどに楽しむのがよさそうです。

これについては、次回の寒邪で詳しくお話しします。

よろしければ合わせてご覧下さいね。





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