民間の検定試験について思うこと
やくさひろです。
どこのネイル検定を受けるのがいいですか? という質問について
私は過去にJNA,INA,NPAAと様々なネイル検定を取得してきました。
スクールに通い始めた当初はそのスクールがJNA認定校であった為、自動的にJNA検定を取得していくというシステムでした。
スクール卒業後、講師業の募集を見てアプローチしたところ「INAしかとらない」と言われINA検定取得を行いました。
JNA INAどちらも素晴らしい試験内容で検定試験を取得する過程の練習段階で大いに実力が磨けたと感じています。
検定取得にかかった費用も莫大
検定を受験する幾度検定費用と遠征費用に商材だけで1回あたり5万~10万円はかかりました。スクール費用からJNA、INA検定審査官を取得するまでにかかった費用はざっと500万円程度です。昔はネイルスクールに通うだけで100万ー150万という学校が多かったので)
その後、ジェルネイルブームとなり、様々なジェルメーカーのエデュケーションシステムを導入したりインストラクターを目指したり、ジェル取扱いのために受講費用を払ったりでジェルネイルだけで別途400万くらい。
ネイル技術に費やしてきた金額は軽く1000万を超えます。
その投資金額に見合う収入が得られている人は何%いるのでしょうか。
私は当初よりネイル用品の企画製造に携わり小売り業、通販、スクール業務、サロン運営など幅広く展開をしていました。
投資金額以上の収益を得ることはできていましたが、同期のメンバーの多くがネイルビジネスから去り、別業種で働く方たちを何百人と見る中で複雑な気持ちでいました。
申し上げたいことは、
「検定はあくまで自分自身の技術向上のため」であるということ
今の日本のネイルビジネスはビッグビジネスとは到底言い難く、imperfectビジネスであるということ。
未完成・不完全であり、自宅ネイルサロン、テナントサロンが乱立し、検定取得の義務付けもありません。
誰もが明日からネイリストになれるという大きなチャンスがあるのです。
同時に無法地帯化している中で、業界全体が手探りでネイルビジネスの方向性を探っている状態です。
このような状況の中で、「1級を取得したからネイルサロンで働ける」というのは業界の過去の姿でありサロンビジネスで従事したからといって果たして毎月生活できるだけの給与が得らるのだろうか。
将来キャリアを積んでいき収益が上がる見込みがあるのだろうか、こういう懐疑的な視点を持つことも大切なのではないでしょうか。
ネイルスクール生が就職活動の時に言われたこと
★ ●●の検定は関西での知名度がないからどこのサロンに行っても知らないと言われた。
★ うちは●●の検定取得者しか採用しない。一からうちのスクールで学びなおしてもらう
などネイリスト就職あるあるネタです。
ただこのようなサロンでは一体何を重要視して採用活動に励まれているのでしょう。
検定内容をすべて把握していらっしゃるオーナーや採用者であればこんな発言はされないと思います。検定の違いだけでサロン採用においてふるいにかける行為に疑問を感じます。
あくまでその方の技術を図るための試験を行うとか、サロンワークにおいて必要な試験を採用するとかなら理解できるのです。
しかし履歴書だけの情報でその方のスクールライフの全てを否定するオーナー様も多いと聞きます。
基本的に私たちは「知らない」という発言がいかに無知で恥ずかしいことなのかを理解しておかなければなりません。ネイル業界という狭い業界の中で幅広くアンテナをはり知識や情報を収集する必要性があります。
当校の見学時にも「●●の検定じゃないと就職が難しいと聞いたのですが」という質問がたまに寄せられます。
私は「協会の違いだけで判断をするサロンで就職をして、果たしてあなたは正当な技術や接客を学べることができるのか?」と答えます。
●●は有名だから絶対取得しておいたほうがいい、、有名だから取得するっていう部分がリンクしないのです。
検定内容に重きをおいた説明であれば理解できますが。
また検定のみの基準で就職ができるわけでもありません。
世の中には検定1級保持者、審査官保持者でも就職ができず開業をして集客ができず閉店された方も多いと聞きます。
頭の中の「協会の違い、検定の違い」を一度とっぱらい、自身の技術鍛錬をいかに行うか練習ができる環境なのか、勉強を継続できる意思があるのか、ネイルビジネスとして自身に必要な要素を見つけ出すことが先決ではないでしょうか。
1級、インストラクター取得をして開業をしても廃業するサロンも多く、独学で学び検定取得をせずともオンラインサロンなどで定期収入を得ている方もいらっしゃいます。
今の時代何がベストで何が正攻法だなんて答えはない
就職や開業がゴールではなくて、言葉の響きやネームで輝かせるのではなく、顧客に限られた時間内で最高のパフォーマンスができるのかどうか、これが一番大切な要素であり悩み続けるべき部分なのだと思います。
ネイル検定取得だけを目的とするなら、ネイルスクールに行かずとも独学で学び取得した方も大勢いらっしゃいますし、何を目的とするかで学びの道も変わってきます。
お客様や同僚を不快にさせないコミュニケーションが取れるのか、将来のビジネスオーナーとしての資質はあるのかどうか、このあたり自問自答する時間を持つことが大切です。
1級取得しても就職先がないのはネイルスクールの責任でも協会の責任でもありません。1級取得者が上手で即戦力になるわけではありません。
検定取得とサロンワークにおいての即戦力は別物として考えるべきです。
結局のところ、自分自身が社会にてよりよい対人関係を築くことができるスキルを持っているのか、ビジネスオーナーとして経営能力に長けているのかどうか、お客様に対して満足以上のサービスを提供できるのかどうか、コミュニケーションスキルを持っているのか。
第三者への尊重の気持ちを有した対応を心掛け実行できているのか
何らネイルという技術が特別なわけではなく、あくまでのただの民間資格であるという謙虚さを心のどこかで持ち続けることが自己研鑽の第一歩となるのではないでしょうか。