ババアVSエスピー ~欲望の本能か遂行の理性か~
ピッ
「アンタら、アタシらと戦って無事でいられると思ってるのかイァ!」
ガラス戸を一枚隔てた前、体格のいいババア「明美」がスピーカーを持ち叫ぶ。
ピッ
「我々に護れぬ物などない。護れない時は、死ぬ時だ。」
通路の奥、FBIの厳しい試験を乗り越え選ばれた要人警護のスペシャリスト、コードネーム『ヘクトル』は室内放送で応えた。
ピッ
お立ち台の上、ヒョロ男が何かを呟き、300人のババアが前のめりになり、ガラスが軋む。
ピッ
ほぼ同時に、20人のSP達もまたフォーメーション『グラビティ』発動を合図し、位置についた。
ポーン ポッポー ポッポー ポッポー ポッポー ポッポー
緊張感の漂う場に不似合いな鳩時計が鳴いた後、アナウンスが流れる。
「ご来店、誠にありがとうございます。
『新春宵越しデパート50周年記念~ドキッ!SPに捕まらなければなんとタダ!一万円福袋掴み取り大会~』
ただいまより開催致しまーす!」
戦いの火蓋は切って落とされた。
【続く】