
袋詰め師か薬剤師か
7記事目です。
今回は薬局薬剤師業としてのジレンマについて記載しようと思います。
薬局薬剤師
過去記事にも記載しましたが、薬局薬剤師のメインのお仕事は保険調剤(処方せんに基づくお薬の交付)と物販となります。
病院やクリニックと異なり、予約を取って来客があるわけではないので、その日に来るお客様・患者様はどれだけ来るかは読めません。
また、病院やクリニックで待たされた方の来局だったり、風邪などで体調を崩している状態での来局だったりすることで、さらに薬局での待ち時間を苦痛に感じている方が多い印象があります。
ただ、薬局としてもいろいろな責務があるわけで、もし病歴(既往歴)から今回処方されたお薬が飲めない場合や併用薬(いわゆる飲み合わせ)の聞き取り、かつ飲み合わせが悪かったりすると医師に連絡して回答が車でお薬を渡せなかったりします。
そういった問い合わせがある場合にはさらに時間を要するわけです。
薬剤師は”袋詰め師”でいいのか?
どんな業態でも待ち時間に対するクレームなんかはつきものかとは思います。
なお急性期疾患(風邪症状や消化器症状、頭痛等の特にすぐに薬を飲んで横になりたいような症状を示す疾患)の患者様なんかは一刻も早く薬を飲んでゆっくり過ごされたいのは重々承知です。
そのため、薬局によっては
「いつものお薬ですね」
「○○円です。」
「お大事に。」
という3ワードのみを駆使する猛者の薬剤師さんもいらっしゃいます。
単純に薬の説明なんかほぼ度返しで薬の説明書を渡すんだから返すことを最優先で考えたい。
という信念の先生も多くいらっしゃいます。
かといって、お薬を出すまでにお薬手帳や過去の服用歴や既往歴等は確認して渡しているだろうとは思いますが…。
確かに患者ニーズ(顧客ニーズ)に合致しているのであればこれでもいいのかもしれません。ただ、こういった薬局スタイルしか経験していない方(あまり病院にかからないような方)なんかはこんな対応を受けることが多いと思います。
薬剤師の”お医者さんごっこ”
逆もまたしかりで、しんどくって早く帰りたいという方でも
「今日はどうされましたか?」
「それはお辛いですね?」
「今どんな症状が気になりますか?」
「う~ん、そうですか。」
「では、こんな症状はないでしょうか?」
…。
よく言われる「薬剤師のお医者さんごっこ」。
「あなたに話して何が変わるんだ。」っといわれるヤツです。
実際長々症状聞いたところで薬が変更になる例なんかは一部のため、早く帰りたいのに医師に話した内容を薬局で再度0から伝えるのが苦痛と。
それもよくわかります。
”袋詰め師”と”お医者さんごっこ”のジレンマ
対をなしているかも怪しいものではありますが、悪く見れば
袋詰め師 ← 薬剤師 → お医者さんごっこ
というところかなと。
その人にとって、どうかかわるかの見極めは大事になりますね。
ただ、片方に全ぶりしている薬剤師も多々います。
経営的には患者さんの切れ間なければ、スムーズに流してくれるのが最優先になるかもしれません。「待ち時間を減らす」は薬局としては大きな課題の一つであることには違いありませんが、その分患者さんとの接点を減らしすぎるのは職業的にどうなのだろうと思っております。
かといって、長すぎても時間制でフィーが生じる職業ではないこと、業務回転的には問題があると。
これらを頭に入れながら業務に取り組んではいます。
ただ、薬剤師も一人間で、この人にはしっかり話をしないといけない、この人は早く帰してあげようという判断にはずれが生じます。
そこは管理者や経営者的に自分で最適解があり、「回す方に動いてくれ」や「なんで話を聞かないんだ」という齟齬ができるんですよね。
私個人としては、院内調剤でもいいところ、薬局を通して薬をもらうからには少しでも知識のお土産を持って帰ってほしいという気持ちで仕事はしています。
それでも人によっては余計な一言だと判断されるかもしれませんが…。
雇われではない現在はやや自分のものさし全面で仕事がしやすくなった分は気が楽です。
薬局で効率的かつ安全にお薬をもらうための ポイント
最後に薬剤師以外の方も見られているかなと思うので、薬局薬剤師目線のポイントを紹介します。
お薬手帳やマイナンバーカードの提示
一つ目がお薬手帳、マイナンバーカードの薬局での提示です。
なんで個人情報をさらさないかんのや…と言われる方もいらっしゃいますが、これは一つです。
なんせ、薬剤師は今回出すお薬と普段飲んでいるお薬との飲み合わせには細心の注意を払っています。
例えば薬局ごとにお薬手帳を分けているといわれれば、それの聞き取りは必ず受けると思います。
マイナンバーカードも開示に関しては選べますが、現在服用しているお薬の確認を受けるはず。
2点しっかり守っていただければ、やや薬をもらって帰るまでの時間は減るでしょう。
問診票の丁寧な記載
病院やクリニック受診時も書いたかもしれませんが、通常薬局と病院・クリニックは経営母体が異なるため、情報共有はできません。
同じ内容かもしれませんが、医師が見落としている可能性もありますので、薬局でもしっかり記載ください。
また、病院・クリニックではしっかり書いたが、薬局では適当に書いた。その逆もしかりですが、そんな場合もより質問の時間が増えます。
例えば「普段飲んでいるお薬はありますか」でしっかり薬の名称・規格まで書いてあればその部分の質問は減ります。単純に「血圧」や「コレステロール」と書かれれば、今回お渡し予定の薬次第ではしっかり銘柄まで確認しないといけません。
サプリなんかもあれば飲み合わせに影響がある場合もあるので、ご記入ください。
薬剤師の問診
前項で記載したことと重複しますが、病院・クリニックと薬局は情報共有はできません。
薬剤師の場合、処方せんの薬を見ればある程度「なぜ受診されたか」を予想できますが、あくまで「予想」です。
似た名称の薬もあり、聞き取った症状と薬があまりにミスマッチの場合は医師に確認します。
また、これも良くありますが、医師が「このお薬も出しておきますね」と言っていたにも関わらず、処方せんに書いておらず、そのまま通過してしまうパターン。
通常はその薬剤師との問答が終わってからのお薬の追加や削除はできません。
そのための問答になりますので、すべてを「お医者さんごっこ」ととらえず、しっかり対話してください。
番外編:残薬の相談
医師に言いにくいから薬局で残薬を伝えていただくケースはよくあります。
薬局では残っているお薬をすべて持ってきてもらってもいいのですが、持ち込み薬を必死に数えたり、古すぎないか見ながら最終医師に連絡して返答後にようやく調整できます。
可能であれば、何がどれだけ残っているかだけでも数えてメモを提示いただけると薬の受け取りまでスムーズになります。
医師に言いにくいという理由で薬局で調整する場合でも医師には数量の変更の許可を得る必要があるケースがほとんどです。
結局伝わるので医師と対峙するときに残薬を伝えてもらった方がさらに効率的にはなります。
ここに関しては効率と直接的な残薬の言いにくさを天秤にかけていただいたらいいかと思います。
今日は職業としてのジレンマとポイントを記載してみました。
薬剤師の方なんかは自分の仕事に何に重きを置くか再検討につながれば。
一般の方は次回薬局を訪問する機会に違った目線で薬剤師を見ていただいても面白いかと思います。