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自分の存在価値が見いだせるってこういうこと

やくさひろです。

キャリアコンサルティングの業務の中で、クライアントから「自分の存在価値が見いだせるってこういうことですか」とよく質問をいただくので私なりの考え方をまとめてみました。

上の表題について考えたことがある人は自己省察型の人、あるいは全く逆で、表向き明るく屈託なくふるまっていて悩みなんかなさそうに見える方かもしれません。

古代ギリシャの哲学者ソクラテスの「誰もが何もかも知っているように詭弁を使うがわたしは自分が何も知らないことを知っているだけソフィスト(知恵者)より優れている」という言葉は有名です。

一方ソクラテスの言葉ではないという説もあります。いずれにせよこの「無知の知」(自分は無知であることを知っているという意味で知っていると思い込んでいる彼等よりものを知っている)を援用すれば、「自分の存在価値が見いだせない」人が「自分の存在価値が見いだせるようになりたい」というのが表題の意味だと解釈すると、「何も考えないで自分に充足している」よりも、「自分の存在価値が見いだせなくて悶々としている」ことの方がよりレベルの高い思考システムとも言えるのではないでしょうか?

ですから「自分はなぜこうも劣等感が強いのだろうか」とか「本当はこういう性格だけど引かれたくないから明るくしよう」とか考える必要はありません。ただ、せっかく持ったその問い、大事に育てて自分の価値を見つけ出しましょう。

人がその他の生物と異なる点は無数にありますが、自分について自己省察することもその一つです。自分についての認識活動ですから認知心理学でいう「メタ認知」と呼んでもいいでしょう。

「メタ」というのは~より高次のという意味ですので、認知より高次の認知ということです。メタ認知を一言で言うと「認知している自分を認知していること」認知するに至った原因から結果に至るまで全てを自分自身で理解している、ということです。例えば英語の試験中難問にぶつかった時に、「今自分は難問にぶつかっている、こういう時はどうするんだっけ、そうだ、分からないところだけ日本語にしてみるんだった」、と難問に苦心する自分に方略を与えている自分がいますね。このように、自分がしている言動についてもう一人の自分が客観的にその言動を調整することをメタ認知と呼びます。そして学術的にも実験も繰り返され、メタ認知能力が高い程パフォーマンスも高いことが立証されています。

「彼らは何も知らないのに知っていると思い込んでいるが、私は何も知らないということを知っている。」というソクラテスはメタ認知(無知であることを知っている)ができているのに比し、詭弁家たちは無知であるのに知っていると思い込んでメタ認知ができていないことを表しています。

このようにメタ認知能力を程度の差こそあれ持っているという意味で人は他の生物と異なっています。

そしてこのメタ認知が自分を見ているからこそ、自分の存在価値があるかどうかの問いも生まれる訳です。

自分は他者とは異なるオリジナリティを持ちたい、賞賛されたい、これは人間が生まれ持つ自己顕示欲から来ますが、オリジナリティを持ちたいと思っても実際は人見知りだったり何かにトライして失敗すると過度に自分を責めたりすることもあります。あるいは思い切り明るくふるまってお喋りをして家に帰ってから余計なこと言うんじゃなかった、私じゃないみたいだったからもうこれは無理、と落ち込みまくることもあります。逆に大人しいふりして好き放題言われた、明日会ったらただじゃ置かないと戦意に漲る場合もあります。

このメタ認知が自己実現や表題の自分の存在価値を求める要因の一つです。自己愛や自己顕示欲も相まって我々は自分の存在価値を求めるのです。

みんな自分の存在探しをして時に道を踏み外すこともありますが、言えるのはインドアで電話も会話もしない状況では自分の価値探しはなかなか困難を極めます。元々人より優れている点を探したい訳ですから、他者と交わる場で見つかることが多いのではないでしょうか。SNSのフォロー数をいくら増やしてもプロとしてその業界でお金を稼ぐ人とは違いますから、それでは存在価値は分からない。

我々は生身の人間です。

バーチャルなツールで存在価値を総合的に体得したり人に納得させたりできる訳がありません。存在価値を見出したいと思ったら外に出ることです。何のことはないいつもの生活を送りながらメタ認知を働かせて自分を見つめることです。

高校生の時、いつも口にするだけでずっと願っていたことがありました。 それはオーストラリアでのワーキングホリデー。入学していくらも経たないし残念ながら資金不足だし英会話できないし、嫌なことがあった時など特に行きたかったこと。一番の望みだからこそノートに大書きしました。その下に準備できていることできていないこと、行くメリット、デメリット、そしてそれら各項目に現在の実現度を100点満点で点を付けました。      

例えば英会話:30、とかオーストラリアの知識:60、パスポート:0,身体を使って働くこと:90とか。意外なものが高得点に浮上したりしますね。そして今準備ができていることとメリット、できていないこととデメリットをそれぞれ加算して合計点を較べましょう。20点くらいの僅差でメリットの方が上回ったら、もう行動しませんか?

オーストラリアでのワーキングホリデーを実現させるために、その道程には、会話学校、説明会参加、準備等ありますが、パスポートを持ってないならこの際作ってみるという行動にうつす。自分のアイデンティティが増えた気がしますし、これでその気になったらいつでも行ける。そして英会話を学ぶと決めた人、ボーナスは全て貯金し天引き貯金の額も上げて自分の力で行くと決めた人、もう人と同じ道だけを歩んではいません。

それこそがあなたの存在価値です。

途中で路線変更してもいい。

自分であるためには常にハッピーを求めて行動すること、それに尽きます.


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やくさひろ@鍼灸師
やくさひろです。 記事が広くシェアされ、手のお手入れを通して誰かの幸せに繋がることを願っています。 いただいたご支援は活動費として使用させていただきます♡