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CHOICE(声劇用シリアス台本→男1女1不問1)
配役→男1 女1 不問1(男推奨)
ケンジ→20代男
アユミ→20代女
ゲームマスター→年齢不詳
K→ケンジ A→アユミ G→ゲームマスター
K「ん、ここは……?」
A「いったぁ……どこ、ここ?」
K「アユミ…?お前何でこんなとこにいるんだ?」
A「ケンジ!?いやそれはこっちのセリフ…
っていうかここどこなの?」
K「わからない…どう見ても普通の建物ではなさそうだけど」
A「とりあえず、早く外に出よう、なんかここ気味が悪いし…」
K「そうだな……ん?」
A「どうしたの?」
K「この部屋…扉がない」
A「え!?うそ…」
K「窓もないし、天井に通気口はあるけど、人が通れるような大きさじゃないな」
A「そ、それって閉じ込められてるってこと…!?」
K「……たぶんな。」
A「ど、どうしよう…!!警察、警察に言わないと!あれ…携帯がない!!」
K「俺の方もだ…持ち物は綺麗になくなってる」
A「どうしよう!どうしよう!!ねぇ私達どうなるの!!??」
K「落ち着け!大丈夫だ。」
A「ご、ごめん……。」
K「少なくとも俺たちをここに連れてきた元凶がいる。何の意味もなく、こんな手の込んだ事はしないはずだ……」
A「それって……」
(被せ)
G「ピン、ポン、パン、ポーーーーン!!」
A「ひっ…!」
G「やぁやぁ、御二方。楽しんでくれていますか??えぇ!!私は楽しんでいますよ!!願わくばケンジさんにも、もう少し慌てて欲しかったですが…シュン( ´・ω・`)」
K「放送...?いったいどこから」
A「なに…なんなの……?」
G「おやおや、そんなに私の事が気になる?気になってしまう!!?いやぁーーー照れてしまいますねぇ!!もしや、これが恋……!?」
K「黙れ!!お前は誰だ!!!」
G「私ですか?私は…………
名乗るほどの者ではございませぇん!!!
いやーーこれ、1回言ってみたかったんですよねぇ!!!」
A「ケンジ、こいつおかしいよ……」
K「あぁ、まともに話す気は無いらしい」
A「あんたはなんなの!何でこんな事するのよ!!」
K「俺達に恨みでもあるのか!」
G「恨み……?あぁーーーいやいや理由なんて単純でございますとも!私はね...「人間」が見たいんですよ。」
K「は…?」
A「何言ってるの…?」
G「実に不思議じゃあないですか!同じ種族でありながら行動に全く一貫性がない。野生にいる生き物達から見たら理(ことわり)から逸脱していると思いませんかぁ??」
K「何を訳のわからない...(事を言っている!)」
(遮って)
G「ならば!!!人間が野生に帰る時!!!その性質は、善なのか!!悪なのか!!その結末は絆なのか!愛なのか!はたまた憎しみなのか!!!知りたい...!私はそれを知りたいのです!!!」
K「狂ってる……!」
A「なんで...何で私達なのよ!!!」
G「………そんなの、「なんとなく」ですよ。」
A「はぁ!?」
G「勘違いしないで下さいよ、あなた方の経歴はよく知っています。付かず離れず、何とも淡い関係の幼なじみ……。あぁ...なんて、観察しがいがある...!!私の知識欲が刺激されるぅ!!!」
K「ふざけるな!!!こんな事して許されるとおもってるのか!!!」
G「はて?許す??この状況を見て何も思わない??」
A「なんだって言うのよ!アンタなんてすぐ警察に捕まえられるんだから!!」
G「警察……ねぇ。ふふっ、では教えて差し上げましょう。ここはとある私有地の山の中にある小さな別荘、その地下室。たとえ警察が総動員で捜査をしても、発見まで最低1ヶ月はかかるでしょうね」
A「そ、そんな……」
G「加えて私、少々忘れものをしていました。いやぁ、大変申し訳ない……(泣)」
K「もったいぶるな!!早く話を進めろ!!」
G「つい、うっかりあなた方の"水と食料"を用意するのを忘れてしまったのです!オヨヨ…。」
A「そ、それって...」
K「初めから俺達を生かして返す気は無いってことかよ...!!」
G「いやいや、勿論帰る方法はあります。まず、簡単なゲームをして貰います。2人で力を合わせてクリアできれば!ここから出られる事でしょう。」
K「ゲームだと…?」
G「そう!楽しい楽しいゲームの時間!これを機に気になるあの子とお近付きになっちゃったり!?!?」
A「嫌よ!!何でアンタなんかの言うこと聞かなくちゃいけないの!!」
G「まぁまぁ、そう言わずに!…アッ!私の事はゲームマスター、親しみを込めてゲマちゃん☆と呼んでくださいねぇ!!」
A「呼ぶ訳ないでしょ!気持ち悪い!!
