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モノへの思い入れ

いつもnoteをご覧いただき本当にありがとうございます。

やくさひろです。

今日はジェルネイルブラシを一つ例えとして「モノへの思い入れ」について考えてみました。ジェルネイルブラシ、男性の方は馴染みが薄いと思います。女性の方でセルフネイルをやられていたり、ネイルサロンに通われている方やネイリストでしたら頷いていただけるかと思います。

ジェルネイルブラシ、その名の通りジェルを爪に塗布する筆のことです。
このジェルネイルブラシ一つで何時間でも語れるくらい思い入れがあります。お世話になっている短期大学ネイル&エステ科でも、生徒達へ「ネイルメーカーの選び方」の授業を最初に担当させていただいています。

授業では以下のようなことをお話しています。美容教育機関の講師業等でご賛同いただける方がいらっしゃいましたら、是非この内容を教育の一つとして生徒様へお伝えくださればと思います。

はるか昔、まだ私がネイルスクールに通っていた時のことです。スクール講師から
「〇〇のファイルが使いやすいから絶対にこれをつかって」
「〇〇は使いづらいし摩耗しやすいし、検定でもウケがよくない」
「〇〇ジェルはすぐに浮くし高いけど〇〇ジェルは浮かないからいい」
こんな風に商材教育を受けてきました。

すでに固定概念をもった状態でそのブランドを使用するのと、固定概念なしでまっさらな気持ちで商材を使用するのとでは、発見・感動・上達具合に圧倒的な違いがでてきます。どのセミナーに参加しても多角的な視点ではなく、その講師の主観的な感覚で「あれはダメ。これはいい」という、エビデンスのない意見を押し付けられるのがすごく不満に感じていました。

私自身、常に「一個人がどれだけの期間、何千人に対し使用したのかわからない不確かな情報を伝えること自体、教育者として無責任ではないだろうか」という疑問を自分に対しても向けています。

私が理想とする感想の伝え方は下記のとおりです。

「世界各国のジェルメーカーは1000社を超えていると言われています。どのジェルがいい、ではなく、どんなジェルもテクスチャーも取り扱えるようなプロフェッショナルな技能を持ってください。問題は「あなたが使いやすいか使いづらいか」ではなく、「お客様の各々個性あるお爪」と「お客様のお爪の状態コンディション」であり、あなたはお客様のお爪に応じたカスタマイズができなければならないのです。その意味で「このジェルはいい、悪い」という判断は非常に短絡的で無責任な返答です」

このようにお伝えしています。

カラージェル、クリアジェルのテクスチャによって筆を選ぶのは当然のことです。メーカーが推奨する筆とジェルの組み合わせがベストなのも当然です。しかし、

何かを否定して何かを持ち上げる

このような表現がすごく苦手です。

ブログ等で「ジェルの組み合わせ検証」や「実験」など参考になる記事も多いですが、やはり多くの方が主観的に「否定」から入られている方が多いのが実情です。自分の書いた記事をどう見られるかを考えると私は怖くて書けないのです。

爪は死んだ細胞、角質と言われており、3層構造でわずかな脂質や水分などを含んでいる状態で、且つその方の生活環境や日常の取り扱いなどが相当に影響を受けるのがジェルネイルです。

私の理想は、「ジェルネイルを取り扱うプロのマニキュアリストが、お客様への適切なカウンセリングを経て適切な施術を行うこと」であり、マニキュアリストもお客様の側もブランド選びのみに特化している現状をとても残念な気持ちで見ています。

コスメティックでもそうです。これがいいあれがいい、あれは乾燥する、あれはベトベトする、荒れた、きれいになったなど、一つの商品に対する評価のアンバランスなことといったら。
どれを信じるかどう見るかはあくまで自分次第です。そして大前提として、ジェルとコスメは明らかに違うものなのです。

私も15年以上前に使ったジェルについて、「この商品は浮きやすく、厚みはでるし高額だ」と考えるか、「これは自爪を傷めにくい、厚みが出しやすく保護に向いている」と考えるかによって、私自身の今後の商品開発力に影響がでると思っています。

