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破留浮手本チュウ震暗
トーキョー、ツキヂ。そこは鼠にとってまさに天国であった。
魚の切れ端や悪くなった魚が捨てられ、猫はこちらを向かず、掃除も居住区まではほとんどされない。水も魚の肉がまじり得も言われぬ風味を醸し出す、養老の滝なる美味であった。
冬に寒くなる事を除けば鼠達のホームタウンなのだ。
しかし、そんな鼠の故郷が脅かされた。元凶はわかっている、クイケのせいだ。だが鼠達は元凶がわかれど、圧倒的戦力差を前に愚痴をこぼすしかなかった。
「ったく、人はわかってないのよ。他所で食にあぶれた鼠がここにどれだけいるか。」
「ほんと、引っ越してどこにいけっていうのかねぇ……。クイケは、弱い者の立場を考えた事あるのかね。」
今日も水場「コマチュウ」では愚痴が交わされる。ツキヂが残るかも、と期待した分裏切ったクイケの振る舞いに不満が積もったのだ。
そこに一報が飛んでくる。
「大変だぁ!大中の旦那がクイケの手先に……!」
波乱の幕開けであった。
【to be continued……】