原因別で見た薬剤性浮腫①
前回のnoteにて、浮腫の原因について4つの原因別に紐解いていきました。
じゃあ具体的に原因ごとでどういった薬剤が浮腫を起こすのか、今回は話していきたいと思います。
以前のnoteでは薬効ごとに分類していましたが、今回は原因を軸にして解説していきます。
*あと、以下のnoteに含まれない薬剤も本解説にて新たに含まれます。
浮腫の原因を薬剤性浮腫にて置き換えた場合
前回のnoteでは、以下のように浮腫の原因が挙げられました。
①毛細血管内外の静水圧の勾配
②間質と血漿の膠質浸透圧の差
③毛細血管壁の水分透過性
④リンパ管を介したドレナージ
静水圧と膠質浸透圧の差・毛細血管膜の透過性・リンパ管による排泄能が血管⇆間質での体液の出入りを決めているというイメージですね。
一方、薬剤性の浮腫には、大きく以下のような分類に分けられます。
(末梢性浮腫)
・血管透過性浮腫 →血管壁細胞の増殖抑制・血管内皮細胞同士の結合弱体化
・リンパ性浮腫 →損傷したリンパ管内皮細胞の増殖と遊走を抑制
・血管拡張性浮腫 →細動脈拡張による毛細血管静水圧の上昇
・腎性浮腫 →水分排泄の減少
(末梢性以外の浮腫)
・血管性浮腫 →急性かつ局所的な血管透過性浮腫
・RS3PE症候群 →血管透過性亢進に関与するタンパク質の増加
*末梢性以外の浮腫は末梢以外の部分(顔頸部・顔面等)でも好発するため、分けています。
個々の薬剤における具体的な機序については後で説明しますが、これらの薬剤性浮腫の分類を原因別に当てはめていくと以下の通りになります。
①毛細血管内外の静水圧の勾配
→血管拡張性浮腫・腎性浮腫
②間質と血漿の膠質浸透圧の差
③毛細血管壁の水分透過性
→血管透過性浮腫/血管性浮腫・RS3PE症候群(・腎性浮腫)
④リンパ管を介したドレナージ
→リンパ性浮腫
*③での腎性浮腫について、基本的に浮腫は水分排泄減少の機序によるものですが、エンドセリン受容体拮抗薬においては水分排泄阻害作用に併せて血管透過性亢進による浮腫も起こります。
②については、低アルブミン血症が原因となる疾患によるものが多く、薬剤性はないようです。
また、血管透過性亢進が薬剤性浮腫の原因となることが多いですね。
というわけで、今回は薬剤性浮腫の原因について浮腫の機序ごとに分類して話させていただきました。
次回は、
それぞれの薬剤性浮腫の分類における具体的な薬剤について解説したいと思います。
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