とある女性のネイル事情
やくさひろです。
“とある女性のネイル事情”
鏡を見ることのない忙しい仕事中、あなたの視界にはPCと資料とおそらくはコーヒーがあるでしょう。
ブラインドタッチで殆どは画面と資料とを往復するあなたの眼差しが、美しい光沢を放つよく磨かれた細い指先の爪に時折注がれます。
あなたはミスタッチをしないように爪は全く伸ばしていません。
指先の爪の形が美しく細長く弧を描いています。
瞬間、自分は綺麗だ、と思います。誰かと較べてではなく、自分は自分で良かった、と思います。
そしてまた仕事に戻ります。
爪の手入れに個々人の歴史があるとしたら、彼女も爪にはこだわりがあり歴史を持っていると言えるでしょう。
そもそもここ7,8、年入社した頃は大学での就活研修の影響で、爪は短く切りマニキュアも全くしていませんでした。
ところがしばらくして余裕が出てきた頃ジェルネイルの全盛期、ポップなものもあればアグレッシブな鋭角的なもの、無難なフレンチ、社内の女子のほとんどがジェルネイルをするようになってきました。
向かいの店で一緒に忙しくハンバーガーをほおばるそれぞれの同僚の指はそれぞれ多種多様。
逆に「ジェル嫌い?」と訊かれて「そんなことないよ」と答えますがストーンが埋めてあったり、ストライプ柄、多色使いのパステル系フレンチ、この中には自分の好みはない。
女性上司で50代のいかにもキャリアウーマン風の課長は猛禽類を連想させる攻めた柄、でも社内なのでみんな女子には分かるけどおじさんには地味に見えるよう工夫している。
そして手元のお洒落に時間を取られないようジェルにして自分が納得するデザインで、みんなおそらく自分の手元のお洒落から元気をもらっている。
彼女は同僚に勧められたサロンに行き、生まれて初めてのジェルを体験しました。足は勧められるままにターコイズブルーをベースに、指が長く爪の大きさそのものが細長く目立つので、ピンクベージュのベースにミルク色のフレンチにしました。
この時も爪はPCのキーに当たるので、短く切りそろえていました。
「せっかく綺麗な指なんだからもう少し伸ばした方がいいですよ」と言われましたが、伸ばすつもりはありません。
綺麗だなあ、と仕上がったばかりの自分の爪を見て、シンプルなデザインだからお安いし、これからしばらく続けようと思いました。
メイクにも入念になり、毎日が楽しくなっていました。
ところが彼女はマメではないので、休む前に塗るように言われていた専用オイルを塗り忘れる、伸びた爪に爪切り厳禁と言われていたのにやすりで形を整えるのは大変、つい爪切りを使い、そこからジェルがはがれてきました。
ところどころ持ちが悪くなってきてネイルサロンに行くべき時、ピンクベージュのプチプラネイルを塗って誤魔化したり、だんだん面倒になってきてはがしてもらいにサロンに行きました。
すると「これ、自分で引っ張りましたね、絶対やっちゃダメです、爪がダメになりますよ」とお説教モードで言われ、「次のデザイン足をする間にゆっくり決めてくださいね」と言われた時、もうやめよう、と思いました。
足は自分でもできる、次に3週後またここに来て注意されながら剥いだり塗ったりしたくない、とふと感じました。結局その日は手足ともとってもらうだけで帰りました。
以来、仕事をしながらも手の甲の滑らかさや爪の美しさには気を付けるようになりましたが、ジェルをすることは無くなりました。
爪が呼吸できていないような感触もあまり好きになれませんでした。
友人がしていてとても素敵だと感じることはあっても、お洒落さんじゃないと続かないとも思います。
その後自分でマニキュアをすることもありますが、やはり爪が厚ぼったいのが気になるので、爪を磨くようになってもう数年です。
ハンドクリームは必須でちゃんと塗れば滑らかな感触を保ってくれるのでハンド・ネイル用のものをしっかり塗り、爪の自然な輝きにすべすべの手はよく似合います。
彼女に限らず、自分塗り、ジェルの自分塗り、サロンでジェル、マニキュア、爪を磨く…。
仕事中多分ほとんどの時間無意識にでも目に入る自分の「手」の美しさは、直接視覚からはいる情報として女性のお洒落のみならず、モチベーション、自信、そしてデキる女としてのステータスなど色々なものに繋がります。
手元のお洒落はその人の元気のバロメーターのように見られがちですので、お洒落プラス副次的な要素にも様々繋がっています。
例えば、楚々としたリングにもゴージャスなリングにも手入れした手はベースとして大切。手の甲をマッサージしながらクリームを塗り、どんなリングにも似合う美しい手を自分のものにしましょう。
手の美しさは自分ばかりか周りの男女にも好感度を上げるものです。
余談ですが、ある雑誌によれば、男性は凝ったジェルをあまり得意としないで、グレージュ系のマニキュアに好感度が高いそうです。それでは女子の皆さん、自分らしさを表現した美しいその手で今日も最高の仕事をしましょう。