ジェルネイル筆を発売した直後、DMでこんな意見が寄せられました。
「良い筆なのはわかるけど、高いから生徒に勧められない」と。

そうですよね、わかります。私も短大や専門学校からは「高いものは勧めないでほしい」と言われています。でも勧めるのと紹介をするのとは違います。「買いなさい!これを買わないと検定落ちるかもしれないですよ!」という圧力じみた言い方までは誰もしないと思います。でも使用する前に高いから勧められないとコストから入ってしまう方は、もしかしたら講師向きではないのかもしれないと思います。

あくまで自身がどう使っていくか、どう作品を作り上げていくかが問題なのです。そのため「私が行っている商品販売の価格についてと、それを生徒に勧められないというのは別次元の問題です」とご返答させていただきました。

私の住まいのネイルルームは他社様のブランドで覆いつくされています。ネイル用品が入りきらないので、賃貸でもう一部屋借りてそこに山積みにしています。

楽天市場の安い80円のジェルは最高に発色よかったです。高額なジェルでも有機臭のするものもありました。60円のジェルブラシでもすごく塗りやすいものもあったし、1980円のジェルブラシがすぐにゴワゴワになってしまったこともありました。だからといってそのメーカーを否定するということはあり得ません。ネイル業務に携わっている限り、どんな反応でもすごく「楽しい」んです。

自分の思う範疇から外れてしまうような使用感、感覚があっても、それも一つの経験で自分の中の引き出しが一つできたと思えるからです。

最後に一つ。どこどこのジェルはすぐに先端から浮く、外れるという感想について。これは「確かにそうだな」って場合もあるし「全然違う」って場合も往々にしてあるのです。

私が実際に過去にネイルサロンで施術をしてすぐに外れてしまった場合、まずその対象人数を最低でも300人に設定します。私のネイルサロンには毎月少なくとも250人のお客様が来店されていました。新しいジェルを導入した場合、3ヵ月間は様子を見ます。そして夏場と冬場では当然お客様のお爪の状況、商品の取扱い仕様も異なることも、前提条件として考えます。

リフトしやすい、浮くというネガティブな事象が発生した場合でも、私はメーカーを責めたりしません。施術方法をカスタマイズすればよいだけなのです。四苦八苦してそのジェルを使いこなす、この工程がネイリストの醍醐味の一つでもあります。メーカーやジェルブランドをたった数人、数度の施術で批判するなんてことは、自らの技術のなさを露呈しているようなものです。そこまで強くプライドとモノへの思い入れをもって、この業界全体のレベルアップに務めていきたいと考えます。

「自分主体で自分の経験を活かさなければ職人たる意味ない」と思っています。ただ一方的に批判的な視点で商品を判断するのではなく、疑問とポジティブな視点を持つことが大事だと思っています。

これからも日本製、海外製で沢山のブランドが世の中に誕生していく中で、私は常に多角的な視点を忘れずに多くの商品を扱っていきたい。そして私のブランドに対し、「すごくよかったです」の言葉をより多くいただけるように頑張ります。

モノを大切にする、モノへの思い入れってつまり、丁寧に取り扱うことを継続することだと思うのです。否定や評価から入ることなく、モノを取り扱えるだけの力量試し。

コスメティック、スキンケア用品も企画製造していますが、お肌のお手入れが行き届いている方は結局のところ何を使っても「良かったです」のレビューをいただきます。反対にお肌のお手入れを日ごろさぼり気味の方は「テククチャーがダメ、ベトベトして馴染まない、余計に乾燥してかゆみがでた」という辛口レビューだったり。※全てではありませんがこういう傾向は確かにあります。

モノに愛着を持つには自身のお手入れからはじめるべきなんだ、と改めて考えさせられました。

「使いやすくて最高でした」

この言葉一つでとても幸せで、充実した気分になれます。

何よりも、「報われた感」「達成感」を感じる瞬間です。

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八色ひろ Hiro Yakusa
やくさひろです。 記事が広くシェアされ、手のお手入れを通して誰かの幸せに繋がることを願っています。 いただいたご支援は活動費として使用させていただきます♡