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転々暮らし 2/12 sat 目を離させない「奇妙さ」

昨日に引き続き、こちらの公演をお手伝いしている。

トリプルビル、とは要するに3本立てのこと。

1作品目の『京都自粛生活日記 Don’t Worry!!!』は実に、演劇をやっている人間としても嫉妬してしまうような作品だ。出演するのは、主催のMonochrome Circus のお二人。女性の森さんがずっと、おそらく自身が書かれていたのであろう2020年4月以降の日記を諳んじていく。いくつかの部分は芝居がかっているものの、大半は淡々と「読んでいる」感じに話していく。

上の写真のように、相方である坂本さんの上に乗って。

コンタクトインプロビゼーションという、複数人の接触(コンタクト)を起点としたダンス形態を京都に初めてくらいの段階(30年以上前)に持ち込み、探求されてきたお二人ならではの作品だとも思う。あるときは寝っ転がって、あるときは立って、またあるときは座っている坂本さん。森さんは、あるときは足の上に。あるときは肩に。あるときは胸(肋骨)の上にいて、喋る。

別に大げさな身振り手振りや、素早い動きがあるわけではない。しかし、目を離せない。面白い。飽きない。

おそらく、ずっと「人の上にいる」という奇妙な状況が続くから、見ていられるのだと思う。それは演劇の一人芝居などでよくある、一人で叫んでいたり、大声を出しているような、「ともすれば現実にもいる危ない人」的なレベルとは違う「奇妙さ」だ。だからこそ、どうなるのか?どうするつもりなのか?少しばかりの不安感、予測のつかなさを観客に保たせ続けることができるのだと思う。

3回拝見してようやく至った考察だ。今回の作品を手伝って、総てのステージを見られて、本当に良かったと思う。明日、あと1ステージ見られる。

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