ゲームなんて絶対やらないから!!」
K「待て、アユミ!アイツの言いなりになるのは癪(しゃく)だが、このままじゃ、警察に見つけられる前に確実に死ぬ」
A「でも...」
K「大丈夫だ。何かあっても俺がどうにかするから。」
A「ケンジ……わかった。信じるからね。」
K「ああ、信じろ。」
G「相談はァ〜終わりましたかァ〜???」
K「ああ!お前の言うゲーム。やってやるよ!」
G「さすが!!かっこいい!!さぞ、モテるのでしょうねぇ、羨ましいぃ!!!」
K「御託(ごたく)はいいからさっさと始めろ!!」
G「それでは、まず通気口の真下の床をよ〜〜く見てみてください...何かありませんかぁ?」
K「…(探る)...取っ手がついてるな」
A「開けってこと...?」
G「その通り!!さぁさぁ!!ズバッと開いちゃってください!!」
A「ほ、本当に大丈夫なの...?急に爆発したりとか...」
K「……アユミは離れてろ、俺が開ける。」
A「わかった...気をつけてね」
K「よし、開けるぞ…。ッッ!」(開ける)
G「ドカーーーーーン!!!!」
A「きゃぁあああ!!」
G「はっはっは!ジョークですよジョークぅ」
A「あんた...絶対に許さないから!!」
K「これは...ブレスレットか?、」
G「そう、それはなんの変哲もないブレスレット...さぁさぁ!手早く付けちゃってくださいな!!」
A「絶対何かあるよ!どうしようケンジ……」
K「わかった...付けるよ」
A「ダメ!危ないよ!!」
K「付けたぞ。これでいいのか?」
G「ん素晴らしいぃん!!!よく似合ってますよぉ!!!」
K「うるさい!!!
……とりあえずは何も無さそうだ」
A「う、うん...じゃあ、私も付けるね...。」
G「ん素晴らしいぃん!!!よく似合ってますよぉ!!!」
A「うるさい!!!」
G「おやおや手厳しいぃ〜〜!!」
K「で、今度は何をすればいいんだ?」
G「これから、あなた方には...…クイズをして頂きます!!!」
A「く、クイズ...?」
G「そ〜〜う、幼なじみの お2人なら、いとも容易く答えられる簡単なクイズです。問題は全10問。見事全問正解できたならば、ここから出る事ができるでしょう...」
K「このブレスレットには何の意味がある?
ただのオシャレって訳じゃないんだろ?」
G「ご名答。ブレスレットに①~③と書いてある3つのボタンが付いているでしょう?回答はそのボタンでして頂きます。」
A「私の方にもボタンが付いてるけど、一緒にに答えろってことなの?」
G「んんん理解が早くて助かりますぅ!そう、これから出すクイズには、同時に答えて、そして同じ回答を導き出さないといけません。」
K「アユミ、いけそうか?」
A「うん、ケンジと一緒なら大丈夫だと思う」
K「よし。……待たせたな、始めてくれ」
G「良い気概です...それでは、
スターーーーーーーートッ!!!」
Kナレ「間の抜けた声が響いた瞬間、ブレスレットに残り時間のカウントダウンが表示された。」
A「ちょっと何よこれ!!聞いてない!!」
G「私とした事が!!言い忘れていました(汗)そのブレスレットには致死性の猛毒が仕込まれています。制限時間の2時間を経過するか、回答を間違えると内側から針がプスッと刺さるので注意してくださいねっ!!!」
K「ふざけやがって...!!!」
A「これ...とれない!とれないよ!!」
G「ちなみに、相談も禁止です。違反行為が見受けられた場合もプスッと刺さるので注意くださいねっ!!!」
A「ケンジ…ど、どうしよう...!!私、まだ死にたくないよ...!!」
K「大丈夫だ、要は間違えなければいいんだろ。俺たちなら、絶対に大丈夫さ」
A「ケンジ……」
G「それでは!!第1問!!!
ケンジさんの誕生日は何月何日????
①.7/7 ②.7/17 ③.7/27」
A「えっ、こんな簡単なの...?」
G「回答が出揃いましたねぇ!ふむふむ...
アユミさん、①。ケンジさん、①。
お見事!!正解です!!!」
K「何を企んでるんだ...?」
A「わかんない...」
K「気を緩めないようしよう、何をしてくるかわからないからな」
A「うん、そうだね」
Kナレ「その後も、頻繁に話が脱線するゲームマスターに苛立ちながらも、驚く程あっけなく命をかけたクイズは進行していった。」
A「ねぇ、これ……このまま終わるのかな?
