「セルフ・インタビュー」のチカラ
こん○○は。
作り手の想いにストーリーという名の翼を授ける「ストーリービデオグラファー」藤堂八雲がつづる、今日の雑感。
「藤堂さんって、なんで映像やろうと思ったんですか?」
最近、そう聞かれることが増えてきた。
なぜ、僕が映像の世界でやっていこうと思ったのか?というストーリーは、僕のWebサイトでしっかり「文字で」語っているのだが、まぁ読んでもらえないと思う。長いし笑。
ということで、映像を作る人間としては、やっぱり自分のストーリーは映像にしないとなってnoteを始めたころからずっと考えてはいた。
作品として本格的に作りたいのはやまやまなのだが、自分で自分を撮影するということが物理的にできない以上、実現するならば誰かに撮影してもらわないといけない。
しかし、インタビューはもちろん、撮影から編集、サウンドデザイン、カラグレまで「すべてを一気通貫で僕一人がやり切るからこそ、最高のものが作れる」というのが僕のこだわりだ。
うーむ。
自分で撮影してないものは「自分の作品」とは言えないジレンマ。
悩むこと30秒。
出た結論は、カメラ固定のインタビューで、ひたすら一人でストーリーを語るというもの。
ちょ、これ、見る人から「何かの修行ですかw」と言われるような、明らかにつまんなそうな画だな。。
待てよ。
自分が自分にインタビューする?
こんなこと映像作家しか思いつかないし、誰もやらないんじゃね?
ていうか、自分で質問して自分で答えるとか、一人漫才かよw
このアイディアが生まれた時、僕は興奮と緊張が入り混じったような不思議な感情に包まれていた。
とにもかくにも、これは神様がやれと言っているのだなと確信し、興味津々、ネタ実験記録としてその映像を作ることにした。
「なぜ映像の世界で生きていこうと決意したのか」というテーマで、もちろん台本はなし。
自分の脳内に浮かんだ質問を、自分自身に問いかけ、自分で答える。
それをひたすら繰り返していくというもの。
いざ撮影開始!
最初は、カメラの角度とか、光の当て方とか、座る位置とか、色々気になりすぎて撮影自体がなかなか進まないw
「この顔、俺じゃないわぁ」
普段鏡で見ている自分とは違う、左右反対に(本当はそれが正しい自分なのだが)モニターに映っている自分への違和感なのか。
あれこれやること20分くらいか。
これなら編集工程で修正できるレベルだな、というところでセッティングが終え、セルフインタビュー開始。
大丈夫かなー。
俺、役者でもなんでもないし、しゃべれんのかなー。
そんなことが脳裏をよぎっていたのだが、不思議なことにインタビューを始めた途端、仕事として他者をインタビューするときとまったく同じ感覚で、僕の脳はフル回転で動き始め、自然に質問を繰り出していた。
そして、脳内質問に対して、自分が声に出して答えていく。
質問と回答が繰り返されている間、僕は完全に「ゾーン」に入っていた。
時間感覚は消え、脳内質問とリアル回答の応酬が続き、一度もカットすることなく、エピソードが終わりを迎える。
後から録画データの時間を見たら20分くらいだった。
この世界に入るきっかけになった映像作品のエピソード、そして映像に対する考え方や思いを、思う存分に語った。
さて、撮った映像を編集へ。
ここからがまた一仕事だ。
20分以上あった映像を、5分程度にまとめなければいけない。
うーむ、自分で色々質問しておいて言うのもなんだが、しゃべりすぎだw
自分が「伝えたい!」と熱く語った思いのこもった言葉だもん。
どれも削りたくない!
あぁ、あれも、これも、残したい。。
そんな葛藤をなんとか乗り越え、ぎりぎり5分台の映像に編集💦
今回の本題とは関係ないので、サウンドデザインとカラーグレーディングについては割愛するが、それらにも相応の時間をかけ、映像作品としての品質も通常の作品と同様に仕上げたこともお伝えしておく。
そうして出来上がったインタビューを見てみる。
「やっぱり、あのときが原点だったんだなぁ。」
しみじみと思い返しながら、当時の映像が脳裏に蘇る。
そして、また見る。
何回も、何回も、見てしまった。
すると、最初はなんか気恥ずかしかった映像が、何度も見ているうちに、「自分が映っている映像」ではなく、「作品」として見るようになり、恥ずかしいという感覚は完全になくなっていた。
それも、今回経験できた不思議な感覚の一つだった。
今回のセルフインタビュー、正直最初はネタのつもりでやってみたのだが、映像の中の、「自分の口から出ている言葉」やその表情を通じて、原点に立ち戻ることができた。
そして、自分が目指す映像作家としての「芯」も再確認できた。
セルフインタビューのチカラ。
ヤバし。
ということで、映像作家ではない人にもセルフインタビューを勧めたいな、とも思ったのだが、今回のように、ちゃんと「インタビュー然」とした環境でやらないと効果は半減するんじゃないかな、という気もするし、自分で言うのもなんだが、プロのインタビュアーの質問があってこその今回の結果であるとも言えるので、万人にお勧めするものではない。
ただ、ものを作る人、何か生み出す人にとって、こうした機会を作るのはなかなか難しいとは思うが、大きな気づきや振り返りになることは間違いない。
今回のセルフインタビューで語ったストーリー、映像を観てもらった友人たちからは「絶対に公開した方がいい!」と言われたので、Webサイトに公開してみました。
藤堂八雲や、セルフインタビューに興味がある方は、見てみてください😉
ちょっと長いけど笑。