#島ぐらしと魚たち 9月
巨大!豪快!オオウナギ 調理編
前回の記事はこちら↓
先月の捕獲編に続き、今月は調理編を記そうと思う。
ウナギは死んでしまうと鮮度が急激に落ちてしまうので、生きているうちに素早く処理をする。
まずは砂をまぶして、ヌルと呼ぶ体表の粘液を落とす。
ヌル落としの方法はいくつかあって、新聞紙やかぼちゃの葉で擦る場合もある。
ウナギはこのヌルがとれるとおとなしくなるので、目打ちをしてさっと開く。
大物ほど身が分厚く、加熱すると縮むので、それを考慮し適当な大きさに切ってから蒸す。
鍋に酒とみりんを入れて煮きったら、よく洗って掃除をした頭、背骨、肝、心臓、と醤油と黒砂糖とざらめを入れてたれを作る。
好みのとろみになるまで煮詰めたら、ざるでこして冷ましておく。
骨に付いている少しの身が、たれがしみて大変おいしい。冷めると小味があり、私はこの骨にかじりつくのが大好きだ。
できあがった濃ゆくて甘いたれがまた優れた調味料で、余ったたれに水を足し、煮魚の汁にしてもよい。ウナギも、まさか自分の出汁で魚を煮付けられるとは夢にも思ってみないだろうが。
ウナギを焼くのはやはり炭火がベスト。
ウナギが焼ける香ばしい香りをつまみに、ビールとうちわを交互に掴む。
汗を拭き拭き「暑い、お腹すいた」を念仏のように唱えながらひたすら待つ。
だが、火をおこすのが面倒なときは、魚焼きグリルでたれを絡めては焼き、を数回繰り返せばオオウナギのかば焼きの出来上がり。
上品の対極にあるような、でっかい、でっかいかば焼きである。
ちくわのようなもっちりした身と、豚足のようなプルっとした皮。
熱々を噛めば海の魚とは違った風味とほのかな甘みが広がる。
川の下見、罠掛け、回収、調理。ウナギを食べるまでの時間と体力を考えると、思い出しただけで疲れてしまうのだが、毎年一度は必ず行う大イベントである。
9月になってもなお力強く照る太陽に、ギラギラと光るウナギの目玉を感じた残暑であった。
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川東繭右(かわひがし まゆう)
東京都目黒区出身
島の魚に魅了され、2011年屋久島に移住
学校司書補として勤務する一方で、魚の面白さや美味しさを普及する活動を行なっている
趣味は魚の耳石集め
好きな魚はクサカリツボダイ ヒトミハタ
お魚マイスターアドバイザー
水産庁魚のかたりべ
鹿児島県指導漁業士
https://www.facebook.com/yakushimaosakana/