近所の川の名前とか、小学校の担任の先生は誰かとか、どうでもいい質問ばっかりだけど……」
K「わからない……でも終わってくれるなら、それに越したことはないさ」
G「つ、ぎ、は〜〜…皆さんお待ちかね!!
恋愛に関するクイズですよぉ!!!
ヒューヒュー!!ドンドンパフパフ!!!」
K「……」
A「えっ…!」
G「おんやぁ〜〜?お二人とも反応が変わりましたねぇ??やはりお年頃という事でしょうかぁぁあ???」
A「あんた本当にうるさい!!!
早くしてって言ってるでしょ!!」
G「おやおや!相変わらず強気な態度!!でもぉ、ケンジさんにだけ見せる弱弱しい一面にグッとくる視聴者も多いのではないでしょうか!!?」
A「視聴者なんていないでしょ!!」
G「その辺りどうなんですかァ??当事者のケンジさん!!ふと、あーん可愛い!とか思っちゃったりしちゃったりしてるんじゃあないですかぁ〜!?」
A「あ、あんたね……!!」
K「思ってたとしたらどうなんだ!
お前には関係ないだろ」
A「えっ、ちょ…ケンジ!?」
G「ヤーーー!いいものを見せて頂きましたねぇ!!ここまで堂々と惚気られると、私も彼方に過ぎさった青春時代を思い出してしまいますぅ!!」
K「いいから早く問題を言え!」
G「では……第8問!!!
ケンジさんの初恋の相手は誰でしょう??!」
K「!!」
A「は、初恋……」
G「①幼稚園のナオコ先生
②向かいの家に住んでいたヒカルお姉ちゃん
③幼なじみのアユミさん」
A「ちょ、ちょっと!!」
G「さぁさぁ!!お選びくださいな!!」
A「選べって言っても……」
K「アユミ」
A「は、はい!」
K「俺を信じてくれ」
A「信じろって…つまり……?」
G「おおっとぉ!!それ以上は相談とみなしますよぉ!!!」
K「俺は押した」
A「え、えぇ……それじゃあ……」
G「答えが出揃いましたねぇ…
アユミさんは③。
んーーふふふ…余程自分に自信があるようだ!」
A「う、うるさい!!」
G「そしてケンジさんは…………」
A「……」
G「③!!!お見事!!!
文字通りの相思相愛!!!お熱いですねぇ!!!ドンパフドンパフ!!!」
A「ケンジ……」
K「あんまりじっと見るなよ……」
A「ご、ごめん…」
G「お熱い所大変申し訳ございませんがぁ〜、次の問題にいっても大丈夫ですかぁ〜〜??」
K「しゅ、集中しよう!!まずはこのゲームをクリアして、ここから脱出する事が先決だ」
A「う、うん!そうだね…」
G「では、気を取り直して第9問!!!
アユミさんには昔から今に至るまでずっと好きな人がいる、それは誰か?」
A「な!ちょ!!」
K「今度はアユミか…」
G「①近所に住んでいる年上お兄さんのヒロト君
②幼なじみのケンジさん
③ゲマちゃんことゲームマスターのこの私!」
K「アユミ……」
A「私も…信じてほしいな……」
K「わかった」
G「答えが出揃いましたね……
ケンジさん、①」
K「……」
G「そしてアユミさんは…………①!!!
お見事!!またしても相思相愛!!!
なんならここで挙式開いちゃいますかぁ!?
私、幹事の腕には自信ありますよぉ!!」
K「アユミ……」
G「でもでも!?今までの小粋なトークで盛り上げていた私ゲマちゃんもいい線いってたんじゃないですか!?!?もうちょっとで恋に落ちゃったんじゃないですかぁ!!??」
A「ケンジ…私はずっと……」
G「アッハァ---!!!清々しいまでの無視!!蚊帳の外とはまさにこの事!!いいでしょういいでしょう、私はお2人が幸せならそれで満足ですとも!!!」
K「次で最後だ、これをクリアしたら……」
A「うん、そうだね…頑張ろう!」
G「それでは!次が運命の最終問題!!!
いやぁ固い絆で結ばれた2人には些か退屈だったかもしれませんねぇ!!」
K「なんのつもりか知らないが、約束はちゃんと守るんだろうな!!」
G「えぇえぇ、勿論ですとも!!それでは最終問題!!と、言いたいところですが...最後は少し趣向を変えましょう」
A「どういう事…?」
G「最後はクイズではなく...チョイス、選択をして頂きます。」
K「選択...?」
G「その通り...。分かりやすく言うなら
「命の選択」です。」
A「なに、どういうこと...?」
G「実は私ぃ、こう見えて用意周到でしてぇ〜。あなた方の身の回りの人間関係も、バ〜ッチリ調べ上げているんですよぉ!!」
K「どういう事だ、なんの関係がある?」
G「いやね、ケンジさんとアユミさんの観察はこれにて終了。じゃあ次の観察対象は〜誰にしようかと思いましてぇ〜〜。」
K「お、お前!!!」
G「はぁ〜〜素晴らしい!!いい顔をされる...!」
A「つまり、私達が助かったとしても、身の回りの人が犠牲になるってこと!?」
G「犠牲とは失敬な!貴重な経験をプレゼントするだけですよぉ!」
K「ふざけるな!!!」
G「おお、怖い怖い:( ;´꒳`;):
それでは、最後の選択の説明をします。」
A「待ってよ!私達やるなんて……」
(遮って)
G「まずは!①を選択した場合。あなた方2人を解放しましょう。その代わり、次の観察対象は身の回りの誰か、となります。」
K「クソ野郎...!」
G「そして②を選択した場合。押した当人以外の全てを助けましょう。つまる所、自己犠牲ですね。己の身を犠牲に大切な者を守る...!なんと美しい……!!」
A「③はなんなの...?」
G「③を選択した場合は②の反対。ケンジさんならアユミさん、アユミさんならばケンジさんを犠牲にする事で、押した当人とそれ以外の全てを助けます。
そして、お2人が違う選択をした場合は数字が大きい選択肢が優先されます。
どうです?理解できましたかァ?」
K「数字が大きい方が優先……」
A「待ってよ!それじゃあ2人共②か③を選んだ時はどうなるの!?」
G「鋭いですねぇ!!!こういうのはケンジさんの役目だったのにぃ!!!この短時間で成長していらっしゃる!!!」
K「いいから答えろ!どうなるんだ!?」
G「もちろん私はその「選択」を尊重します。
②が揃った場合、あなた方2人には死んで頂きます。しかし!!あなた方の周りの人間には一切手は出しません……」
K「③が揃ったら……?」
G「③が揃った場合、お互いがお互いの破滅を願っているとみなして…あなた方2人にもその周りの人間にも全て死んで貰います!!!
醜い責任のなすりつけあいには相応の罰を!!まさにっ!因果応報ですねっ!!!」
K「ふざけるな!!!どれを選んだって誰かが犠牲になるじゃないか!!!」
A「そうだよ!こんなのおかしいでしょ!!」
G「世界は……時に無情なのですよ……」
A「こんなの、選べないよ…どうしよう...」
G「ア、今回は特別に相談OKとします。何を選んで何を捨てるのか......じっくり話し合ってくださいねっ☆」
A「ケンジ……私、どうしたら...」
K「...アユミ、俺を選んでくれないか?」
A「え...」
K「俺たち2人でここから出よう。」
A「でも、それじゃ周りの誰かが...」
K「いいんだ!アユミは俺にとってかけがえのない存在だから。後の事は、その時考えればいいさ」
A「ケンジ……」
K「ここを出たら、改めてちゃんと気持ちを伝えるよ。」
A「……わかった」
Kモノローグ(ごめんな、アユミ...。でも1人が犠牲になって済むなら、俺は......!)
G「どうやら……決まったようですね?」
A「ええ!」
K「あぁ...」
G「それでは……ボタンを押してください。」
K「...…」
G「結果がでました。アユミさんは、①。」
A「……」
G「そしてケンジさんは...……
おや、違う回答を選んだようですね」
A「え!?どういう事ケンジ!?」
K「このチョイスで1番犠牲が少なくなるのは、片方が①を選んで、もう片方がそれ以外選んだ時だ」
A「そ、そうだけど!でも、それじゃあ…!」
K「俺には守らなきゃいけない、かけがえの無い存在がいる」
A「そんなっ……、いや…嫌だよ…!!」
K「そのためなら何だって犠牲にできる」
A「私はっ…私はケンジと一緒じゃなきゃ……!」
K「ごめんな、アユミ。もう決めたんだ」
A「でもっ!でもぉ!!それでケンジが犠牲になるなんてっ……!」
G「③」
A「...………………えっ……??」
G「ケンジさんが選んだのは、③です。」
A「えっ...③って...」
G「そう、相手以外の全て。つまり、アユミさんを犠牲に他の全てを助ける、ということですね。」
A「ケ、ケン…ジ...?嘘だよね...?間違えて押しちゃっただけだよね...?」
K「ごめん......」
A「なんで...ねぇ、なんでなの!!?」
K「俺...今職場で付き合ってる子がいてさ、そろそろ結婚も考えてるんだ...。だから今死ぬ訳にはいかないし、周りの子に何かあるのも嫌で...。」
A「私の事…何回も抱いたよね……?
その度に好きだって…愛してるって言ってくれたよね……?」
K「そ、それは……」
G「私からお答えしましょう。アユミさんはケンジさんの事を想っています。昔から、一途に。でも……ケンジさんはそうではなかった」
A「いや…やめて……」
G「ケンジさんのお相手はご実家がそれはそれは厳しくてですねぇ、大切な一人娘の婚前交渉なんて、絶対に許さなかった…」
A「もういい、やめて……!」
G「ケンジさんだって年頃の男性。ずぅーっと生殺しじゃあ、溜まるものもありますよねぇ?」
A「やめ、やめてよぉ……」
G「そしたらほら、ちょうどいい所にいるじゃないですか……、自分に好意を寄せてる女性が、すぐ隣に……」
A「もう……もう聞きたくない!!!」
G「アユミさん、あなたがケンジさんと繋がっていたのは…身体だけなんですよ。」
A「嘘だよね……嘘だって言ってよぉ……」
K「ごめん……」
A「今までの言葉は...全部、嘘だったんだ...」
K「……本当に、ごめん」
A「ひどい...こんなの……酷過ぎるよ…!!」
G「それではァ!!!選ばれなかった方には
退場して頂きましょう!!!!」
Kナレ「アユミの付けていたブレスレットのカウントダウンが0になり、仰々(ぎょうぎょう)しいアラームが鳴り響く。数秒後、アユミの様子が急変した。」
A「あ、あぁぁ……!ぐっ...がっ、アッ...」
K「ア、アユミ……」
A「ケ…ケン...ジ……く、くる、しい...よ……」
G「そして、選ばれた方には道を示しましょう」
Kナレ「天井の1部が開き、どこからかハシゴが降りてきた。俺は苦しむアユミから逃げるように、ハシゴを駆け上がった。」
G「おめでとうございます!!あなたは無事!
この地獄から脱け出した!『アユミさんを犠牲にして』ですが。」
K「はぁ...はぁっ...!黙れっ!!
早くこのブレスレット外せよ!!時間がないだろ!!!」
G「おやおやこれは失敬!では出口の扉の横に箱が2つあります。ブレスレットをかざせば、対応した箱が開くのでそこから鍵をとってください。」
K「出口の横の箱......これかっ!」
Kナレ「ゲームマスターの言う通り、ブレスレットをかざすと箱が開き、古めかしい鍵がそこにあった。」
G「あとはその鍵でブレスレットを外すだけですねぇ!!よく似合っていたのに...残念です」
K「よし、これで………(ガチャガチャ)………えっ……?」
G「おや、どうしましたかァ?」
K「ふざけるな......……鍵が違うじゃねぇか!!
どういう事だよ!!!騙したのか!!?」
G「あーーそれはつまり、『アユミさんが開けるはずだった箱』にあなた用の鍵が入っていた。という事でしょうねぇ!!」
K「なっ...!そんなっ……!!」
G「私は最初に言いましたよォ?
『2人で力を合わせてクリアできれば』とね」
K「ふ、ふざけんなよ!!!!じゃあ、俺は何のために……」
G「時間です!!!!」
Kナレ「先程も聞いた仰々(ぎょうぎょう)しいアラーム音が鳴り響く。小さな針が刺さった感覚がした数秒後、尋常ならざる痛みと不快感が体内を駆け巡った。」
G「ゲームオーバー……ですね。」
K「あっ、ぐっ...ぅぅあァァァァ...!!」
Kナレ「熱い、痛い、苦しい、気持ち悪い、
身体の中がグチャグチャにされて瞬く間に死が迫って来る。」
G「あぁ...残念です。結局あなたは自分を選び、そしてあなたを信じた者を裏切った。」
K「カッ…ハッ……ア…グッ……!」
Y「とてもとても...本当に……」
A「残念だよ。ケンジ。」
K「......え?」
A「分かってたけどね、こうなるって。もしかしたら、とは思ってたけど、やっぱりこうなっちゃったよね。」
K「...ゥ...ァ……」
A「もう声もでないよね、可哀想。」
Kナレ「最期に見たのは現実なのか、後ろめたさから見えた幻覚なのか...。その答えも分からないまま、俺の意識はドス黒い暗闇に呑み込まれた。」
A「さようなら...ケンジ」
〜END〜